第4話「二十年、来ない家」

お糸:伊織さん
昨日の売上
ちゃんとつけたよ
宗吉:升屋の暖簾の仕事は
もう来ねえ
その分
帳はきれいなもんだ
未納の帳|弓削 伊織(前世)未納(本税と加算税) 140万7千円延滞税 日ごとに加算中
伊織:まだ
140万

志乃:升屋を
改めさせてください
大河内:紺屋一軒の言い分と
帳に無い払いが1つ
それで町一番の店を
改めるのか
大河内:升屋の銀が止まれば
港の船が止まる
改めの相手は
改め所が選ぶ

志乃:20年前と
同じ言い分だ
伊織:なら
選ぶ理由を
数字で出しましょう
伊織:20年分の申告は
書庫にある
無申告、改めます。
第4話「二十年、来ない家」

六助:ここの束
20年
誰も開けてません︙︙
前の世界で︑
税務署は︑改める相手を
勘では選ばなかった︒

伊織:同じ商いの店で
売上のうち
どれだけが儲けか
年ごとに並べる
珠:20年 5軒 100の割り算
――任せな
珠の算盤|両替商・呉服問屋 5軒の儲けの割合(所得÷売上、20年)4軒 年により4%〜11%7年前の大嵐の年 4軒とも2%前後升屋 20年、毎年 6.0%升屋 大嵐の年も 6.0%

志乃:嵐で船が3隻
沈んだ年だ
升屋の船もだ
伊織:それでも
六分ちょうど
珠:数字がきれいすぎる帳は
誰かが
作った帳

志乃:︙︙父も
これを見たんだ

大河内:儲けが毎年同じ
手堅い商いだと
褒める所だ
大河内:書庫は今日から閉める
見習いは入るな
志乃は港の
船改めへ移れ



伊織:二十年
改めが来ない店

前の世界で︑
友だちが笑っていた︒
「10年︑税務調査なんて
来たことない」
伊織:来ないのは
見ていないから
じゃない
珠:升屋は
来ないんじゃない
来させないの

嘉平:伊織様
主が 茶を一服
さしあげたいと

両替商・呉服問屋〈升屋〉の主升屋 惣右衛門
惣右衛門:書庫の束を
読んだそうだな
20年ぶりだ
伊織:儲けの割合が
20年 六分ちょうど
惣右衛門:商いは
波を立てぬのが
一番でな

惣右衛門:ところで 見習い

惣右衛門:お前の頭の上の
140万7千
惣右衛門:――わしにも
見えておる
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