第5話

第5話「呼ばせ屋」

王都の広場。人だかりが同じ方向へ腕を上げ、台の上の若い貴族の名を叫んでいる。

群衆:ローデリヒ様!

群衆:ローデリヒ様!

金の飾りの鎧を着た金髪の若い貴族が、台の上から群衆を見下ろして手袋を振る。枠から頭と肩がはみ出す。

伯爵家の息子・騎士見習いローデリヒ

騎士見習い Lv.9・王国内順位 1,986位

ローデリヒ:北の森の魔獣は
この私が討つ
隊長は 順位で
決まるのだからな!

騎士学院の中庭。整列した見習いたちの前で、ベルナーが布告を読み上げる。列の中にリゼ。

ベルナー:北の森の討伐隊
隊長は 王国内順位の
最も高い者――
ローデリヒ

ベルナー:騎士学院の者は
その下につけ

リゼ:︙︙あの人の下で
ナナシと?

第5話「呼ばせ屋」

群衆の中のミナトの上半身。台の上の貴族の頭の上を見上げる。

ミナト:レベルは 9
順位は 2000位

リゼは︑レベル12で︑
8000位︒
中身と順位が︑
合っていない︒

ミナト:この男は
誰に
呼ばれている?

ギルドの奥の部屋。セラが机いっぱいに推薦状を広げ、眼鏡を押し上げる。

セラ:討伐隊の隊長の
申し込みに
付いてきた推薦状
40通

机の上で扇のように広げられた、同じ形の推薦状の束を押さえる手。

ローデリヒへの推薦状(40通)書いた者:北の森の樵・川の渡し守・街道の宿の下働き……中身:40通とも「ローデリヒ様は王国一の剣士」書いた日:40通とも、同じ3日の間

セラ:毎日 何百枚も
読んでるとね
同じ手の紙は
すぐ分かるの

書いた者の王国内順位(ギルドの帳面)北の森の森番トマ:書いた翌日に 下降川の渡し守:書いた翌日に 下降……40人とも、書いた翌日に下がっている

ミナト:中身の無い推薦状は
書いた者の順位も
下げる

ミナト:――40人とも
自分の名を削って
書いている

呼ばれ方の︑偏り︒
誰が︑いつ︑
何と言って︑呼んだか︒

同じ言葉︑同じ時期︑
会ったこともない相手︒

前の人生でも︑
順位のための
リンクの売り買いは︑
検索の決まりで︑
禁じられていた︒

作中の世界の決まり作中の世界の推薦状は、現実のリンク(ほかのサイトからのつながり)に当たります。「中身の無い推薦状は、書いた者の順位も下げる」は、物語の中の決まりです。

現実の事実Google のスパムに関するポリシーは、検索の順位を操ることを主な目的として、サイトへのリンクやサイトからのリンクを作る行為を「リンクスパム」と呼び、禁じています。例として、順位を上げるためのリンクの売買、過剰な相互リンク、自動のプログラムで作るリンク、作為的な文字のリンクを含む記事への支払いなどが挙がっています。違反したサイトは、順位が下がったり、検索結果に出なくなったりすることがあります。

お金を払ったリンクは、全部だめ?
いいえ。広告や提携のリンクでも、a タグに rel="sponsored" か rel="nofollow" を付けていれば、ポリシーの違反にはなりません。
買ったリンクは、どうやって見つかる?
Google は、自動のシステムと、必要に応じた人の審査で違反を見つけると説明しています。2022年12月には、AI を使ったスパム対策の仕組み SpamBrain が、リンクを買うサイトとリンクを渡すためのサイトの両方を見つけられるようになり、不自然なリンクを無効にすると発表しました。

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金で書かせた口コミも︑
同じだ︒
頼んで付けさせた星も︑
頼んで消させた悪評も︑
決まりで︑禁じられている︒

