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第6話「坂の上」

縦に長い古い写真。上に、冬の夜の海の上に開いた大きな花火。花火の真ん中を、海と空の境の水平線がまっすぐ横切っている。真ん中に、ずっと下に見える温泉街の屋根の並びと、白く立ちのぼる湯けむり。下に、手前の石を敷いた急な坂と、端がくるりと丸く巻いた古い鉄の手すり。人は写っていない。フィルムの粒子と光のにじみ。

水平線が、花火の真ん中を通っている。

撮った人は、どこに立っていたのか。

「場所は、言わん」

第6話「坂の上」

土曜の朝の写真店。カウンターの中でネガの袋を整えながら、店の奥を横目で見る遥(画面の左)。手前の棚の前で、エプロンを着けた背の高い男子高校生がはたきでカメラの埃を払う(画面の真ん中)。奥の畳の部屋で、背を向けて湯のみをすする祖父(画面の右の奥)。窓の冬の朝の光。

ミツギ写真 2代目の店主三ツ木 遥

ミツギ写真の先代三ツ木 鉄郎

帳面の1行
「1978 隅田川
2名」。

三ツ木 遥:おじいちゃん
ゆうべも
黙ったまま

男子高校生の胸から上の寄り。はたきを肩にかつぎ、にやっと笑って奥の祖父の方(画面の右)へ身を乗り出す。

土曜の手伝い(高校2年)寺尾 新太

寺尾 新太:2名って
デート
じゃないすか

カウンターの中で、ネガの袋を持ったまま男子高校生の方へ振り向いて目をむく遥(画面の左)。奥の畳の部屋で、背を向けたまま湯のみを置く祖父(画面の右の奥)。

三ツ木 遥:新太くん!

三ツ木 鉄郎:仕事しろ

店の入口。大きなリュックを背負い紺のダウンを着た20代の女性(画面の左)が、戸を押して入ってくる。脇に、古い写真を入れた袋を抱える。頬が寒さで赤く、白い息。戸の上の小さな鈴。「チリン」の描き文字。

依頼人(伊東の旅館の仲居)梶 柚月

梶 柚月:伊東から
この写真の
場所を
探しに

カウンターの上の寄り。女性の手が、古い花火の写真を遥の方へそっと差し出す。写真の中に、海の上の花火と温泉街の屋根(小さく)。横に、遥のルーペ。

梶 柚月:うちの旅館の
番頭さんが
若い頃に
撮った写真です

女性の横顔の寄り。写真を見下ろして、少し寂しそうに笑う。リュックの肩ひもを握る指。

梶 柚月:とっくに
定年を
過ぎても
毎朝
帳場に立ってて

70歳までの就業確保(しゅうぎょうかくほ)(高年齢者(こうねんれいしゃ)就業確保措置)の解説

現実の事実定年を65歳以上70歳未満にしている会社などは、65歳から70歳まで働けるよう努めなければなりません(高年齢者雇用安定法第10条の2。努力義務)。方法は、定年を上げる・定年の後も雇い続ける・定年をなくす、のほか、本人と業務委託(ぎょうむいたく)の契約を結ぶ形などもあります。65歳までの雇用の確保(第9条)は義務で、70歳までは「努める」決まりです。

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梶 柚月:年内で
辞めるんです

女性の顔の寄り。顔を上げ、まっすぐ遥(画面の右の外)を見る。目に力が入り、口を結ぶ。

梶 柚月:最後の冬花火
番頭さんの
一番の場所で
見せたくて

とっておき冬花火大会(ふゆはなびたいかい)の解説

現実の事実静岡県伊東市の伊東海岸(なぎさ公園・松川藤の広場)で、12月に開かれる花火の催しです。主催者の案内(伊東観光協会)では、2026年は12月19日(土)の予定で、冬のよさこいソーズラ祭りの後、20:30〜21:00に庭園花火と、海の上からの打ち上げ花火があります。事前の予約は要らず、駐車場はありません(JR伊東駅から歩いて約10分)。

席や場所取りは?
主催者の案内では、事前の予約は要りません。会場に駐車場は無いので、電車とバス・歩きで行く形です。日程と内容は変わる事があるので、主催者の発表で確かめてください。

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三ツ木 遥:本人には
聞いて
みました?

