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第1話「行を、そろえる」

この作品には、D株式会社のサービスが登場します

朝の運送会社の配車室を、高い所から見下ろす縦長の1枚。上の方の窓の外に、夜明けの青い車庫と並んだトラック。下へたどると、壁一面のホワイトボード(字は無い)、鳴っている3台の電話。いちばん下の机で、片耳にヘッドセットを付けた短い黒髪の女性が、受話器を肩に挟みながら別の電話のボタンを押している。

葦原運送 総務(34)小早川 千尋

葦原運送
午前6時の配車室

荷主の声(電話の声):4号車
今どこ?

女性の胸から上。ヘッドセットのマイクに口を寄せ、目は机の向こうの配車係の背中を探している。手元に付箋の山。

小早川 千尋:はい
確認します
少々お待ちください

配車係の机の寄り。白髪まじりの角刈りの男が、無線のマイクを握ったまま、首だけ振り返る。紺の作業着の胸に反射のない名札(字は無い)。

鬼頭 達男:4号車は
厚木を出た

鬼頭 達男:10時には着く

葦原運送 配車係(58)鬼頭 達男

女性の手元の寄り。受話器を肩に挟み、もう一方の手が、点滅する次の電話のボタンへ伸びる。紺の上着の袖、黄色い蛍光ペンが机に転がる。

小早川 千尋:10時着の予定です
はい
失礼します

朝の電話は
ほとんどが「今どこ?」

配車係の男の横顔。無線機に手を置いたまま、窓の方を見据える。後ろの壁に時計。机の上に運転日報の束。

鬼頭 達男:2024年問題から
1台も
待たせられねえ

物流の2024年問題の解説

現実の事実トラックなどの運転者の時間外労働(じかんがいろうどう)に、2024年4月から上限が付いたことで起きる運び手の不足のことです。上限は原則月45時間・年360時間、特別な事情がある時でも年960時間です。同じ時に、拘束時間(こうそくじかん)の上限と休息期間(きゅうそくきかん)を決めた「改善基準告示(かいぜんきじゅんこくじ)」も見直されました。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

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配車室の扉が開き、恰幅のいい年配の男が入ってくる。灰色の背広に会社のジャンパーを羽織り、片手に茶封筒を3つ扇のように持っている。

葦原 宗一:小早川
来たぞ

葦原 宗一:AIの見積もり
3社とも

葦原運送 社長(63)葦原 宗一

女性の机の上に、茶封筒が3つ放られる寄り。滑った封筒が付箋の山を崩す。社長の袖が端に。

「問い合わせの電話を
AIで受けろ」
社長に言われて
ひと月

女性が封筒から3通の見積書を出して、机に並べる。左から順に1枚ずつ、ヘッドセットを首に下ろして見比べる。

御見積書 3通A社 AI電話応答システム 開発一式 1,200,000円(税別)B社 AI電話受付システム 導入 9,000,000円(税別)C社 AI電話サービス 初期費用 0円

税別(ぜいべつ)の解説

現実の事実消費税を含まない値段のことです。税込みの値段を示す「総額表示」の義務は、事業者(じぎょうしゃ)が消費者(しょうひしゃ)に向けて前もって示す値段が対象です。会社どうしの見積書は消費者への表示ではないので、税別で書かれている事があり、比べる時は税込みか税別かを先にそろえます。

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女性の顔の寄り。3枚の金額を指でなぞりながら、眉を寄せる。

