トゥーンエルは β版です。作品・画面は毎週よくしていきます。

圏外の転生者

圏外の転生者

第1話「検索順位:圏外」

誰にも見つけてもらえないものは、
存在しないのと同じだ。

深夜のオフィス。モニターの明かりだけがともり、男の手がキーボードの上にある。

検索順位の推移3位 → 12位 → 48位 → 圏外

湊:……3位から、
圏外。

目の下にくまのある男の横顔。机には栄養ドリンクの空き瓶が並ぶ。

十年。順位を上げる仕事をしてきた。
客の店を、客の名前を、
誰かに見つけてもらうために。

立ち上がった男の体が傾く。「ぐらっ」の描き文字。

――自分の名前を検索したことは、
一度もなかった。

白い光の中で、赤ん坊が目を開ける。目元のアップ。

――新しい個体を登録しました。名前:未登録検索順位:計測中……

十五年後。

辺境の村。麦畑と木の柵。少年が空を見上げ、村人たちの頭の上には小さな四角い窓が浮かんでいる。

パン屋 Lv.8・村内順位 14位

狩人 Lv.10・村内順位 6位

この世界では、
誰もが頭の上に〈窓〉を持つ。
窓に書かれた順位が、
その人の値打ちだ。

木刀を肩に担いで、笑顔で駆けてくる少女リゼ。頭の上に窓が浮かぶ。

リゼ:ミナト!
明日だよ、成人の儀!

リゼ 剣士 Lv.12・村内順位 1位

少年ミナトの頭の上。窓は無く、何も浮かんでいない。

リゼ:……まだ出ないね、
窓。

ミナト:十五で出ない奴もいるって、
神官さんが言ってた。

石造りの神殿。並ぶ若者たちと大きな水晶。鑑定官が手をかざし、リゼの窓が強く光る。「キィィン」の描き文字。

剣士 Lv.12称号〈王都推薦〉王国内順位 8,203位

群衆:王都推薦だ!

群衆:村から
初めてだぞ!

水晶の前に一人で立つミナト。何も起きない。

名前:ミナト職業:なしレベル:1検索順位:圏外

静まり返った神殿。困った顔の鑑定官。

鑑定官:け、圏外……?
水晶が、君を
〈見つけられない〉と
言っている。

ミナトを指さして笑う村の若者たち。

若者:圏外って、
いないのと同じじゃん!

ミナトの顔のアップ。うつむかず、目が少し笑っている。

ミナト:……圏外。
懐かしい言葉だ。

夜、村はずれの丘に一人で座るミナト。

前の人生で、何千回も見た。
圏外は〈いない〉じゃない。
〈まだ、見つけられていない〉だけだ。

ミナトが目の前に浮かぶ窓に指で触れる。「ピ」の描き文字。

――検索順位の決め方を表示しますか?はい / いいえ

この世界の順位は、次の3つで決まる。一、名前を呼ばれた回数二、ほかの者から〈つながれた〉数三、行いが、言葉として残っている量

検索順位の決まり方の解説

作中の世界の決まり作中の世界では、順位は「名前を呼ばれた回数」「ほかの者から〈つながれた〉数」「行いが、言葉として残っている量」の3つで決まります。これは物語の中の決まりで、現実の検索の仕組みをそのまま書いたものではありません。

現実の事実Google は、検索した言葉に合うページを、集めたページの目録(インデックス)から探し、関連性が高く品質が高いと判断したページを検索結果に出すと説明しています。関連性は、検索した人の所在地や言語、パソコンかスマートフォンかといった情報を含む、数多くの要素で決まります。

ほかのページからのリンクは順位に関係する?
Google は、ページどうしのリンクを理解する仕組みを使っていると説明しています。その一つの PageRank は、サービスを始めた頃から使われ、今もランキングの中心の仕組みの一つです。ただし、順位はリンクだけでは決まりません。
順位は誰が検索しても同じ?
同じとは限りません。Google は、検索した人の所在地・言語・端末などで関連性が変わると説明しています。同じ言葉でも、探す人や場所によって並びが変わることがあります。

出典

ミナト:……知ってる。
これ、知ってるぞ。

夜空の下に立つミナトの背中。遠くに王都の灯りが見える。

この世界の仕組みは、
俺が十年いじってきた物と
同じ形をしていた。

森の奥にそびえる巨大な魔獣の影。「ズ……ン」の描き文字。

災厄級 魔獣〈名無しの王〉検索順位:圏外

その夜、村の近くで、
もう一つの〈圏外〉が目を覚ました。

圏外の転生者

第1話「検索順位:圏外」終

この話で分かること

この話の用語

検索順位の決まり方漫画の中で見る
作中の世界の決まり作中の世界では、順位は「名前を呼ばれた回数」「ほかの者から〈つながれた〉数」「行いが、言葉として残っている量」の3つで決まります。これは物語の中の決まりで、現実の検索の仕組みをそのまま書いたものではありません。
現実の事実Google は、検索した言葉に合うページを、集めたページの目録(インデックス)から探し、関連性が高く品質が高いと判断したページを検索結果に出すと説明しています。関連性は、検索した人の所在地や言語、パソコンかスマートフォンかといった情報を含む、数多くの要素で決まります。

出典

更新日:

この話のあらすじ

主人公のミナトは、前世で人や店の「見つけられ方」を上げる仕事をしていた。生まれ変わった世界では、誰もが頭の上に順位の窓を持ち、その順位が値打ちになる。ミナトだけが「圏外」と表示され、村の笑いものになる。けれど彼にとって圏外は「いない」ではなく「まだ見つけられていない」という意味だった。窓に現れた順位の決め方――名前を呼ばれた回数、ほかの者とのつながり、行いが言葉として残る量――は、彼が前世で扱ってきた仕組みとよく似ていた。その夜、村の近くの森で、もう一つの「圏外」が目を覚ます。

作者

ka2uma

縦読み漫画の作者

仕事の現場を題材に、台本から縦読み漫画を作っています。

この作品について

Web の集客の仕事で使う「見つけてもらう仕組み」を、誰もが順位の窓を持つ異世界に置きかえて描いています。