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第1話「63枚の付箋」

この作品には、D株式会社のサービスが登場します

食品の卸の会社の朝を、高い所から見下ろす縦長の1枚。上の方で、冷蔵のトラックが倉庫の搬入口へ入っていく。下へたどると、2階の事務所の窓、いちばん下の経理部の机で、老眼鏡を首から鎖で下げた年配の女性が、伝票の束の横で電卓を叩いている。

瀬名川食品 経理部(54)碓井 和子

瀬名川食品
経理部
月末の朝

女性の手元の寄り。使い込んで角の丸くなった電卓を、目を落とさずに叩く指。伝票の束と朱色の検印の印。

この電卓で
30年

経理部の入口に、細身の白髪の男が薄いファイルを持って立つ。少し気まずそうに笑っている。

奈良橋 修:碓井さん
ちょっといいかな

瀬名川食品 常務(60)奈良橋 修

小さな応接室。低い机をはさんで、男が両手を組んで身を乗り出し、女性はカップを両手で持って座っている。

奈良橋 修:来年の春から
経理の仕事は
システムで自動にする

奈良橋 修:請求書の読み取りも
仕訳も

女性の顔の寄り。カップを持つ手が止まり、目だけが男を見る。

碓井 和子:︙︙経理部は

男が目をそらして、首の後ろを手でさする。窓の光が横から当たる。

奈良橋 修:経理部としては
なくなる

奈良橋 修:ただ
碓井さんには
残ってほしい

奈良橋 修:その前に
AIの研修を
受けてきてくれないか

机の上に置かれた研修の案内の紙の寄り。字の無い罫の紙の上に、鉛筆が1本。女性の手が紙の端を押さえている。

社内のお知らせ AI研修(1日目)受講:各部から12名持ち物:筆記用具

経理部の自分の机に戻った女性が、電卓の上に手を置いたまま、窓の外の搬入口を見ている横顔。

碓井 和子:54で
AI︙︙
正直
怖い

碓井 和子:辞めろって
ことかな

研修の部屋の引き。島に分けた机が3つ。若い社員たちがノートPCを開いている。いちばん前の列の端に、女性だけが筆箱を1つ置いて座っている。前の壁は一面の白いボード。

研修の初日
受講者12人で
私がいちばん年上︙︙

女性の隣の席で、短い茶色がかった髪の若い男がノートPCを開き、慣れた手つきで打っている。画面は光るだけで字は無い。左の端に、筆箱だけを前に置いた女性の横顔。

瀬名川食品 営業部(26)帆高 湊斗

帆高 湊斗:碓井さん
パソコンは?

碓井 和子:筆記用具って
書いてあったから

若い男が人なつこく笑い、ノートPCの画面を女性の方へ少し傾ける。

帆高 湊斗:僕もう
日報は
生成AIで書いてます

生成(せいせい)AIの解説

現実の事実文章・画像・プログラムなどを新しく作る目的で使う AI です。総務省の情報通信白書(令和5年版)は、データを分けたり予測したりする AI に加えて、人が得意としてきた「作る」仕事に入ってきた AI として説明し、文章を要約して答える、指示を受けてプログラムを書く、といった使い方を挙げています。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

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部屋の前で、シャツの袖をまくった男が白いボードの横に立つ。丸い顔、短く刈った髪、少し下がった太い眉。手ぶらで、ノートPCを持っていない。

都築 亘:おはようございます

都築 亘:今日は
AIに
触りません

D株式会社 法人向けAI研修(41)都築 亘

受講者たちの引き。ノートPCのふたに手をかけたまま固まる若い社員たち。隣の若い男も口を開けている。女性だけが筆箱を見下ろす。

帆高 湊斗:え

前に立つ男が、白い付箋の厚い束を顔の横に掲げる。

都築 亘:皆さんの仕事を
全部
付箋に書き出してください

都築 亘:1枚に
1つずつ

女性の手元の寄り。配られた付箋の束と、削った鉛筆。指が付箋の端をそろえる。

碓井 和子:え 全部︙︙?

