第2話「名簿にない名前」

9A・名簿にない少年ソラ
フミ:坊や︑
名前は?
少年:︙︙ソラ︒
鷺沢:切符は!
名簿に無いぞ!
ソラ:僕は︑
最初から
乗ってた︒
ソラ:出発の
バス停から︒
トイレに︑
隠れてた︒
一人多いのは︑
この子だった︒
――そう思った︒
フミ:わけは︑
あとで聞くよ︒
フミ:じゃあ︑
名簿と顔を
合わせるよ︒
一人ずつ︑
名前を︒


乗客・6A・6B小野寺 誠・美月
誠:小野寺です︒
妻と︑
新婚旅行で︒
美月:︙︙はい︒
美月さんは︑
一度も
顔を上げなかった︒
フミ:最後︒
10D︑
矢代 透さん︒

女:︙︙矢代です︒
フミ:名簿の矢代さんは︑
男の人だよ︒
女:夫の切符です︒
夫が熱を出したので︑
私が代わりに︒
嘘だ︑と
フミさんの顔に
書いてあった︒
ハル:名簿にない人が︑
2人︙︙︒
フミ:それと︑
もう一人︒
フミ:この長さの夜行は︑
運転手が
2人乗ってる︒
交替の人が︑
床の下の部屋で
寝てるはずだよ︒


交替の運転手岩淵 健
岩淵:︙︙もう
着いたか?
ハル:止まってるんです!
雪で!
岩淵:︙︙頭が︑
割れそうだ︒
鳴海:床の下にも︑
排ガスが
来てたのかも︒
顔色︑見せて︒
岩淵:久我が
いない?
岩淵:客を置いて
どっか行く男じゃ
ねえぞ︒

岩淵:だめだ︒
無線も︑携帯も︑
電波が届かねえ︒
鷺沢:無い!!


鷺沢:『冬の瞳』が︑
無い!
鷺沢:2億円の︑
青いダイヤだぞ!

誠:運転手さんが
持って逃げた
︙︙とか?
鷺沢:そうだ︑
だから
消えたんだ!

岩淵:︙︙なんだ︑
これ︒
鷺沢:それだ!
ダイヤの袋だ!
袋は︑
空だった︒
美月:やっぱり︑
運転手さんが︙︙︒

フミ:違う︒
フミ:運転手は︑
お客を置いて
逃げたりしない︒
鷺沢:婆さんに
何が分かる!

フミ:40年︑
ハンドルを
握ってきた︒
フミ:それにね︒
盗んで逃げる人が︑
袋を自分の席に
置いていくかい︒
ハル:︙︙確かに︒
フミ:誰かが︑
運転手に
罪をかぶせたがってる︒

この中の︑
誰かが︒
30分たった︒
マフラーを
見に行く時間だ︒

フミ:あんた︑
写真を
たくさん撮ってたね︒
フミ:バスが止まる前後も︑
撮ってたかい︒
ハル:︙︙寝ぼけて︑
何枚か︒

DSC_0431 1:52(窓の外)

ハル:運転手さん︙︙!
前の方へ︑
歩いていく︒
フミ:1時52分︒
止まってすぐだ︒
フミ:この時は
足跡があった︒
2時14分には︑
もう消えてた︒
ハル:22分で︑
足跡が消えるほどの
雪︙︙︒
私は︑
その写真を
大きくした︒


止まってすぐの
車内で︒
灰色のコートの女が︑
宝石商の鞄に
手をかけていた︒
乗客は七人のはずだった
第2話「名簿にない名前」終