女性がスマホの画面を遥に向けて見せ、口をとがらせる(画面は光だけで字は読めない)。カウンターの中で遥が身を乗り出す。

梶 柚月:聞いたら
「場所は
言わん
自分で探せ」

カウンターを上から。男子高校生(画面の左)と遥(画面の右)が、手を止めて同じように目を細め、黙って横目で店の奥(画面の右の外)の方をうかがう。笑いの間。

寺尾 新太:どっかで
聞いた台詞

奥の畳の部屋の祖父。広げた新聞で顔を隠し、新聞の上から眉だけが見える。

三ツ木 鉄郎:ふん

店の中を少し引いて。布巾を手にして女性を見上げる男子高校生(画面の左)と、口元に手を当てて照れたように笑う女性(画面の右。大きなリュック)。棚の古いカメラの並びと、明るい戸口。

寺尾 新太:てか
仲居さんって
休みあるんすか

梶 柚月:有給
取って
きました

年次有給休暇(ねんじゆうきゅうきゅうか)の解説

現実の事実働き始めて6か月続けて勤め、出る日の8割以上出勤した人は、10日の有給休暇(ゆうきゅうきゅうか)をもらえます(労働基準法(ろうどうきじゅんほう)第39条)。その後は勤めた年数で増え、2年半勤めた人は12日です。休んでも給料が出る休みで、使う日は原則として働く人が決められます。

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カウンターの中の遥の腰から上を少し下から。写真を受け取り、首の紐のルーペを目に当てる。窓の光が横顔に当たる。

三ツ木 遥:見える
とは
言えません

三ツ木 遥:でも
撮った所なら
探してみます

ルーペ越しの古い写真の寄り。冬の夜の海の上の花火。後ろの空は低い所まで真っ暗。花火の真ん中を、海と空の境の水平線が横切る。

三ツ木 遥:空 真っ暗︙︙

三ツ木 遥:空の明るさじゃ
向きは
読めないか

店の中を引いて。窓の外の冬の朝の高い空。カウンターで古い写真を窓の光にかざし、首をかしげる遥の小さな姿。手前に棚の古いカメラ。

三ツ木 遥:冬の花火は
日が沈んで
4時間も後だもん

冬の日の入りの解説

現実の事実国立天文台の計算では、静岡市の2026年12月19日の日の入りは16時38分です。夏の8月1日の東京(18時46分)より2時間以上早く沈みます。日の入りの後もしばらくは空が明るく(薄明)、太陽が地平線の下18度まで沈むと、空の明るさは無くなります。20時半の花火のころは、空はすっかり暗い時間です。

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遥の肩越しに、男子高校生が後ろから写真をのぞき込み、はたきの柄の先で写真の花火の所を指す。遥は振り向きかける。

寺尾 新太:てか
この花火
海の線の所で
開いてません?

遥の顔の寄り。ルーペを持つ手を止め、写真をじっと見つめて、口が少し開く。窓の光。

三ツ木 遥:あ︙︙
水平線って
見る人の
目の高さに
来るんだ

遥の手元の寄り。写真に細い定規を当て、鉛筆で海と空の境に沿って薄い線を引く。線は開いた花火の真ん中をまっすぐ通る。

〈推理 1つ目〉水平線(海と空の境)は、撮った人の目の高さに見える水平線が、花火の真ん中を通っているなら撮った人は、花火が開いた高さと同じくらいの所にいた

寺尾 新太:えっ
じゃあ
空の上?