やらせの口コミ(Google の口コミ)の解説

作中の世界の決まり作中の「金で呼ばせた名」「銅貨2枚で書かせた推薦状」は、現実のやらせの口コミや、買ったリンクに当たります。

現実の事実Google マップの投稿のポリシーは、実体験に基づかないクチコミや、お金や品物を対価に書かれたクチコミ・評価を「虚偽のエンゲージメント」として禁じ、削除します。お店などが、クチコミを書いてもらう代わりや、悪いクチコミを直させる・消させる代わりに、お金・割引・無料の品などを渡すことも禁止されています。

頼んで書かせた口コミは、バレる?
Google は、コンテンツやアカウントの審査で、内容だけでなく、アカウントの情報、ユーザーの操作、有害な行為のパターンがあるかどうか、報告などを考えると説明しています。日本では2023年10月1日から、広告であることを隠した表示(ステルスマーケティング)が、レビューの投稿も含めて景品表示法の違反になります。規制の対象は依頼した事業者です。
悪い口コミは、削除を頼める?
ビジネスのオーナーは、ポリシーに違反していると思われるクチコミを報告して削除を求められます。削除の対象はポリシー違反のクチコミだけで、不満がある・気に入らないという理由では報告しないよう Google は求めています。審査は通常数日で、削除されなかった時は1回だけ再審査を請求できます。

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ギルドの戸口に、帽子を握った白髪の森番トマが立つ。後ろに斥候のダナ。

トマ:森の調べの
報せに来た
︙︙それと
わしの推薦状のことで

森番 Lv.14・王国内順位 288,410位 → 301,772位

トマ:推薦状は
書いた者の名も
背負う
︙︙知らなかった

取り巻きを連れたローデリヒがギルドに踏み込み、ミナトを見下ろしてにらむ。

ローデリヒ:圏外上がりが
私の推薦状を
嗅ぎ回っているそうだな

ローデリヒ:明日 広場で
決闘だ
負けたら
王都から出ていけ

ミナト:受けます
ただし
騎士の決まりどおりに

騎士の決闘では︑
剣を抜く前に︑
互いの推薦状を︑
読み上げる︒

――ベルナーさんに︑
聞いておいた︒

翌日の広場。縄で囲った決闘の場を、大勢の見物人が取り囲む。片側には、雇われた者たちが同じ旗を振って並ぶ。

雇われた者たち:ローデリヒ様!

決闘の場の真ん中に立つ立会人のベルナー。左右にミナトとローデリヒ。

ベルナー:決まりにより
剣を抜く前に
双方の推薦状を
読み上げる

ベルナーの鋼の籠手が、一通の推薦状を広げて持つ。

ミナトへの推薦状(読み上げ)村長オルガ:結界が鳴らなかった理由を見つけ、名を付けて村を守った剣士リゼ:結界に映らない魔獣に名前を付けて、私と村を守った冒険者ダナ:41日誰も受けなかった依頼の題名を書き直し、森へ人を連れてきた

次の束を読み上げるベルナー。表情を変えずに、一通ずつめくっていく。小さな枠に、帽子を胸に握って目を伏せるトマの顔。

ローデリヒへの推薦状(読み上げ)1通目:ローデリヒ様は王国一の剣士2通目:ローデリヒ様は王国一の剣士3通目:ローデリヒ様は王国一の剣士……40通目:ローデリヒ様は王国一の剣士

見物人:︙︙全部
同じ?

ベルナーが見物人の方へ向き直る。人垣から、帽子を握ったトマが一歩前へ出る。

ベルナー:書いた者は
前へ出よ

ベルナー:この者が
お前に何をしたか
言え

トマ:︙︙会ったことは
ねえ
銅貨2枚で
書いた

ローデリヒの顔の大写し。怒りで顔がゆがむ。

ローデリヒ:黙れ
下民が!

ローデリヒが剣を抜いてトマへ振り下ろす。横から飛び込んだリゼの剣がそれを受け止め、火花が散る。「ギィン」の描き文字。

リゼ:剣を向ける相手が
違う!

