読み切り

読み切り「窓際の新人」

朝の事務所の窓際。日の差す机に、小さな丸いロボットの姿の AI エージェントがちょこんと座っている。机の上に小さなサボテン。奥の席の人たちは誰もこちらを見ていない。

受注の AI エージェント・90日目の朝おはようございます。今日も、ご依頼をお待ちしています。

AI エージェントの解説

現実の事実目的を伝えると、やり方を自分で組み立て、メール・表・業務の画面などの道具を使って仕事を進める AI のことです。質問に答えるだけのチャットの AI と違い、作業そのものを進めます。どこまで任せ、どこで人が確かめるかは、使う側が決めます。

この言葉のこと、いつもの AI に

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毎朝︑同じあいさつ︒
返事をした人は︑
まだいない︒

受注の仕事に AI エージェントを入れた会社員僕

自分の机で、あごに手を当ててノートパソコンの画面を見つめる僕。画面には、横に3本の棒が並ぶだけ。

〈今月の利用〉受注の AI エージェント依頼:0件

僕:今月も
0件か

3か月前︒

会議室でのデモ。大きな画面の横で胸を張る僕と、机の上の小さなロボットの AI。社員たちが拍手し、社長が立ち上がって手をたたき、大笑いしている。

デモ注文のメールを読み、受注の画面に入れ、確認のメールの下書きを作りました。かかった時間:40秒

大塚 剛:すごいな!
40秒か!

拍手の中で︑
PoC は満点だった︒

PoC(概念実証(がいねんじっしょう))の解説

現実の事実本格的に入れる前に、その考え方や仕組みが本当に使えるかを小さく試すことです。英語の Proof of Concept の略です。試しはうまくいったのに、実際の仕事で使われないまま止まることを「PoC 止まり」と呼ぶことがあります。

この言葉のこと、いつもの AI に

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今︒

社長の机。座ったままにこやかに笑う社長が、予定の書いていない壁のカレンダーを指さす。机の前に立つ僕は、汗をかいている。

残り:30日依頼:0件

食品の卸の会社の社長大塚 剛

大塚 剛:来月の会議で
続けるか
決めよう

僕:︙︙はい

受注の島︒

受注の島。受話器を肩にはさんでメモを取る年配の女性の係。横の FAX から紙が出てくる。画面の縁には付箋がびっしり。右から、声をかけに来た僕。

受注の係三好 澄江

僕:三好さん
あの AI
使って
みませんか

三好 澄江:あれ
うちの注文には
使えないのよ

FAX の寄り。手書きの注文の紙が、絵の枠の下の線を越えて手前へ垂れ下がる。

〈FAX〉いつもの、お願いします。来週は、少し多めで。――山田食堂

三好 澄江:山田さんの
いつものね

FAX の紙をひらひらさせて、当たり前の顔で僕に見せる三好さん。右で、ぽかんとする僕。

「いつもの」は︑
卵とハムと食パン︒
店ごとに︑
決まった品がある︒

三好 澄江:少し多めは
2割ね
あそこは

僕:デモの注文に
そんな言葉は
なかった

3か月前の夜︒

夜の部屋。ノートパソコンで、きちんと整った注文のメールを打つ僕。少し得意げな顔。

品の名前も︑数も︑
届く日も全部そろった︑
一年で
いちばんきれいな注文︒
デモで読ませた
そのメールは︑
僕が書いた︒

三好さんと話した次の日︒

受注の島。三好さんの隣の椅子に座り、メモ帳を手に横から見る僕。三好さんは受話器を肩にはさんだまま、FAX から出てくる注文の紙を取っている。

一日︑隣で見た︒
注文は︑FAX と
電話とメールで来る︒

〈三好さんの一日〉注文の入り口:FAX・電話・メール「いつもの」:店ごとに決まった品欠品の時:代わりの品を、店に電話で相談支払いの遅れている店:出すかどうかを決める(迷う時は社長へ)

僕:この中で
三好さんが
決めてる所は?

印刷した注文の一覧を、鉛筆の先で指す三好さんの寄り。落ち着いた顔。

三好 澄江:代わりの品と
出していいか
どうか

三好 澄江:あとは
写してる
だけね

AI に任せるのは︑
写している所︒
決める所は︑人に戻す︒

〈AI エージェントに任せる仕事:受注の入力〉入ってくる物:FAX とメールの注文(「いつもの」は店ごとの表で読む)AI がする事:品と数を読み、受注の画面に入れる人に戻す時:欠品・支払いの遅れている店・読めない字渡す権限:受注の画面に入れるまで(確定と、取引先へのメールは渡さない)終わり:三好さんが確かめて、確定を押す

権限の解説

現実の事実その人やシステムが、どこまでの操作をしてよいかの決まりです。AI エージェントには、仕事に要る分だけを渡します。お金・取引先への送信・元に戻せない操作は、人が確かめてから進める形がよく使われます。

この言葉のこと、いつもの AI に

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小さなロボットの AI を両腕に抱えて、窓際の席から受注の島へ運ぶ僕。ロボットの短い足が、絵の枠の右の線を越えて外へはみ出す。

窓際から︑
三好さんの隣へ︒

翌朝︒

朝の受注の島。左の、画面の横に座ったロボットの AI が、届いた FAX の紙を見ている。右で三好さんが両手でカップを持ち、横目で見ている。

受注の AI エージェント山田食堂さまの「いつもの」3品を、受注の画面に入れました。卵が欠品です。代わりの品は、三好さんに確かめます。

三好 澄江:︙︙聞いて
くるのね

確定のキーを人さし指で押す三好さん。口元が少しゆるむ。横で短い腕を上げるロボットの AI と、右の奥で小さくこぶしを握る僕。

依頼:1件(初めての本番)

三好 澄江:これ
明日も使う

1週間後︒

大塚 剛:聞いたぞ
使えるらしいな

受注の島に満面の笑みで乗り込み、片腕を高く振り上げ、もう片腕を横へ広げる社長。振り上げた手が、絵の枠の上の線を越えて外へ出る。左で固まる僕とロボットの AI、奥でこちらを見る三好さん。

大塚 剛:来月から
全部
任せよう!

