
その土地︑いくらですか︒
――そう聞かれるのが︑
俺の仕事だった︒

現地調査メモ前面道路の幅:3.8メートル(4メートルに足りない)
値は︑勘で決めるものじゃない︒
道の幅︑日当たり︑
近くで売れた値︒
確かめた事だけが︑値になる︒


目を開けると︑
俺は18歳の測量見習いで︑
ここは︑神様が
土地の値を決める国だった︒

町の測量所の見習い(前世は不動産鑑定士)ケイ

取り立て役:値なしiの宿だ︒
銀貨30枚でも︑
ありがたく思え︒

宿〈月見鳥亭〉の娘リタ

この国では︑土地の値は︑
大神殿の神託だけで決まる︒
魔物の出た家に︑
神託は値を告げない︒
値の告げられない土地には︑
誰も金を貸さず︑
誰も買わない︒

ケイ:値の無い土地なんて︑無い︒
値の分からない土地が︑
あるだけだ︒
――査定書iを開きます。対象:月見鳥亭の土地記入できるのは、あなたが確かめた事だけです。

ケイ:3日ください︒
この宿の土地の値を︑
俺が出します︒
取り立て役:神託でもない小僧が︑
どうやって
値を出す!

商業ギルドの〈売買の帳i〉︒
この町で︑いつ︑どの土地が︑
いくらで売れたか︒
――誰も読まない帳だ︒
取引事例比較法i近くで最近売れた土地の値を集め、売れた時の事情・時期・土地の条件の違いを直してから、対象の土地と比べて値を出す。
前の世界では︑
近くで売れた値を︑
国が誰でも見られる形で
出していた︒

リタ:同じ通りの粉屋の跡︑
銀貨400枚で
売れてる︙︙!

記録係:鍛冶屋の家と︑
隣の通りの雑貨屋︒
帳を読みに来た子は︑
40年で初めてだよ︒
査定書|集めた取引事例(町割りで、区画の広さは同じ)① 粉屋の跡・同じ通り 半年前 銀貨400枚② 鍛冶屋の家・同じ通り 半年前 銀貨280枚③ 雑貨屋・隣の通り 2年前 銀貨380枚

ケイ:②は安すぎる︒
鍛冶屋は借金の取り立てで︑
急いで売ってる︒
事情補正i売り急ぎ・買い急ぎなど、特別な事情で値がずれた取引は、普通の取引の値に直す。② 借金で急いで売った(記録係の話では、相場の7割ほど)② 280枚 → 400枚
ケイ:街道が通ってから︑
この町の土地は︑
この2年で1割上がった︒
帳の値を並べると︑そうなる︒
時点修正売れた時と今とで値の水準が変わっていれば、今の値に直す。③ 2年前の取引。この2年で1割上がった③ 380枚 → 418枚

ケイ:最後に︑
土地そのものの違いを比べる︒
月見鳥亭は︑
広い通りの角だ︒
地域要因・個別的要因の比較道の幅、角地かどうか、日当たり、水の便など、通りと土地の条件の違いを比べて直す。③ 隣の細い通り −5%月見鳥亭は角地 +5%(どちらも、帳に並んだ値の差から)

査定書|月見鳥亭の土地① 400枚 → 420枚② 280枚 → 400枚 → 420枚③ 380枚 → 418枚 → 417枚比準価格:銀貨 約420枚
ケイ:神託は︑値を告げない︒
でも︑隣で売れた値は︑
嘘をつかない︒

宿を開く場所を探す元冒険者ドーラ
ドーラ:その値の理由︑
全部聞いた︒
話に乗ってもいい︒

グラナート商会の主ベルント・グラナート
ベルント:値なしに値を付ける小僧︑か︒
︙︙神殿に︑
知らせておけ︒