若い男が、書き終えた付箋5枚を机に並べ、両腕を伸ばしている。前の男が近くまで来て、その5枚をのぞき込む。

帆高 湊斗:終わりました
「営業」「会議」︙︙
5枚

都築 亘:「営業」を
1枚にしないで

都築 亘:電話をかける
見積もりを作る
もっと細かく

女性の手元の寄り。鉛筆で付箋に書いては剥がし、書いては剥がす。剥がした付箋が机に重なっていく。

碓井さんの付箋(はじめの7枚)請求書を開けて、日付の順に並べるインボイスの登録番号を確認する金額を発注書と照らす仕訳を入力する振込の一覧を作る支払いの遅れた取引先に電話をかける新人の伝票の間違いを、本人に返す

インボイス制度(せいど)の解説

現実の事実2023年10月1日に始まった、消費税を正しく納めるための仕組みです。税率や消費税の額、売手の登録番号(とうろくばんごう)などを書いた請求書(せいきゅうしょ)・領収書(りょうしゅうしょ)など(インボイス)を受け取って残しておくと、仕入れの時に払った消費税を差し引けます。登録番号は、インボイスを出す事業者(じぎょうしゃ)として登録した後に税務署(ぜいむしょ)から知らされる番号です。

出典

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女性の顔の寄り。首の鎖の老眼鏡をかけ、付箋に顔を近づけ、眉を寄せて書き続ける。

月末の締め
決算の準備
書いても
書いても
終わらない

決算(けっさん)の解説

現実の事実1年(事業年度(じぎょうねんど))の終わりに、その年のもうけと、会社に残った財産・借りているお金をまとめる事です。会社法(かいしゃほう)は、株式会社に、事業年度ごとの計算書(けいさんしょ)類(貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)・損益計算書(そんえきけいさんしょ)など)を作り、作った時から10年間残しておくよう決めています。

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机の端から床へこぼれそうな付箋の山の寄り。隣から若い男の指が、山を指さしている。

帆高 湊斗:碓井さん
それ
何枚目ですか

女性の顔の寄り。鉛筆が止まり、老眼鏡の奥で目が少し遠くを見る。

碓井 和子:︙︙40

碓井 和子:30年分の仕事って
こんなに
細かかったっけ

前の男が、部屋の前の一面の白いボードを手のひらで示す。受講者たちが付箋の束を持って立ち上がる。

都築 亘:書いた付箋を
前のボードに
貼ってください

白いボードの前。女性が付箋を1枚ずつ、行をそろえて貼っていく。隣の若い男が、残りの束を両手で持って手伝う。

帆高 湊斗:うわ
63枚︙︙!

前の男が、朱色のマーカーのキャップを外す。ボードの付箋を見上げる横顔。

都築 亘:AIに
任せられそうな仕事と
人が持つ仕事

都築 亘:今日
丸を付けるのは
片方だけです

女性の横顔の寄り。ボードを見上げ、胸の前で手を握る。

碓井 和子:任せる方に
丸だ

碓井 和子:半分より多く
持っていかれる

ボードの付箋の寄り。男の手の朱色のマーカーが、1枚の付箋に丸を描く。
白いボードの上の端の高さから、壁に沿って斜めに見下ろす縦長の1枚(作品の顔)。上は大きく近い付箋、下へ行くほど小さく遠くなる63枚の白い付箋の行。その中の5枚だけに朱色の丸。いちばん下の床の近くで、女性が最後の1枚を手に持ったまま見上げている。壁のほかは白く、朱色の丸だけが目に入る。

丸が付いた付箋(5枚)新人の伝票の間違いを、本人に返す支払いの遅れた取引先に電話をかける毎月の数字の「いつもと違う」に気づく取引先の請求の間違いを、角を立てずに伝える決算の前に、税理士さんと話す

税理士(ぜいりし)の解説

現実の事実税理士法にもとづく資格の専門家です。頼まれて、税金の申告などの代理(税務代理(ぜいむだいり))、申告書(しんこくしょ)などの税務書類の作成、税の相談を仕事にします。

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人物のいない全面の1枚。白い地に、たくさんの付箋の輪郭がうすく霞み、朱色の丸の付いた5枚だけがくっきり浮かぶ。左の3分の1は何も無い白。

丸が付いたのは
AIに任せない方の
仕事だった

女性の顔の大写し。老眼鏡を外しかけた手が止まり、目を見開いている。

碓井 和子:えっ
こっちに
丸?