店の奥の戸口から、杖をついて出てきた祖父(画面の右)。眉をひそめ、写真を遠くから見下ろす。腰のベルト。手前の左に、振り向く遥の肩と横顔。

三ツ木 鉄郎:浜から撮れば
花火は
水平線の
ずっと上だ

三ツ木 遥:︙︙また
教えて
くれた

三ツ木 鉄郎:独り言だ

カウンターの中の遥を少し下から。線を引いた写真を女性の方(画面の左の外)へ向けて掲げ、まっすぐ見る。後ろの棚の影。

三ツ木 遥:浜より
ずっと高い
坂の上です

女性の顔の寄り。胸の前でリュックの肩ひもを両手で握りしめ、目を伏せる。

梶 柚月:番頭さん
膝が悪くて

梶 柚月:坂の上なんて
もう︙︙

写真の手前の寄り。石を敷いた急な坂の、古い鉄の手すり。手すりの端が、くるりと丸く巻いている。そのすぐ横から、白い湯けむりが絵の枠の上まで立ちのぼる。坂の下に、温泉街の灯りと夜の水面。

三ツ木 遥:待って
この手すり
端が丸く
巻いてる

三ツ木 遥:すぐ横から
湯けむり

女性の顔の寄り。写真の手すりを見つめたまま、口元に指を当てて目を見開く。

梶 柚月:あ︙︙
知ってる

冬の夜。上着を着て大きなリュックを背負った若い女性が、石段の急な坂を上っていく後ろ姿。手前に、端の丸く巻いた古い鉄の手すりと湯けむり。坂の下に温泉街の屋根の灯りと湯けむり、その先に暗い海と水平線。坂の上に、古い2階建ての寮の窓の灯り。

梶 柚月:仕事の帰りに
毎晩
上ってる坂

梶 柚月:寮まで
あの手すりに
つかまって

寮(りょう)(事業の附属寄宿舎(きしゅくしゃ))の解説

現実の事実会社が働く人を住まわせる寮(事業の附属寄宿舎)には、労働基準法(ろうどうきじゅんほう)の決まりがあります。会社は、寮に住む人の私生活の自由を侵してはならず(第94条)、起床・就寝・外出・外泊・行事・食事などの寮の規則を作って役所に届け出ます(第95条)。換気・採光・避難など、健康と安全の措置も会社の務めです(第96条)。

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女性の胸から上の寄り。写真を両手で持ち、目のふちを赤くして笑いかける。

梶 柚月:番頭さんも
若い頃
同じ寮に
いたって

〈推理 2つ目〉手前の手すり:端が丸く巻いた、古い鉄の手すりすぐ横に、湯けむり花火と同じ高さの、柚月さんの寮へ上る坂の途中?

三ツ木 遥:山の上じゃ
なかったんですね

カウンターに置いたスマホに、女性(画面の左の手前)が顔を寄せる。横で男子高校生が、口元に手を当ててのぞき込む。遥(画面の右)は少し離れて頬杖をつき、見守る。

梶 柚月:番頭さん
寮の坂ですよね

久能 清治(電話の声):︙︙見つけたか

久能 清治(電話の声):口で言ったら
ただの
年寄りの
昔話だ

女性の手元の寄り。カウンターのスマホの横で、写真の端を握る指に力が入る。
海の見える温泉旅館の帳場。窓の外に冬の昼の海と岬。紺の和服の白髪の年配の男性が、眼鏡をかけて受話器を耳に当て、窓の海の方へ目をそらしている。机の上に古いそろばんと帳面(字は読めない)。

71歳、柚月の働く旅館の番頭久能 清治

久能 清治(電話の声):自分の足で
上って
見て
ほしかった

久能 清治(電話の声):あそこは
もう
お前の坂だ

女性がスマホに向かって、涙のたまった目で笑う。男子高校生が横で鼻をすすり、そっぽを向く。

梶 柚月:当日は
手すりに
つかまって
一緒に
上ってください

久能 清治(電話の声):︙︙ゆっくり
なら︑な

店の奥の戸口の暗がりに立つ祖父の胸から上。電話の声の方を、目だけ動かして見ている。
カウンター越しに、遥が袋に戻した写真を両手で女性に返す。女性は写真を胸に抱えて深く頭を下げる。横で男子高校生がはたきを振って笑う。窓の昼の光。

