第2話「名前をつける」

成人の儀の翌朝。
村は、いつもどおりだった。

村の女:ほら、
圏外の子。
村の女:窓、
灰色なんだって。

一、名前を呼ばれた回数。
――なら、まず、
名前を呼ばれる人間に
なればいい。

村のパン屋の主人ハンス
ミナト:ハンスさん、
おはようございます。
ハンス:……お、おう。
俺の名前、
知ってたのか。
パン屋 Lv.8・村内順位 14位 → 13位

ミナト:俺が呼んでも、
上がった。
ミナト:誰が呼んだかは、
数に関係ないのか。
……なら、金で
呼ばせる奴も、
いずれ出てくるな。

村は、王国の〈結界〉に
守られている。
窓を持つ魔物が近づけば、
石柱が鳴って知らせる。

村の狩人ガルド
ガルド:おかしい。
結界が、
鳴ってない。

ミナト:鳴らないんじゃない。
結界には、
映っていないんだ。
結界の対象:窓を持つ者対象外:検索順位が〈圏外〉の者
俺と同じだ。
誰にも見つけられない物は、
守りの網も、すり抜ける。
前の人生の言葉で言えば、
検索の〈索引〉に、
載っていない。
索引に無い物は、
どれだけ近くにいても、
検索には出てこない。


村人:何だ、
あれは!
村人:窓が無い!
強さが
分からない!

リゼ:下がって!
私が――
リゼ 剣士 Lv.12・王国内順位 8,203位


ミナト:リゼ!

見つけられない物は、
狙えない。
結界も、騎士も、
名前の無い物には、届かない。
だったら――
名前を、
付けてやればいい。

ミナト:お前の名前は――
〈ナナシ〉だ!
――〈名付け〉を使いました。対象に、名前が登録されます。

魔獣〈ナナシ〉 Lv.47王国内順位:登録中……

結界が、やっと、
それを見つけた。

ミナト:……今、
俺を、見たか?

リゼ:ミナト、が……
名前を、
つけたの?

ハンス:ミナトだ!
ミナトが、
追い払ったんだ!
村人たち:ミナト!
村人たち:ミナト!

名前:ミナト職業:なしレベル:1検索順位:村内 37位
三十七位。
前の人生なら、
まだ誰にも見られない順位だ。
――悪くない、出だしだ。
――名前を付けられた物は、見つけられるようになる。――そして、名前を持った物は、強くなる。〈ナナシ〉の順位が、上がっています。

圏外の転生者
第2話「名前をつける」終