前の男が振り返り、朱色のマーカーにキャップをはめながら、穏やかに笑う。後ろのボードの丸。

都築 亘:任せる方の58枚は
明日
AIと一緒に分けます

都築 亘:今日決めたのは
碓井さんが
持つ方です

都築 亘:AIの答えに
最後の判断を入れるのも
人の仕事ですから

人間の判断の介在の解説

現実の事実AIに任せきりにせず、決めどころで人が確認して判断することです。総務省と経済産業省の「AI事業者(じぎょうしゃ)ガイドライン(第1.2版)」は、AIに単独で判断させるだけでなく、適切なタイミングで人間の判断を介在させる使い方を考えるよう挙げています。その時、人がAIの答えを信じ込みすぎないようにする工夫も要るとしています。

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若い男が自分の5枚の付箋を見下ろす。どれにも丸が無い。眉を下げて苦笑い。左で、朱色のマーカーを持った講師が頬杖をつき、笑いをこらえている。

帆高 湊斗:僕のには
丸 無いんですけど

都築 亘:帆高さんは
まず
枚数を増やしましょう

法人向けAI研修とはD株式会社の、企業ごとの業務や課題に合わせてカリキュラムを設計し、AIの基礎から業務での活用、ガイドラインづくり、組織への定着までを支援する研修です。

夜、誰もいない経理部。机の上の明かり1つの下に、女性が鞄を置いて座る。手帳の表紙に、朱色の丸の付いた付箋が5枚。

午後7時

63枚のうち
丸は5枚

女性の手元の寄り。30年使った電卓の縁に、朱色の丸の付箋を1枚ずつ貼っていく。
机の明かりに下から照らされた女性の顔。目を伏せ、口の端が少しだけ動く。

碓井 和子:5枚しか
残らないのか

碓井 和子:5枚も
残るのか

鞄の口から、丸の無い付箋の厚い束がのぞく寄り。女性の指がその束の端に触れている。

明日は
残りの58枚を
AIに渡す日だった

夜の会社を外から見上げる縦長の1枚。いちばん上に、2階の経理部の窓だけが明るく、窓辺に座る女性の小さな影。下へたどると、暗い倉庫と並んだ冷蔵のトラック、いちばん下の搬入口の明かりの下を、最後のトラックが出ていく。

つづく

第1話「63枚の付箋」

つづく

制作に生成 AI を使用(生成 AI の使い方)

利用ガイド

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・店は架空です。
作中の「D株式会社」は、実在の会社です。

法人向けAI研修

サービスD株式会社の法人向けAI研修。AIの基礎から実務での活用、組織への定着まで、受講者や課題に合わせたカリキュラムで学ぶ研修です。

D株式会社

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経理30年、来年なくなる部署でAIを習う

この続き、いつもの AI で作れます

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この話で分かること

生成(せいせい)AIの研修では、何を習う?

道具の操作の前に、自分の仕事を1つずつ書き出し、AIに任せられそうな仕事と、人が持つ仕事に分ける事から始める形があります。この話の研修の初日は、AIに触らずに仕事を付箋に書き出し、人が持つ方に丸を付けました。任せる方は、次の日にAIと一緒に分けます。

条件・例外

研修の中身は、会社の業務や受講する人に合わせて決めます。

物語との違い

作中の会社・人物・研修の進め方は架空です。

経理の仕事は、AIでなくなる?

「なくなる」とは言い切れず、仕事の中身が変わります。この話の63の仕事のうち、請求書(せいきゅうしょ)を並べる・仕訳を入力する・振込の一覧を作るような、決まった形でくり返す作業は、システムやAIに任せる候補です。一方で、取引先に間違いを伝える・新人に伝票を返す・毎月の数字の「いつもと違う」に気づく・税理士(ぜいりし)と話す、の5つは、人が持つ仕事として残りました。

条件・例外

どこまで任せられるかは、会社の仕組みや取引の形で変わります。

物語との違い

作中の会社の「来年、経理の仕事を自動にする」は架空の会社の決めです。

50代からAIを覚えるには、何から始めればいい?

道具の使い方を覚える前に、自分の仕事を細かく書き出す所から始められます。この話の碓井さんは、30年分の仕事を63枚に書き出しました。細かく書けるほど、AIに何を頼むか・どこを人が見るかを決めやすくなります。

物語との違い

作中の人物は架空です。

AIに任せる仕事と、人が持つ仕事は、どう分ける?