剣士 Lv.12 リゼ / 騎士見習い Lv.9 ローデリヒ

ベルナーが片手を高く上げて決闘を止める。剣を落としたローデリヒが膝をつく。

ベルナー:決闘は 無効
中身の無い推薦状
40通の件
騎士団で預かる

ベルナー:討伐隊の隊長からも
外す

森番トマ:推薦状を取り下げましたローデリヒへのつながり:40 → 3(書いた者が、次々に取り下げています)

取り巻きに支えられて広場を去るローデリヒの後ろ姿。

騎士見習い Lv.9・王国内順位 1,986位 → 2,051位

ミナト:つながりは
ほとんど消えた

ミナト:でも
呼ばれた数は
残っている

誰が呼んでも︑数は数︒
この世界の順位は︑
まだ︑偽物の声を︑
見分けられない︒

夜の神殿。大きな水晶がまばゆく光り、鐘楼の鐘が揺れる。「ゴォォン」の描き文字。

神殿の託宣一夜にして、王国の順位を改める。

夜の王都の屋根の上で、光る神殿の方を見上げるミナトの顔の大写し。

ミナト:︙︙大改定
か

第5話「呼ばせ屋」終

次の話 11月6日(金)更新

原作・脚本
ka2uma
作画
ka2uma

制作に生成 AI を使用(生成 AI の使い方)

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あなた森で目を覚ました「もう一つの圏外」を考えたい

AI人ではない何かにすると、村の誰にも見えない怖さが出せます。逆に、ミナトと同じ転生者にして、仕組みを悪い方へ使う相手にする手もあります。

あなた転生者の方で。初めて出会う場面の台詞を

AI相手「順位なんて、上げるより下げる方が早い」。絵:夜の村の外れ、窓に「圏外」と出た2人が向き合う。

その場で作った例文です。作品の公式の続きではありません。

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この話で分かること

Google の口コミを頼んで消させたり、買ったりすると、バレる?

Google マップの投稿のポリシーは、実体験に基づかないクチコミや、お金や品物を対価に書かれたクチコミ・評価を禁じ、削除します。お店などが、クチコミを書いてもらう代わりや、悪いクチコミを直させる・消させる代わりに、お金・割引・無料の品などを渡すことも禁止です。Google は審査の時に、内容だけでなく、アカウントの情報や操作、有害な行為のパターンがあるかどうか、報告なども見ると説明しています。日本では2023年10月1日から、広告であることを隠した表示(ステルスマーケティング)が、レビューの投稿も含めて景品表示法の違反になり、対象は依頼した事業者です。順位のために被リンクを売り買いすることも、Google のスパムのポリシーで禁じられています。

条件・例外

悪いクチコミの削除を Google に頼む正しい方法は、ポリシーに違反していると思われるクチコミを、ビジネス プロフィールから報告することです。削除されるのはポリシー違反のクチコミだけで、不満がある・気に入らないという理由では報告しないよう Google は求めています。審査は通常数日かかり、削除されなかった時は1回だけ再審査を請求できます。報告したことが投稿した人に知らされるかどうかは、Google のヘルプには書かれていません。

物語との違い

作中では、40通の推薦状が同じ一文・同じ3日・会ったこともない書き手という「偏り」から、人が見抜きます。順位の仕組みのほうは、まだ金で呼ばせた声を見分けられません。現実の Google は、アカウントや行為のパターンも見て審査し、2022年12月には、AI を使ったスパム対策の仕組み(SpamBrain)が、リンクを買うサイトとリンクを渡すためのサイトの両方を見つけられるようになったと発表しています。

買われたリンクや悪いリンクを外すには?(リンクの否認)

まず、リンク元に頼むなどして、スパムや品質の低いリンクをできるだけ消してもらいます。消せない時に、Search Console のリンクの否認ツールで、そのページやドメインを「否認」できます。

条件・例外

Google は、ほとんどのサイトではこのツールを使う必要はないとしています。使うのは、不自然なリンクが数多くあり、それが手動による対策の原因になっている、またはなりそうな時です。反映には数週間かかることがあります。

物語との違い

作中では、推薦状を書いた森番トマたちが自分から取り下げ、ローデリヒへのつながりが40から3に減ります。

お店がお客さんに口コミを頼むのはいい?

