第3話「足跡は消える」

フミ:矢代さん︒
フミ:1時52分︑
あんたは5Aの横で
何をしてた︒

女:︙︙写真︑
ですか︒
鷺沢:お前か!!

誠:落ち着いて
ください!
女:私は︑
盗っていません︒
女:その時︑
鞄の中に︑
ダイヤは
ありました︒
フミ:見たのかい︒
女:見ました︒

ハル:じゃあ︑
盗まれたのは
1時52分より
後︙︙︒
フミ:その頃︑
運転手はもう
バスの外だ︒
フミ:それに︑
戻ってきてたら︑
あの人は真っ先に
マフラーを見てる︒
フミ:運転手って
のは︑
そういうもんだ︒
鷺沢:じゃあ
どこへ行った!
客を置いて!

岩淵:︙︙立ち往生したら︑
車の中に
いるのが原則だ︒
岩淵:外は危ねえし︑
外より中の方が
あったけえ︒
フミ:それでも
出たのは︑
電波が無いからだ︒

フミ:この先に︑
古いトンネルがある︒
入口に︑
非常電話があるはずだよ︒
岩淵:鴉ノ峠トンネル︒
ここから
1キロちょっとだ︒

フミ:私も昔︑
雪の夜に︑
あの電話まで
歩いたことがある︒
フミ:久我さんは︑
電話をかけて︑
すぐ戻る
つもりだった︒
フミ:戻れない何かが︑
あったんだよ︒
ハル:助けに
行かないと︙︙!
フミ:今は行かない︒
この雪じゃ︑
迷う人が
増えるだけだ︒

フミ:雪が弱まったら︑
私が行く︒
ハル:︙︙私も
行きます︒
フミ:あんたは
写真を撮りな︒
それが今︑
一番の
手がかりだ︒

誠:あの︙︙
僕ら︑
起きてました︒
誠:運転手さん︑
出ていく前に
放送してました︒

久我:雪で
前に進めません︒
電話をかけに︑
トンネルまで
行ってきます︒
久我:30分で
戻ります︒
車内で
お待ちください︒
フミ:ほらね︒
置いていったんじゃ
ない︒
フミ:その放送︑
ほかに
聞いた人は?

誠:あの女の人と︙︙
宝石の人も︑
起きてました︒
鷺沢:俺は
寝ていた!
ハル:運転手さんが
いなくなると
知ってたのに︑
黙ってた︙︙?
フミ:寝てた人は︑
運転手が
消えたと聞いて︑
あんなふうに
叫ばないよ︒
フミ:「どこへ行った」
じゃなくて︑
「何があった」
って聞くもんだ︒

女:︙︙もう︑
隠しても
仕方ないですね︒

損害保険会社 調査部霧島 奏
霧島:矢代は︑
私の同僚です︒
熱を出したのは
本当︒
霧島:私は︑
この人を見張るために
乗りました︒
霧島:鷺沢さんは
半年前︑
あのダイヤに
2億円の保険を
かけています︒
ハル:保険︙︙?
霧島:この人の会社は︑
借金で
傾いている︒


霧島:ダイヤは︑
盗まれてなんか
いません︒
霧島:まだ︑
このバスのどこかに
ある︒
霧島:この人が︑
自分で隠した︒
鷺沢:で︑でたらめだ!
証拠は!
車内が︑
しんと
静まり返った︒


暖房の音が︑
止まった︒
岩淵:︙︙エンジンが︑
止まった︒

外は︑
零下の吹雪︒
夜明けまで︑
あと3時間︒
乗客は七人のはずだった
第3話「足跡は消える」終