この話では、決まった形でくり返す作業を任せる候補にし、相手との間に立つ仕事・「いつもと違う」に気づく仕事・最後に責任を持つ判断を、人が持つ方にしました。総務省と経済産業省のAI事業者(じぎょうしゃ)ガイドラインも、AIに任せきりにせず、適切な所で人の判断を挟む使い方を考えるよう挙げています。

条件・例外

分け方は、仕事と会社によって変わります。

この話の用語

生成(せいせい)AI漫画の中で見る
現実の事実文章・画像・プログラムなどを新しく作る目的で使う AI です。総務省の情報通信白書(令和5年版)は、データを分けたり予測したりする AI に加えて、人が得意としてきた「作る」仕事に入ってきた AI として説明し、文章を要約して答える、指示を受けてプログラムを書く、といった使い方を挙げています。
インボイス制度(せいど)漫画の中で見る
現実の事実2023年10月1日に始まった、消費税を正しく納めるための仕組みです。税率や消費税の額、売手の登録番号(とうろくばんごう)などを書いた請求書(せいきゅうしょ)・領収書(りょうしゅうしょ)など(インボイス)を受け取って残しておくと、仕入れの時に払った消費税を差し引けます。登録番号は、インボイスを出す事業者(じぎょうしゃ)として登録した後に税務署(ぜいむしょ)から知らされる番号です。
決算(けっさん)漫画の中で見る
現実の事実1年(事業年度(じぎょうねんど))の終わりに、その年のもうけと、会社に残った財産・借りているお金をまとめる事です。会社法(かいしゃほう)は、株式会社に、事業年度ごとの計算書(けいさんしょ)類(貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)・損益計算書(そんえきけいさんしょ)など)を作り、作った時から10年間残しておくよう決めています。
税理士(ぜいりし)漫画の中で見る
現実の事実税理士法にもとづく資格の専門家です。頼まれて、税金の申告などの代理(税務代理(ぜいむだいり))、申告書(しんこくしょ)などの税務書類の作成、税の相談を仕事にします。
人間の判断の介在漫画の中で見る
現実の事実AIに任せきりにせず、決めどころで人が確認して判断することです。総務省と経済産業省の「AI事業者(じぎょうしゃ)ガイドライン(第1.2版)」は、AIに単独で判断させるだけでなく、適切なタイミングで人間の判断を介在させる使い方を考えるよう挙げています。その時、人がAIの答えを信じ込みすぎないようにする工夫も要るとしています。

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  2. 2AI が開く設定とあらすじが入る
  3. 3一緒に考える展開・台詞・絵の指示を相談
例:AI との相談

あなた研修の2日目、和子が58枚の付箋をAIに渡す場面の台詞を考えたい

AI都築「1枚ずつ、AIに聞いてみましょう。この仕事を、どう手伝えますか、と」。和子「請求書を並べる仕事を、AIに説明するの?」。帆高「碓井さん、説明うまいですよ。付箋が細かいから」。

あなたその後、和子が気づくことを1行で

AI58枚のうち、AIがすぐ手伝えると答えたのは半分ほどで、残りは「どの順で・何と照らすか」を和子が書き足さないと、AIにも分からなかった。

送る質問あらすじを踏まえて、次の話の展開を一緒に考えて

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この話のあらすじ

食品の卸の会社・瀬名川食品。経理部の碓井 和子は、30年使った電卓で月末の締めをしている。常務の奈良橋 修は、来年の春から経理の仕事をシステムで自動にし、経理部としてはなくなると告げ、その前にAIの研修を受けてほしいと頼む。研修の初日、受講者12人の中で和子はいちばん年上で、持ってきたのは筆記用具だけだった。D株式会社の法人向けAI研修の講師・都築 亘は「今日はAIに触りません」と言い、自分の仕事を1枚に1つずつ付箋に書き出すよう求める。隣の営業の帆高 湊斗は5枚で終わり、和子は書いても書いても終わらない。請求書(せいきゅうしょ)を並べる、インボイスの登録番号(とうろくばんごう)を確認する、新人の伝票の間違いを本人に返す。63枚になった。都築は、AIに任せられそうな仕事と人が持つ仕事のうち、今日は片方だけに丸を付けると言う。和子は任せる方に丸が付くと思っていた。丸が付いたのは、AIに任せない方の5枚だった。その夜、和子は5枚の付箋を電卓の縁に貼る。明日は、残りの58枚をAIに渡す日だった。

作者

D株式会社

AI・システム開発から、社外CAIO(AI顧問)・常駐型現場伴走支援・マーケティング支援・法人向けAI研修まで、会社の AI の活用を支える会社です。

この作品について

生成AIの研修で何を習うか、経理の仕事のどこがAIに移り、どこが人に残るかを、研修を受ける54歳の経理の目で1つずつ追えます。

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