小早川 千尋:え どれも
「AIが電話に出ます」
なのに

小早川 千尋:120万と
900万︙︙

社長が女性の肩越しに身を乗り出し、C社の見積書を指で叩く。満足そうな顔。

葦原 宗一:0円が
あるじゃねえか

葦原 宗一:タダなら
タダがいい

配車係の男が、背中を向けたまま無線のマイクを持ち上げる。口の端だけが見える。

鬼頭 達男:タダより高え
もんはねえ

社長が胸を張り、腕時計を見る。窓の朝日が背広の肩に当たる。

葦原 宗一:明日の朝9時の
会議で決める

葦原 宗一:3社の違い
まとめとけ

女性の顔の寄り。口を開きかけたまま、また鳴りだした電話に目を落とす。

小早川 千尋:︙︙違いって

昼の小さな会議室の引き。窓の外に車庫とトラックの荷台。長机の端に、女性が1人でノートPCを開き、3通の見積書を横に置いている。手にコンビニのおにぎり。
ノートPCの画面の寄り。ビデオ通話に、眼鏡の細身の男が映っている。後ろは無地の壁でぼかしてある。画面の下の名前の札(字は無い)。

D株式会社 AI・システム開発(35)楠木 遼

楠木 遼(電話の声):小早川さん
前の会社以来だね

女性がノートPCのカメラに向けて3通の見積書を扇のように掲げる。少し照れた顔。

小早川 千尋:ごめんね
昼に

小早川 千尋:どれが
正しい値段か
分からなくて

画面の中の男が、顎に手を当てて見積書をのぞき込む。眼鏡に画面の光。

楠木 遼(電話の声):値段の前に

楠木 遼(電話の声):3社とも
AIに何をさせるって
書いてある?

A社の見積書の頭の行を、人差し指でたどる手元の寄り。紺の袖。横にノートPC。

小早川 千尋:えっと
電話に出る

画面の中の男の寄り。眼鏡の奥で目を細め、静かに聞き返す。

楠木 遼(電話の声):出て
何をするの?

女性の顔の寄り。口を開いたまま止まる。こめかみに汗。おにぎりを持つ手が宙で止まる。

小早川 千尋:︙︙

女性が会議室の窓の外のトラックを見ながら、思い出すように話す横顔。

小早川 千尋:「今どこ?」に
答えてくれたら
助かるけど

小早川 千尋:それ
頼んだっけ︙︙

画面の中の男が、少し笑ってうなずく。手に持ったボールペンを指で回す。

楠木 遼(電話の声):作る物を
先に決めるのを
要件定義っていうんだ

要件定義(ようけんていぎ)の解説

現実の事実システムを作る前に、何のために・何を・どこまでできれば良いかを決めることです。IPA(情報処理推進機構)のガイドは、事業や業務の要求を決める段と、システムに求めることを決める段に分け、頼む側(ユーザ)が主になって関わる事を勧めています。ここが曖昧だと、見積もりも会社ごとに別の物になります。

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楠木 遼(電話の声):そこが無いと
3社とも
別の物を思い浮かべて
値段を付けちゃうんだよね

真上から見た机の上。3通の見積書を、両手でゆっくり横一列に並べ直す。指先が紙の縁をそろえる。

楠木 遼(電話の声):行を
そろえてみたら

画面の中の男が、手を軽く上げて通話を切りかける。画面の端に「通話を終了」のボタンの形(字は無い)。

楠木 遼(電話の声):どれを選べとは
言わないよ

楠木 遼(電話の声):決めるのは
葦原運送だから

女性が黄色い蛍光ペンのキャップを口でくわえて外す。目はまっすぐ見積書へ。

AI・システム開発とはD株式会社の、業務システムや生成AIを使った道具を、企画・設計・開発・運用まで一貫して手がける支援です。

夜の会議室の引き。窓の外は暗い車庫で、トラックの尾灯だけが赤く小さい。天井の明かりは長机の上だけ。女性が見積書と定規と付箋を広げて立っている。

午後8時

女性の手元の寄り。定規を見積書に当て、蛍光ペンで1行目に線を引く。紺の袖、ペン先から黄色い線が伸びる。
女性の顔の寄り。下から机の上の明かりに照らされ、B社の見積書を目の高さに持ち上げて読む。