三ツ木 遥:今年も見える
とは
言えません

三ツ木 遥:でも
確かめる
坂は
分かりました

その夜︒

閉めた後の暗い店。カウンターのランプの下で帳面を閉じかけた遥(画面の左)。奥の戸口に、茶色の古い上着と帽子を身につけ、杖を持った祖父が立つ(画面の右)。

三ツ木 遥:え おじいちゃん?
その格好︙︙

三ツ木 鉄郎:あの番頭の
言う通りだ

遥の顔の寄り。ランプの光の中で、目を見開いて祖父の方(画面の右)を見る。口が少し開く。

三ツ木 鉄郎:口で言えば
昔話に
なる

店の戸を開けて、冬の夜の通りへ一歩踏み出す祖父の後ろ姿を低い位置から(画面の左に大きく)。帽子と上着、杖。街灯の光と、白い息。通りの先の空の低い所に、遠い橋の灯り。画面の右の奥、戸口の明かりの中に、立ち尽くす遥の小さな姿。「チリン」の描き文字。

祖父が自分から
外へ出るのを︑
腰を痛めてから︑
初めて見た︒

街灯の下の祖父の横顔の寄り。帽子をかぶり、白い息を吐きながら、通りの先の川と橋の灯りをじっと見ている。

三ツ木 鉄郎:日曜の朝
隅田川へ
行く

三ツ木 鉄郎:6時だ

戸口に立つ遥の胸から上(画面の左)。上着も着ずに両腕を抱え、白い息の向こうを見つめる。画面の右の奥、街灯の下に、祖父の小さな後ろ姿。戸口の明かりが遥の背中から当たる。

三ツ木 遥:︙︙私も?

三ツ木 鉄郎:寝坊するな

第6話「坂の上」

つづく

この物語はフィクションです。写真店・人物・作中の写真は架空で、花火大会は実在の大会です。

お気に入りから外しますか?

その花火、どこから撮った?

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この話で分かること

伊東の冬の花火(とっておき冬花火大会(ふゆはなびたいかい))は、どこから見える?

主催者の案内では、伊東海岸のなぎさ公園・松川藤の広場を会場に、海の上から打ち上げます。作中では、写真の水平線が花火の真ん中を通っている事から、撮った人が花火の開いた高さと同じくらいの高い所にいたと割り出し、手前の手すりと湯けむりから坂を絞りました。

条件・例外

主催者の案内では、2026年は12月19日(土)20:30〜21:00の予定です。日程・内容・交通は変わる事があるので、主催者と伊東市の発表で確かめてください。

物語との違い

作中の写真・旅館・寮・坂は架空で、特定の場所から見えることを示す物ではありません。

冬の花火のころ、空はもう暗い?

国立天文台の計算では、静岡市の2026年12月19日の日の入りは16時38分です。太陽が地平線の下18度まで沈むと空の明るさが無くなるので、20時半の花火のころは空はすっかり暗い時間です。

有給休暇(ゆうきゅうきゅうか)は、いつから何日もらえる?

働き始めて6か月続けて勤め、出る日の8割以上出勤すると10日もらえます。その後は勤めた年数で増え、2年半で12日です(労働基準法(ろうどうきじゅんほう)第39条)。

会社の寮には、どんな決まりがある?

会社は寮に住む人の私生活の自由を侵してはならず(第94条)、起床・就寝・外出・外泊・食事などの寮の規則を作って届け出ます(第95条)。健康と安全の措置も会社の務めです(第96条。労働基準法(ろうどうきじゅんほう))。

70歳まで働ける?

