第6話「坂の上」

水平線が、
撮った
その花火、どこから撮った?
第6話

ミツギ
帳面の1行
「1978 隅田川
2名」。
三ツ木 遥:おじいちゃん
ゆうべも
黙ったまま

土曜の
寺尾 新太:2名って
デート
じゃないすか

三ツ木 遥:新太くん!
三ツ木 鉄郎:仕事しろ

依頼人
梶 柚月:伊東から
この写真の
場所を
探しに

梶 柚月:うちの旅館の
番頭さんが
若い頃に
撮った写真です

梶 柚月:年内で
辞めるんです

三ツ木 遥:本人には
聞いて
みました?

梶 柚月:聞いたら
「場所は
言わん
自分で探せ」

寺尾 新太:どっかで
聞いた台詞

三ツ木 鉄郎:ふん

寺尾 新太:てか
仲居さんって
休みあるんすか

三ツ木 遥:見える
とは
言えません
三ツ木 遥:でも
撮った所なら
探してみます

三ツ木 遥:空 真っ暗︙︙
三ツ木 遥:空の明るさじゃ
向きは
読めないか


寺尾 新太:てか
この花火
海の線の所で
開いてません?

三ツ木 遥:あ︙︙
水平線って
見る人の
目の高さに
来るんだ

寺尾 新太:えっ
じゃあ
空の上?

三ツ木 鉄郎:浜から撮れば
花火は
水平線の
ずっと上だ
三ツ木 遥:︙︙また
教えて
くれた
三ツ木 鉄郎:独り言だ


梶 柚月:番頭さん
膝が悪くて
梶 柚月:坂の上なんて
もう︙︙

三ツ木 遥:待って
この手すり
端が丸く
巻いてる
三ツ木 遥:すぐ横から
湯けむり

梶 柚月:あ︙︙
知ってる

梶 柚月:仕事の帰りに
毎晩
上ってる坂

梶 柚月:番頭さんも
若い頃
同じ寮に
いたって
三ツ木 遥:山の上じゃ
なかったんですね

梶 柚月:番頭さん
寮の坂ですよね
久能 清治(電話の声):︙︙見つけたか
久能 清治(電話の声):口で言ったら
ただの
年寄りの
昔話だ


71歳、
久能 清治(電話の声):自分の足で
上って
見て
ほしかった
久能 清治(電話の声):あそこは
もう
お前の坂だ

梶 柚月:当日は
手すりに
つかまって
一緒に
上ってください
久能 清治(電話の声):︙︙ゆっくり
なら︑な


三ツ木 遥:今年も見える
とは
言えません
三ツ木 遥:でも
確かめる
坂は
分かりました
その夜︒

三ツ木 遥:え おじいちゃん?
その格好︙︙
三ツ木 鉄郎:あの番頭の
言う通りだ

三ツ木 鉄郎:口で言えば
昔話に
なる

祖父が自分から
外へ出るのを︑
腰を痛めてから︑
初めて見た︒

三ツ木 鉄郎:日曜の朝
隅田川へ
行く
三ツ木 鉄郎:6時だ

三ツ木 遥:︙︙私も?
三ツ木 鉄郎:寝坊するな
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