小早川 千尋:A社
「開発一式」

小早川 千尋:決める打ち合わせ
︙︙無い

小早川 千尋:B社は
「要件定義」
「配車の表とつなぐ」

女性がC社の見積書の裏をめくる。裏面の小さな字の欄(読めない線)を、目を細めて追う。

小早川 千尋:それに
保守が月15万

小早川 千尋:C社
初期0円で
月9万8千円

小早川 千尋:えっ
最低
36か月︙︙

SaaS(サース)の解説

現実の事実ソフトを買って自社に置くのではなく、インターネットの向こうで動くソフトの働きを、月や年の料金で使う形のクラウドサービスです(総務省の情報通信白書の分け方)。初めの費用が少ない代わりに、使う間は料金がかかり、最低の契約期間が付く事があります。

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女性の手元の寄り。電卓を叩く指。電卓の画面は光るだけで字は無い。
女性が長机の上に、付箋を貼りながら3通を横一列に並べ、行ごとに定規を当てていく。机の端から端まで、黄色い線が少しずつ増えていく。

小早川 千尋:うそ
3年で
350万超え

小早川 千尋:通話の録音は
どこに置くの?

通話の録音と個人情報の解説

現実の事実通話の中身から特定の人が分かる時は、録音も個人情報に当たります。その時、会社は使う目的を相手に知らせるか公表する決まりがあります(録音している事を伝える義務までは無い)。AIに電話を任せる時は、録音をどこに置き、誰が見られるかも決める事の1つです。

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夜の会議室の長机を、斜め上から見下ろす縦長の1枚(作品の顔)。いちばん上で、女性が身を乗り出し、定規を縦に当てて、蛍光ペンで最後の1本を引いている。その下へ、3通の見積書が縦に並び、蛍光ペンの黄色い線が何本も横切る。線が通る所と、紙が白いまま空いている所がはっきり分かる。定規に沿って「シャーッ」の描き文字。机の上だけが明るく、周りは暗い紺。

小早川 千尋:荷主さんの名前も
番号も入るのに

見積もりの行をそろえる作る物を決める打ち合わせ A — B ○ C —AIが電話に出る A ○ B ○ C ○配車の表とつなぐ A — B ○ C —通話の録音の置き場 A — B 社内 C サービスの側保守 A — B 月15万円 C 月の料金に含む月の料金 A — B — C 9万8千円・最低36か月

人物のいない全面の1枚。暗い紺の地の右の3分の2に、3通の見積書の行を横切る黄色い線と、線の無い白い空きの行が、上から下へ交互に流れる。空きの行だけがぼんやり白く浮く。

3社とも
嘘は書いていない

女性がノートPCで、ひと月前に3社へ送ったメールを開く。画面の光が顔を下から照らす。

件名:お見積もりのお願いお問い合わせの電話を、AIで受けたいです。お見積もりをお願いいたします。葦原運送 総務 小早川

女性の顔の大写し。目を見開き、唇を噛む。画面の白い光と机の黄色い線の照り返し。

うちが
1行しか
書かなかった

人物のいない全面の1枚。暗い紺の地に、ノートPCの画面の白い光だけが四角く浮き、その中のたった1行のメールの形(字は読めない線)が、遠くまで続く空きの行に囲まれている。

作る物を決めずに
値段だけを
比べていた

会議室の扉が開き、帰り支度のジャンパー姿の社長が顔を出す。長机いっぱいの線を引いた見積書に目を丸くする。

葦原 宗一:まだいたのか

女性が定規を置き、社長に向き直る胸から上。背筋を伸ばす。

小早川 千尋:社長
この3つ
比べられません

小早川 千尋:3社とも
違う物の値段です

社長が机に手をつき、線だらけの見積書を見下ろす。頭を掻き、面倒くさそうに口をへの字にする。

葦原 宗一:︙︙ややこしいな

社長が扉の所で振り返り、ジャンパーの襟を立てる。廊下の明かりを背に、顔の半分が影。

葦原 宗一:0円のは
毎月取られるんだろ

葦原 宗一:なら120万で
終わる方がいい

葦原 宗一:明日の朝9時の
会議で決める

女性の手元の寄り。A社の見積書の「保守」の行に定規を当てたまま、蛍光ペンが止まっている。そこだけ、線を引く物が何も無い白い空き。

120万円で
終わる

――本当に?