定年を65歳以上70歳未満にしている会社などは、65歳から70歳まで働けるよう努めなければなりません(高年齢者(こうねんれいしゃ)雇用安定法第10条の2。努力義務)。65歳までの雇用の確保は義務です(第9条)。

この話の用語

70歳までの就業確保(しゅうぎょうかくほ)(高年齢者(こうねんれいしゃ)就業確保措置)漫画の中で見る
現実の事実定年を65歳以上70歳未満にしている会社などは、65歳から70歳まで働けるよう努めなければなりません(高年齢者雇用安定法第10条の2。努力義務)。方法は、定年を上げる・定年の後も雇い続ける・定年をなくす、のほか、本人と業務委託(ぎょうむいたく)の契約を結ぶ形などもあります。65歳までの雇用の確保(第9条)は義務で、70歳までは「努める」決まりです。
とっておき冬花火大会(ふゆはなびたいかい)漫画の中で見る
現実の事実静岡県伊東市の伊東海岸(なぎさ公園・松川藤の広場)で、12月に開かれる花火の催しです。主催者の案内(伊東観光協会)では、2026年は12月19日(土)の予定で、冬のよさこいソーズラ祭りの後、20:30〜21:00に庭園花火と、海の上からの打ち上げ花火があります。事前の予約は要らず、駐車場はありません(JR伊東駅から歩いて約10分)。
年次有給休暇(ねんじゆうきゅうきゅうか)漫画の中で見る
現実の事実働き始めて6か月続けて勤め、出る日の8割以上出勤した人は、10日の有給休暇(ゆうきゅうきゅうか)をもらえます(労働基準法(ろうどうきじゅんほう)第39条)。その後は勤めた年数で増え、2年半勤めた人は12日です。休んでも給料が出る休みで、使う日は原則として働く人が決められます。
冬の日の入り漫画の中で見る
現実の事実国立天文台の計算では、静岡市の2026年12月19日の日の入りは16時38分です。夏の8月1日の東京(18時46分)より2時間以上早く沈みます。日の入りの後もしばらくは空が明るく(薄明)、太陽が地平線の下18度まで沈むと、空の明るさは無くなります。20時半の花火のころは、空はすっかり暗い時間です。
寮(りょう)(事業の附属寄宿舎(きしゅくしゃ))漫画の中で見る
現実の事実会社が働く人を住まわせる寮(事業の附属寄宿舎)には、労働基準法(ろうどうきじゅんほう)の決まりがあります。会社は、寮に住む人の私生活の自由を侵してはならず(第94条)、起床・就寝・外出・外泊・行事・食事などの寮の規則を作って役所に届け出ます(第95条)。換気・採光・避難など、健康と安全の措置も会社の務めです(第96条)。

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AI祖父は川を見たまま、昔の撮り方の話だけをして、「2名」の事には触れない形にすると、言いかけてはやめる祖父と、待つ遥の間が出せます。

あなたその線で、台詞を

AI祖父「川の幅は、昔のままだ」。遥「……建物は、変わったね」。祖父(小さく)「ああ。だから、来た」。

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この話のあらすじ

土曜の朝、「ミツギ写真」では高校生の寺尾 新太が手伝っている。帳面(ちょうめん)の「1978 隅田川 2名」に、祖父は黙ったまま。そこへ伊東の旅館の仲居、梶 柚月が来る。持ち込んだのは、年内で辞める番頭の久能 清治が若い頃に撮った冬の花火の写真。最後の冬花火を番頭の一番の場所で見せたいが、番頭は「場所は、言わん。自分で探せ」。空は真っ暗で、空の明るさでは向きを読めない。新太の「この花火、海の線の所で開いてません?」に、遥は気づく。水平線は見る人の目の高さに来る。撮った人は、花火が開いた高さと同じくらいの所にいた。番頭は膝が悪い。だが写真の手前には、端の丸く巻いた古い手すりと湯けむり。柚月が毎晩、寮まで上る坂だった。電話の番頭は言う。「口で言ったら、ただの年寄りの昔話だ」。その夜、上着を着た祖父が、自分から店の外へ出る。「日曜の朝、隅田川へ行く」。

作者

ハナビミエル開発者

花火が見える可能性を地図で探すサービス、ハナビミエルを作っています。花火の見え方を調べる中で気づいた事を、漫画にしています。

この作品について

花火の大きさや重なり、手前の景色から撮った場所を絞り込む手がかりと、大会ごとの見え方の違いを、謎解きを追いながら覚えられます。

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