頼むこと自体はできます。Google は、クチコミを書いてもらうために、リンクや QR コードを案内してよいとしています。ただし、クチコミを書く・直す・悪いクチコミを消す見返りに、無料の品や割引などを渡すことは、虚偽のエンゲージメントとして固く禁じられています。

条件・例外

クチコミは実体験に基づいている必要があります。

物語との違い

作中のローデリヒは、会ったこともない人に銅貨2枚で推薦状を書かせました。ミナトの推薦状は、実際に村を守った出来事を書いた物です。

この話の用語

リンクスパム(リンクの売り買い)漫画の中で見る
作中の世界の決まり作中の世界の推薦状は、現実のリンク(ほかのサイトからのつながり)に当たります。「中身の無い推薦状は、書いた者の順位も下げる」は、物語の中の決まりです。
現実の事実Google のスパムに関するポリシーは、検索の順位を操ることを主な目的として、サイトへのリンクやサイトからのリンクを作る行為を「リンクスパム」と呼び、禁じています。例として、順位を上げるためのリンクの売買、過剰な相互リンク、自動のプログラムで作るリンク、作為的な文字のリンクを含む記事への支払いなどが挙がっています。違反したサイトは、順位が下がったり、検索結果に出なくなったりすることがあります。
やらせの口コミ(Google の口コミ)漫画の中で見る
作中の世界の決まり作中の「金で呼ばせた名」「銅貨2枚で書かせた推薦状」は、現実のやらせの口コミや、買ったリンクに当たります。
現実の事実Google マップの投稿のポリシーは、実体験に基づかないクチコミや、お金や品物を対価に書かれたクチコミ・評価を「虚偽のエンゲージメント」として禁じ、削除します。お店などが、クチコミを書いてもらう代わりや、悪いクチコミを直させる・消させる代わりに、お金・割引・無料の品などを渡すことも禁止されています。

出典

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この話のあらすじ

北の森の魔獣〈ナナシ〉の討伐隊が組まれ、隊長には王国内順位の最も高い者として、伯爵家の息子ローデリヒが選ばれる。騎士学院のリゼもその下につく。広場で名を呼ばれ続けるローデリヒのレベルは9、順位は2000位。中身と順位が合っていない。ギルドの受付セラは、隊長の申し込みに付いてきた推薦状40通が、同じ3日の間に、同じ一文で、会ったこともない森や川の者たちによって書かれたことに気づく。書いた者たちは、中身の無い推薦状の決まりどおり、自分の順位を下げていた。ローデリヒに決闘を挑まれたミナトは、剣を抜く前に互いの推薦状を読み上げる騎士の決まりを求める。立会人ベルナーの前で、40通は同じ一文を繰り返し、書いた一人の森番トマは「会ったこともない。銅貨2枚で書いた」と答える。逆上して剣を抜いたローデリヒをリゼが止め、ベルナーは決闘を無効にして隊長から外す。書いた者たちが次々に推薦状を取り下げ、つながりはほとんど消えた。それでも、金で呼ばせた声の数は残り、ローデリヒの順位はほとんど動かない。その夜、神殿が託宣を告げる。一夜にして、王国の順位を改める。

作者

ka2uma

Web マーケター

Web 集客・SEO・IT の仕事の考え方を、異世界転生やタイムリープの物語にして描いています。

この作品について

Web の集客の仕事で使う「見つけてもらう仕組み」を、誰もが順位の窓を持つ異世界に置きかえて描いています。

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