夜の会社を外から見上げる縦長の1枚。いちばん上に、2階の会議室の窓だけが明るく、窓辺に立つ女性の小さな影。下へたどると、暗い車庫に並んだトラック、いちばん下の1階の配車室の窓の中で、誰もいない机の電話のランプが1つだけ点滅している。「プルル」の描き文字が窓の中に小さく。

つづく

第1話「行を、そろえる」

つづく

制作に生成 AI を使用(生成 AI の使い方)

利用ガイド

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・店は架空です。
作中の「D株式会社」は、実在の会社です。

AI・システム開発

サービスD株式会社のAI・システム開発。業務システムやWebサービスの開発から、生成AIを使った新しいサービス・業務の効率化の道具の開発まで、企画・設計・開発・運用を一貫して支えるサービスです。

D株式会社

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見積もり3社。120万円と900万円と、0円

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この話で分かること

AIの開発の見積もりは、どこを比べればいい?

何社かから見積もりを取って比べる(相見積もり)時は、金額の前に、行をそろえて比べます。この話では、作る物を決める打ち合わせ(要件定義(ようけんていぎ))・AIが電話に出る仕組み・配車(はいしゃ)の表とのつなぎ・通話の録音の置き場・保守・月の料金の6つの行で、3社の見積もりに入っている物と入っていない物が違っていました。入っていない行は、後から別の費用になるか、誰もしない仕事になります。

条件・例外

行の名前は、作る物によって変わります。

物語との違い

作中の会社・見積もり・金額は架空です。

見積もりが会社ごとに何倍も違うのはなぜ?

頼む側が「何を作るか」を決めずに見積もりを頼むと、会社ごとに別の物を思い浮かべて値段を付けるからです。この話の頼みは「お問い合わせの電話を、AIで受けたいです。」の1行だけで、ある会社は電話に出る仕組みだけ、ある会社は配車(はいしゃ)の表とのつなぎと保守まで、ある会社は月の料金で使うサービスで答えました。どれも書いた範囲では正しい見積もりです。

条件・例外

同じ物を頼んでも、会社の作り方で値段は変わります。

物語との違い

作中の3社は架空で、実在の会社の値段ではありません。

初期費用0円のサービスは、結局いくらかかる?

月の料金と、最低の契約期間を掛けた額が、少なくともかかります。この話のC社は、月9万8千円・最低36か月で、3年で350万円を超えます。通話料などが別にかかるかも、見積書の裏の欄で確認します。

条件・例外

料金の形はサービスごとに違います。

物語との違い

作中の料金は架空です。

AIに電話を任せる時、録音はどう扱う?

通話の中身から特定の人が分かる時は、録音も個人情報に当たり、使う目的を知らせるか公表する決まりがあります。AIに電話を任せる時は、録音をどこに置き、誰が見られ、いつ消すかも、作る物を決める時の項目に入れます。

