第3話

第3話「推薦状」

村の門に、旗を掲げた騎士が馬で現れる。村人たちが遠巻きに見ている。

王都騎士団の使者ベルナー

ベルナー:剣士リゼ。
王都推薦により、
騎士学院への入学を許す。
三日後に発つ。

目を輝かせたリゼが、隣のミナトを振り返る。

リゼ:ミナトも、
一緒に行けない?
付き人とか!

ベルナー:王都の門は、
王国内順位が十万位より
下の者を通さない。
付き人も、同じだ。

自分の頭の上を見上げるミナトの顔。

検索順位:村内 37位王国内順位:圏外

村の中で呼ばれても、
村の外には、届かない。

夜の丘。ミナトが目の前の空中に指で触れる。「ピ」の描き文字。

――二、ほかの者から〈つながれた〉数推薦状・弟子入り・仲間入りで、つながりが生まれる。順位の高い者からのつながりほど、重く数える。

前の人生で言う、
ほかのサイトから張られた
リンクだ。

検索の仕組みを作った人たちは、
最初の論文に書いていた。
多くのページから指されるか、
順位の高いページから
指されたページは、重い、と。

ミナト:数を集めるか、
重い一通をもらうか。
――三日で、両方だ。

朝の村の道。紙の束と羽ペンを抱えて家々を回るミナト。
パン屋の台の上で、ハンスが紙にペンを走らせようとしている。ミナトがそばに立つ。

ミナト:推薦状を、
一行だけ、
書いてもらえませんか。

ハンス:いいとも!
「いい子です」って
書いとくよ!

ミナト:……できれば、
「結界に映らない魔獣を、
名前で見つけた男」と。

推薦状は、中身で
伝わり方が変わる。
「いい子」だけでは、
何をした人か、分からない。

ミナトの手に重なった十数通の推薦状。

つながり:12王国内順位:圏外 → 412,086位

ミナト:十二通で、四十一万位。
村の中の順位の人から
何通もらっても、
王国では、まだ軽い。

成人の儀でミナトを笑った村の若者が、銅貨を手のひらで鳴らしながら近づく。

若者:推薦状、
集めてんだって?
銅貨一枚で、
十通書いてやるよ。

ミナト:いらない。

前の人生でも、
順位のためのリンクの売り買いは、
検索の決まりで
禁じられていた。
そうやって順位を買った店が、
ある日まとめて沈むのを、
何度も見た。

杖をついた鋭い目の老婆が、家の戸口からミナトを見下ろす。

村長オルガ

村長 Lv.31・王国内順位 52,770位

オルガ:推薦状が欲しいなら、
まず、わしに
何をしたか、言いな。

ミナト:結界が鳴らなかった理由を、
見つけました。
窓の無い物は、
結界に映らない。

ミナト:だから、名前を付けて、
映るようにしました。

机で封蝋を押すオルガ。ミナトがかしこまって待つ。

オルガ:推薦状は、
書いた者の名前も
背負うんだよ。
――しくじるんじゃないよ。

村長オルガから、つながれました王国内順位:412,086位 → 153,940位

ミナト:一通で、
二十五万位。
重さが、違う。

出発の朝の村の門。荷馬車に乗ったリゼ、馬上のベルナー、見送る村人たち。

ベルナー:十五万位か。
……足りんな。
付き人は、置いていけ。

唇をかむミナトの顔の大写し。
荷馬車から飛び降りたリゼが、ミナトの手から紙を取る。

リゼ:私が書く!

ベルナー:王都推薦の者の推薦状は
重いぞ。
中身の無い物なら、
お前の順位も下がる。

リゼ:中身なら、
ある。

羽ペンで紙に勢いよく書くリゼの手。

推薦状この人は、結界に映らない魔獣に名前を付けて、私と村を守った。――剣士リゼ

リゼの頭の上からミナトの頭の上へ、光の糸が流れてつながる。「キィン」の描き文字。

剣士リゼ(王国内順位 8,203位)から、つながれました王国内順位:153,940位 → 97,402位

ベルナー:……九万七千位。
通れ。

数より、誰に、
何と書いて、つながれたか。
――この世界でも、
同じだった。

街道の先にそびえる王都の城壁と大きな門。

王都。
王国中の窓が、
集まる場所。

人であふれる王都の大通り。

鍛冶屋 Lv.22・王国内順位 31,005位

薬師 Lv.19・王国内順位 64,118位

冒険者ギルドの広間。壁一面の掲示板に、依頼の紙がびっしり貼られている。
掲示板の隅に、黄ばんだ依頼の紙が一枚だけ取り残されている。

冒険者ギルド 依頼北の森の調査 報酬 銀貨三枚(受けた者:0人・掲示から41日)

受付の台の向こうで、眼鏡の若い女性がため息をつく。

冒険者ギルド 受付セラ

セラ:その依頼、
誰も読まないのよ。
……題名が、悪いから。

ミナトの目の大写し。光が走る。

ミナト:題名。
――俺の、
得意な所だ。

北の森魔獣〈ナナシ〉 王国内順位:41,229位(上昇中)

北の森の奥で、模様の増えた魔獣の目が開く。

圏外の転生者

第3話「推薦状」終

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この話で分かること

被リンクとは? どんなリンクが効く?

被リンクは、ほかのサイトから自分のページへ張られたリンクです。Google は、ページどうしのリンクのつながりから、ページの中身と、検索した人に最も役に立つページを判断していて、その仕組みの一つ PageRank は今もコアのランキング システムの一部として働いています。

条件・例外

順位を上げるためにリンクを売り買いすることは、Google のスパムに関するポリシーで「リンクスパム」とされています。広告やスポンサーとしてのリンクは、rel="sponsored" や rel="nofollow" を付けていれば違反になりません。

物語との違い

作中では、推薦状の数と、書いた人の順位で値が決まります。現実の Google はリンクを多くの仕組みの一つとして見ており、リンクだけで順位が決まるわけではありません。

出典

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この話のあらすじ

王都推薦を受けたリゼに、騎士学院から迎えが来る。付き人として同行したいミナトに、使者は言う。王都の門は、王国内順位が十万位より下の者を通さない。村の中で名を呼ばれても、王国の順位は「圏外」のままだった。ミナトは順位の決め方の二つ目、ほかの者からの〈つながり〉に目を付ける。前の人生で言う、ほかのサイトから張られたリンクだ。順位の高い者からのつながりほど重く、推薦状に何をした人かが書かれているほど伝わる。金で書かせる推薦状は断り、村長オルガの一通で大きく順位を上げるが、まだ足りない。出発の朝、リゼが自分の名で推薦状を書く。たどり着いた王都の冒険者ギルドで、ミナトは四十一日誰も受けていない北の森の依頼と、受付のセラに出会う。その森には、順位を上げ続ける〈ナナシ〉がいた。

作者

ka2uma

縦読み漫画の作者

仕事の現場を題材に、台本から縦読み漫画を作っています。

この作品について

Web の集客の仕事で使う「見つけてもらう仕組み」を、誰もが順位の窓を持つ異世界に置きかえて描いています。

制作に生成 AI を使用。企画・編集:H株式会社・利用ガイド

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