第1話「行を、そろえる」
この作品には、D株式会社

葦原運送 総務
葦原運送
午前6時の配車室
荷主の声(電話の声):4号車
今どこ?

小早川 千尋:はい
確認します
少々お待ちください

鬼頭 達男:4号車は
厚木を出た
鬼頭 達男:10時には着く
葦原運送 配車係

小早川 千尋:10時着の予定です
はい
失礼します
朝の電話は
ほとんどが「今どこ?」


葦原 宗一:小早川
来たぞ
葦原 宗一:AIの見積もり
3社とも
葦原運送 社長

「問い合わせの電話を
AIで受けろ」
社長に言われて
ひと月


小早川 千尋:え どれも
「AIが電話に出ます」
なのに
小早川 千尋:120万と
900万︙︙

葦原 宗一:0円が
あるじゃねえか
葦原 宗一:タダなら
タダがいい

鬼頭 達男:タダより高え
もんはねえ

葦原 宗一:明日の朝9時の
会議で決める
葦原 宗一:3社の違い
まとめとけ

小早川 千尋:︙︙違いって

楠木 遼(電話の声):小早川さん
前の会社以来だね

小早川 千尋:ごめんね
昼に
小早川 千尋:どれが
正しい値段か
分からなくて

楠木 遼(電話の声):値段の前に
楠木 遼(電話の声):3社とも
AIに何をさせるって
書いてある?

小早川 千尋:えっと
電話に出る

楠木 遼(電話の声):出て
何をするの?

小早川 千尋:︙︙

小早川 千尋:「今どこ?」に
答えてくれたら
助かるけど
小早川 千尋:それ
頼んだっけ︙︙

楠木 遼(電話の声):そこが無いと
3社とも
別の物を思い浮かべて
値段を付けちゃうんだよね

楠木 遼(電話の声):行を
そろえてみたら

楠木 遼(電話の声):どれを選べとは
言わないよ
楠木 遼(電話の声):決めるのは
葦原運送だから


午後8時


小早川 千尋:A社
「開発一式」
小早川 千尋:決める打ち合わせ
︙︙無い
小早川 千尋:B社は
「要件定義」
「配車の表とつなぐ」

小早川 千尋:それに
保守が月15万
小早川 千尋:えっ
最低
36か月︙︙


小早川 千尋:うそ
3年で
350万超え

小早川 千尋:荷主さんの名前も
番号も入るのに
見積もりの

3社とも
嘘は書いていない

件名:お見積もりの

うちが
1行しか
書かなかった

作る物を決めずに
値段だけを
比べていた

葦原 宗一:まだいたのか

小早川 千尋:社長
この3つ
比べられません
小早川 千尋:3社とも
違う物の値段です

葦原 宗一:︙︙ややこしいな

葦原 宗一:0円のは
毎月取られるんだろ
葦原 宗一:なら120万で
終わる方がいい
葦原 宗一:明日の朝9時の
会議で決める

120万円で
終わる
――本当に?

つづく
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