条件・例外

個別の扱いは、個人情報保護委員会の資料や専門家で確認します。

この話の用語

物流の2024年問題漫画の中で見る
現実の事実トラックなどの運転者の時間外労働(じかんがいろうどう)に、2024年4月から上限が付いたことで起きる運び手の不足のことです。上限は原則月45時間・年360時間、特別な事情がある時でも年960時間です。同じ時に、拘束時間(こうそくじかん)の上限と休息期間(きゅうそくきかん)を決めた「改善基準告示(かいぜんきじゅんこくじ)」も見直されました。
税別(ぜいべつ)漫画の中で見る
現実の事実消費税を含まない値段のことです。税込みの値段を示す「総額表示」の義務は、事業者(じぎょうしゃ)が消費者(しょうひしゃ)に向けて前もって示す値段が対象です。会社どうしの見積書は消費者への表示ではないので、税別で書かれている事があり、比べる時は税込みか税別かを先にそろえます。
要件定義(ようけんていぎ)漫画の中で見る
現実の事実システムを作る前に、何のために・何を・どこまでできれば良いかを決めることです。IPA(情報処理推進機構)のガイドは、事業や業務の要求を決める段と、システムに求めることを決める段に分け、頼む側(ユーザ)が主になって関わる事を勧めています。ここが曖昧だと、見積もりも会社ごとに別の物になります。
SaaS(サース)漫画の中で見る
現実の事実ソフトを買って自社に置くのではなく、インターネットの向こうで動くソフトの働きを、月や年の料金で使う形のクラウドサービスです(総務省の情報通信白書の分け方)。初めの費用が少ない代わりに、使う間は料金がかかり、最低の契約期間が付く事があります。
通話の録音と個人情報漫画の中で見る
現実の事実通話の中身から特定の人が分かる時は、録音も個人情報に当たります。その時、会社は使う目的を相手に知らせるか公表する決まりがあります(録音している事を伝える義務までは無い)。AIに電話を任せる時は、録音をどこに置き、誰が見られるかも決める事の1つです。

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  2. 2AI が開く設定とあらすじが入る
  3. 3一緒に考える展開・台詞・絵の指示を相談
例:AI との相談

あなた明日の朝9時の会議で、千尋が社長に最初に言う一言を考えたい

AI値段を比べる前に、「電話に出たAIに何をしてほしいか」を3つに絞って見せる形が、第2話の入口になります。たとえば「今どこ?」に答える・配車係へつなぐ・夜は伝言を残す、のどれを先にするかです。

あなたその場面の台詞を

AI千尋「選ぶのは、来週にさせてください」。社長「なんでだ」。千尋「3社に、同じ紙を送り直します。何をしてほしいか、うちが書いた紙を」。

送る質問あらすじを踏まえて、次の話の展開を一緒に考えて

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この話のあらすじ

社員60人の葦原運送。総務の小早川 千尋は、朝の配車(はいしゃ)室で「今どこ?」の電話を受け続けている。ひと月前、社長の葦原 宗一に「問い合わせの電話をAIで受けろ」と言われ、3社に見積もりを頼んだ。届いたのは、A社の開発一式 120万円、B社の導入 900万円、C社の初期費用0円。社長は「タダならタダがいい」と言い、明日の朝9時の会議で決めると言い残す。昼休み、千尋は前の会社の同期で、いまはD株式会社でAI・システム開発に関わる楠木 遼にビデオ通話で相談する。楠木は値段を言わず、「3社とも、AIに何をさせるって書いてある?」と聞き返し、「行を、そろえてみたら」とだけ言う。その夜、千尋は会議室の長机に3通を並べ、行ごとに線を引いていく。決める打ち合わせ、配車の表とのつなぎ、通話の録音の置き場、保守、月の料金。線の通らない白い空きが、行ごとに違っていた。3社とも嘘(うそ)は書いていない。千尋が送った頼みは「お問い合わせの電話を、AIで受けたいです。」の1行だけだった。帰りがけの社長は「0円のは毎月取られるんだろ。なら120万で終わる方がいい」と言う。千尋の手元のA社の見積書には、保守の行がどこにも無かった。

作者

D株式会社

AI・システム開発から、社外CAIO(AI顧問)・常駐型現場伴走支援・マーケティング支援・法人向けAI研修まで、会社の AI の活用を支える会社です。

この作品について

AIのシステムを外に頼む時、見積もりのどこを比べ、何を先に決めればいいか。行をそろえる比べ方・要件定義・保守・月の料金の読み方を、運送会社の総務の目で1つずつ追えます。

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