第1話「欄干」

両親の部屋の︑
引き出しの奥に
あった1枚︒
母が26歳の夏︒
撮ったのは︑父︒
場所は︑
2人とも
覚えていない︒
その花火、どこから撮った?
第1話「欄干」
東京の下町︒
写真の現像と︑データ化の店︒

ミツギ写真 2代目の店主三ツ木 遥

依頼人(来年の秋に結婚)朝倉 悠斗
朝倉 悠斗:この写真の場所に
両親を
立たせたいんです
朝倉 悠斗:式の前に
同じ1枚を
撮りたくて
三ツ木 遥:隅田川ですね
花火が 2つ


三ツ木 遥:2つの会場は
川に沿って
並んでる
三ツ木 遥:縦に重なるのは
川に沿った方角から
見た時だけ

朝倉 悠斗:︙︙じゃあ
川の上の 橋?
〈推理 1枚目の写真〉花火が2つ:大きい方が近く、小さい方が遠い縦に重なる:2つの会場を結ぶ線の上から見た手前に欄干:川に沿った方角の、橋の上
三ツ木 遥:見える とは
言えません
三ツ木 遥:見えたかもしれない
場所なら
店の奥︒

ミツギ写真の先代三ツ木 鉄郎
朝倉 悠斗:同じ場所には
立てない︙︙

三ツ木 遥(つぶやき):︙︙欄干だけ
流れてる

三ツ木 遥:花火は
流れてない
三ツ木 遥:近い物だけ流れるのは
撮った人が
横に動いていたから

三ツ木 遥:お父さんは
歩きながら
撮ったんです
朝倉 悠斗:︙︙父さん
止まって
なかったんだ
〈推理 答え〉撮った場所:2つの会場を結ぶ線の上の、川に沿った方角の橋撮り方:歩きながら(手前の欄干だけが流れている)お母さんは、歩きながら振り向いた
三ツ木 遥:来年の夏
同じ方角を
3人で歩いてください
三ツ木 遥:立ち止まらなくていい
お父さんも
止まらなかった
朝倉 悠斗:写真は
撮れますか?
三ツ木 遥:撮るのは
歩き終わってから
決まりは
その年に
一緒に見ましょう

その夜︒暗室︒



札には︑
「1978」とだけ︒
今の地図には無い︑
高い煙突︒

三ツ木 鉄郎:その場所は
言わん
その花火、どこから撮った?
第1話「欄干」
つづく
次の話 10月28日(水)更新
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あなた祖父が「その場所は、言わん」と言った後の、遥の夜を考えたい
AI遥が暗室でネガをもう一度光にかざし、煙突の影の向きを測り始める形にすると、言わない祖父と、確かめずにいられない孫の違いが出せます。
あなたその線で、台詞を
AI遥(つぶやき)「影は、左に長い」。ネガを置いて「……言わなくても、写ってる」。絵:赤い灯の下で、ネガに定規を当てる遥の手。
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