僕:ぜ
全部︙︙

「全部」の中には︑
どこで人に戻すか︑
まだ決めていない仕事が︑
山ほどある︒

読み切り「窓際の新人」

おわり

原作・脚本
ka2uma
作画
ka2uma

制作に生成 AI を使用(生成 AI の使い方)

利用ガイド

この先が気になるあなたへ。違う話を考えたいあなたへ。

この話の番外編、いつもの AI で作ってみてください。

  1. 1ボタンを押すいつもの AI を選んで
  2. 2AI が開く作品の設定とあらすじつきで
  3. 3一緒に考える展開・台詞・絵の指示まで
例:AI との相談

あなた社長が「全部任せよう」と言った次の日の、受注の島を考えたい

AI三好さんが、AI エージェントに渡す仕事の札を1枚ずつ机に並べ、「これは任せる」「これは戻して」と分けていく場面にすると、全部任せる前に線を引く話になります。

あなたその線で、台詞を

AI三好「支払いの遅れてる店は、戻して」。AI エージェント「承知しました。出荷の前に、三好さんへ」。絵:朝の受注の島、札を並べる三好さんと、隣の小さな AI。

送る質問あらすじを踏まえて、この話の番外編を一緒に考えて

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AI の答えは、作品の公式の番外編ではありません。作った物を出す時は、利用ガイドを見てください。

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この話で分かること

AI エージェントを導入しても、現場で使われないのはなぜ?

試しの導入(PoC)で使った入力や手順が、実際の仕事と違うことがあるからです。注文が FAX や電話で来る、店ごとの言い回しがある、例外を人が判断している、といった現場の事情を試しに入れていないと、試しでは満点でも、本番では使えない道具になります。

物語との違い

作中の会社・人・数字は創作です。AI エージェントの姿は漫画の見せ方で、特定の製品ではありません。

AI エージェントに、まず何を任せればいい?

一つの業務の中の、人が「写している」「探している」だけの作業からです。入ってくる物、AI がする事、人に戻す時、どうなったら終わりかの4つを書いてから任せると、現場の人が使うかどうかを判断しやすくなります。

AI エージェントは、どこで人に判断を戻すべき?

お金に関わる所、取引先への約束や送信、例外(欠品・支払いの遅れ・読めない字など)です。AI には仕事に要る分だけの権限を渡し、判断の要る所では止めて人に確かめる形にしておきます。

AI エージェントと、チャットの AI は何が違う?

チャットの AI は聞かれたことに答えるのが中心で、AI エージェントは目的を受けて、メール・表・業務の画面などの道具を使い、作業そのものを進めます。そのぶん、どこまで任せ、どこで人が確かめるかを、使う側が先に決めておく必要があります。

この話の用語

AI エージェント漫画の中で見る
現実の事実目的を伝えると、やり方を自分で組み立て、メール・表・業務の画面などの道具を使って仕事を進める AI のことです。質問に答えるだけのチャットの AI と違い、作業そのものを進めます。どこまで任せ、どこで人が確かめるかは、使う側が決めます。
PoC(概念実証(がいねんじっしょう))漫画の中で見る
現実の事実本格的に入れる前に、その考え方や仕組みが本当に使えるかを小さく試すことです。英語の Proof of Concept の略です。試しはうまくいったのに、実際の仕事で使われないまま止まることを「PoC 止まり」と呼ぶことがあります。
権限漫画の中で見る
現実の事実その人やシステムが、どこまでの操作をしてよいかの決まりです。AI エージェントには、仕事に要る分だけを渡します。お金・取引先への送信・元に戻せない操作は、人が確かめてから進める形がよく使われます。

更新日:

この話のこと、いつもの AI に聞いてみてください。

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この話のあらすじ

僕が受注の仕事に入れた AI エージェントは、デモでは注文のメールを40秒で受注の画面に入れ、拍手をもらった。3か月後、依頼は0件で、AI は窓際の席で毎朝あいさつを続けていた。社長は来月の会議で続けるかを決めると言う。受注の係の三好さんの隣で一日を見ると、注文は FAX・電話・メールで来て、「いつもの」「少し多め」と書いてあり、欠品や支払いの遅れている店は三好さんが決めていた。デモの注文のメールは、僕が書いたきれいな文だった。僕は、AI に任せるのは写している所、決める所は人に戻す形に作り直し、AI を三好さんの隣へ移す。翌朝、AI は「いつもの」を入れ、欠品の代わりの品を三好さんに聞いてきた。三好さんは「明日も使う」と言う。ところが1週間後、社長が「来月から、全部任せよう」と言い出す。

作者

ka2uma

Web マーケター

Web 集客・SEO の仕事の考え方を異世界転生の物語に、AI と働く毎日の出来事や、そこから考えた話を読み切りにして描いています。

この作品について

ka2uma の読み切りです。出てくる会社・人・AI は創作で、AI は特定の製品ではありません。「僕」の頭の上の〈窓〉には、ここぞという場面で、その時の僕の状態が出ます。

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