第2話

第2話「名前をつける」

朝の辺境の村。井戸と洗濯物、鶏が歩く、いつもの朝。

成人の儀の翌朝。
村は、いつもどおりだった。

井戸端の村の女たちが、通りかかるミナトを横目にひそひそ話す。

村の女:ほら、
圏外の子。

村の女:窓、
灰色なんだって。

木の板に、炭で村人の名前を書き並べるミナトの手。

一、名前を呼ばれた回数。
――なら、まず、
名前を呼ばれる人間に
なればいい。

店先で小麦粉にまみれたパン屋の主人に、ミナトが声をかける。

村のパン屋の主人ハンス

ミナト:ハンスさん、
おはようございます。

ハンス:……お、おう。
俺の名前、
知ってたのか。

パン屋 Lv.8・村内順位 14位 → 13位

ハンスの頭の上を見上げるミナトの横顔。

ミナト:俺が呼んでも、
上がった。

ミナト:誰が呼んだかは、
数に関係ないのか。
……なら、金で
呼ばせる奴も、
いずれ出てくるな。

村はずれの木の柵に沿って、淡く光る結界の石柱が並ぶ。

村は、王国の〈結界〉に
守られている。
窓を持つ魔物が近づけば、
石柱が鳴って知らせる。

石柱の足元に巨大な爪の跡。柵は内側へ倒れ、狩人がしゃがんで調べている。

村の狩人ガルド

ガルド:おかしい。
結界が、
鳴ってない。

地面の爪の跡に触れるミナトの手。

ミナト:鳴らないんじゃない。
結界には、
映っていないんだ。

結界の対象:窓を持つ者対象外:検索順位が〈圏外〉の者

俺と同じだ。
誰にも見つけられない物は、
守りの網も、すり抜ける。

前の人生の言葉で言えば、
検索の〈索引〉に、
載っていない。
索引に無い物は、
どれだけ近くにいても、
検索には出てこない。

夜の村。家々の屋根の向こうから、角のある巨大な魔獣の影がのぞく。「ズシン」の描き文字。
松明を手に逃げまどう村人たち。

村人:何だ、
あれは!

村人:窓が無い!
強さが
分からない!

本物の剣を抜き、魔獣の影の前に立ちはだかるリゼ。

リゼ:下がって!
私が――

リゼ 剣士 Lv.12・王国内順位 8,203位

魔獣の腕がリゼを弾き飛ばす。「ドガッ」の描き文字。
地面に倒れたリゼ。そばに剣が突き刺さっている。

ミナト:リゼ!

巨大な魔獣の正面に、小さなミナトが一人で立つ。

見つけられない物は、
狙えない。
結界も、騎士も、
名前の無い物には、届かない。

だったら――
名前を、
付けてやればいい。

魔獣を指さすミナト。指先と鋭い目の大写し。

ミナト:お前の名前は――
〈ナナシ〉だ!

――〈名付け〉を使いました。対象に、名前が登録されます。

魔獣の頭の上で、光の線が一点に集まって弾ける。「キィィン」の描き文字。

魔獣〈ナナシ〉 Lv.47王国内順位:登録中……

村の結界の石柱がいっせいに鳴り、光の鎖が魔獣の脚に絡みつく。「ゴォォン」の描き文字。

結界が、やっと、
それを見つけた。

鎖を引きちぎって森へ退く魔獣。振り返った目が、ミナトを見ている。

ミナト:……今、
俺を、見たか?

明け方。手当てを受けるリゼのまわりに村人が集まる。

リゼ:ミナト、が……
名前を、
つけたの?

村人たちがミナトを囲み、腕を上げて名を呼ぶ。

ハンス:ミナトだ!
ミナトが、
追い払ったんだ!

村人たち:ミナト!

村人たち:ミナト!

朝の光の中のミナトの横顔。口元が少しだけ上がる。

名前:ミナト職業:なしレベル:1検索順位:村内 37位

三十七位。
前の人生なら、
まだ誰にも見られない順位だ。
――悪くない、出だしだ。

――名前を付けられた物は、見つけられるようになる。――そして、名前を持った物は、強くなる。〈ナナシ〉の順位が、上がっています。

森の奥で眠る魔獣の体に、模様が少しずつ浮かび上がる。

圏外の転生者

第2話「名前をつける」終

この作品を読んだあなたへ

この話で分かること

Google に「インデックス未登録」と出るのはなぜ?

Google がそのページを見つけた、または読んだものの、まだ検索の目録(インデックス)に入れていないという意味です。目録に無いページは、検索した言葉にどれだけ合っていても検索結果には出ません。

条件・例外

Search Console の「検出 - インデックス未登録」は、Google が URL を見つけたものの、まだクロールしていない状態です。サイトに負荷がかかりすぎると見て、クロールを後に回した時によく出ます。「クロール済み - インデックス未登録」は、読んだが登録していない状態で、今後登録されることも、されないこともあります。この場合、クロールのリクエストを出し直す必要は無いと Google は説明しています。

物語との違い

作中では、名前を付けたとたんに結界に映ります。現実では、目録に入れるかどうかを Google が決め、いつ載るかも約束されていません。

出典

更新日:

あなたの AI で続きを調べる

この話の設定と用語を渡して、いつもの AI で質問できます。

どのボタンも、コンテキストセット(この話の設定・人物・あらすじ・用語・出典)を渡して開きます。

物語の続きを AI と考える

調べる問いとは別の、創作の相談です。答えは作品の公式の続きではありません。

創作キットを開くこの作品の設定・絵の指示・台本の形

コンテキストセットをコピー

この話のまとめ(作品の設定・登場人物・あらすじ・用語・出典)です。AI に貼ると、話を踏まえて相談できます。

この話のあらすじ

成人の儀で「圏外」と出たミナトは、名前を呼ばれる人間になろうと、村人の名前を覚えて呼び始める。その夜、王国の結界に映らない魔獣が村を襲う。結界が見張るのは窓を持つ者だけで、窓の無い魔獣は、圏外のミナトと同じように網をすり抜けていた。前の人生の言葉で言えば、検索の索引(インデックス)に載っていない物は、どれだけ近くにあっても検索には出てこない。ミナトは魔獣に〈ナナシ〉と名を付け、結界に映させて村を守る。村人に名を呼ばれ、ミナトに初めて順位が付く。けれど、名前を持った物は強くなる。〈ナナシ〉の順位もまた、上がり始めていた。

作者

ka2uma

縦読み漫画の作者

仕事の現場を題材に、台本から縦読み漫画を作っています。

この作品について

Web の集客の仕事で使う「見つけてもらう仕組み」を、誰もが順位の窓を持つ異世界に置きかえて描いています。

制作に生成 AI を使用。企画・編集:H株式会社・利用ガイド

通知

お気に入り(♡)にした作品に新しい話が出た時に、毎週金曜(更新の日)の選んだ時刻に1回だけ知らせます。

届く時刻

iPhone・iPad は、ホーム画面に追加したアプリから開いた時だけ通知を受け取れます(Safari のままでは受け取れません)。