第1話ログイン

第1話「今日、3回目です」

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・店は架空です。

15時02分︒
印刷会社の
営業部︒

大槻 光男:戸田!

昼の印刷会社の営業部のフロア。右手前で、モニターのまわりが付箋だらけの机の前の若い女性が、肩をすくめて振り向く。左奥の席で、課長が立ち上がって呼んでいる。白い蛍光灯の光。

営業部・営業事務(1年目)戸田 七瀬

大槻 光男:見積書
15時って
言ったろ

戸田 七瀬:あっ

戸田 七瀬:すみません

〈今日の、課長の「戸田!」〉9時40分 会議室の予約11時15分 校正の戻し15時02分 見積書

今日︑
3回目︒

モニターの縁の寄り。縁のまわりに何枚も貼られた黄色い付箋(字は無い)。1枚がはがれて、絵の枠の下の線を越えて手前へ落ちていく。

付箋は︑
23枚︒

戸田 七瀬:書いた
のに

書いた事は︑
覚えている︒
どこに書いたかを︑
忘れる︒

第1話「今日、3回目です」

17時30分︒
同じ課の島︒

戸田 七瀬:面談まで
あと9日

〈試用期間の面談まで〉あと9日

沖 晴彦:戸田さん

夕方の営業部の島。左で、七瀬がモニターの前で机に突っ伏している。右の席で、眼鏡の男性が方眼のメモ帳に書く手を止めて、七瀬の方を見る。

同じ課の営業事務沖 晴彦

沖 晴彦:付箋
数えても
いいですか

戸田 七瀬:えっ

七瀬の机。右で、沖が真顔でモニターの付箋を1枚ずつ指でさして数えている。左で、七瀬が困った顔で見ている。

沖 晴彦:23枚

沖 晴彦:書く場所が
多すぎ
ますね

戸田 七瀬:怒らないん
ですか

沖 晴彦:怒っても
付箋は
減らないので

戸田 七瀬:︙︙それは
そう

沖 晴彦:僕は
これ1冊
だけ

沖の両手の寄り。左手で開いた方眼のメモ帳を持ち、右手にペン。短い行が縦に並び、何本かに定規で引いたような線が引いてある(字は読めない線だけ)。

〈沖のメモ帳〉印刷所へ電話(10時まで)請求書の封入(13時まで)昼:カレー名刺の発注(16時まで)

戸田 七瀬:昼
カレー?

沖 晴彦:忘れるので

戸田 七瀬:カレーを?

沖 晴彦:はい

この人も︑
忘れる人だった︒

沖 晴彦:1つだけ
試して
みませんか

沖 晴彦:頼まれたら
その場で
ここに書く

島の机の上。右から沖が、新しい方眼のメモ帳を七瀬の前へ差し出す。左で、七瀬がそれを受け取るか迷って手を止める。

〈沖さんの決め〉1. 書く所は、1冊だけ2. 頼まれたら、その場で書く3. 期限の近い順に、上から並べる4. 終わったら、線で消す

戸田 七瀬:付箋は
どうするん
ですか

沖 晴彦:全部
この1冊に
写します

戸田 七瀬:23枚

沖 晴彦:手伝います

夜の営業部の島。窓の外は暗い。左で七瀬がモニターの付箋をはがしながらメモ帳に書き写し、右で沖がはがした付箋を1枚持って読み上げる。机の上に、はがした付箋の小さな山。

はがして︑
写して︑
期限の順に
並べ直す︒

〈並べ直したら〉明日の10時までの物が、3つ今日の18時までの物が、1つ

戸田 七瀬:あっ

戸田 七瀬:今日の
がある

七瀬の手の寄り。メモ帳の1行を人さし指でおさえる(字は読めない)。横に、机の上のデジタルの時計(数字は読めない)。

印刷所への︑
色の確認の返事︒
18時まで︒

〈今〉17時52分

沖 晴彦:まだ
8分
あります!

戸田 七瀬:電話
します!

立ったまま受話器を耳に当て、頭を下げる七瀬(左)。握った受話器とコードが、絵の枠の右の線を越えて外へ出る。右奥で、沖が腕時計を見ている。

戸田 七瀬:お返事
遅くなって
すみません!

戸田 七瀬:間に合い
ました!

沖 晴彦:線で
消しましょう

翌朝︒
9時︒

朝の営業部。左で、課長が七瀬の机の横に立ち、印刷所から届いた色見本の紙を見ている。右で、七瀬がメモ帳を胸に抱えて身構える。

営業部の課長大槻 光男

大槻 光男:印刷所が
返事が早くて
助かったって

戸田 七瀬:え

大槻 光男:ふん

「戸田!」は︑
その日︑
1回だった︒

戸田 七瀬:あの

昼の給湯室。左で、七瀬が缶コーヒーを両手で差し出す。右で、沖が少し驚いた顔で受け取る。

戸田 七瀬:昨日の
お礼です

沖 晴彦:僕は
数えた
だけです

戸田 七瀬:カレーの
ぶんも

沖 晴彦:カレーは
僕の昼です

その夜︒
七瀬の部屋︒

暗いワンルーム。ベッドの上でひざを抱え、スマホを見る七瀬。画面の青白い光だけが顔に当たる(画面の字は読めない)。

戸田 七瀬:1冊にしても
また
忘れたら

「仕事 ミスばかり」
と打った︒

〈スマホの画面〉困りごとの相談の先発達障害者支援センター(都道府県・指定都市)

発達障害者支援(はったつしょうがいしゃしえん)センターの解説

現実の事実発達障害者支援法にもとづいて、都道府県と指定都市が自ら行うか、指定した法人に行わせる相談の窓口です。発達障害のある人と家族などの相談に応じ、就労の支援や、医療・福祉・労働などの関係機関の紹介をします。

診断を受けていなくても相談できる?
相談の対象や受け付けの仕方はセンターごとに違います。お住まいの都道府県・指定都市のセンターに確かめます。

出典

この言葉のこと、いつもの AI に

この話の内容をそのまま持って、AI に聞けますGemini だけは、開いたら貼り付けてください(内容はコピーしておきます)

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AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

戸田 七瀬(つぶやき):発達︙︙

開いて︑
閉じて︑
また開いた︒

机の上の寄り。七瀬の手が、方眼のメモ帳のいちばん下の新しい行にペンで書く(字は読めない線)。メモ帳の角が、絵の枠の上の線を越えて外へ出る。伏せたスマホが横にある。

1冊だけの︑
いちばん下の行︒

〈七瀬のメモ帳〉病院、予約

翌朝︒

朝の営業部の島。右で、沖が七瀬の机の上に開いたままのメモ帳に目を留め、手を止めている。左で、七瀬がコートを脱ぎかけて気づく。

沖 晴彦:書けて
ますね

戸田 七瀬:︙︙はい

戸田 七瀬:期限は
金曜です

第1話「今日、3回目です」

つづく

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例:AI との相談

あなた七瀬が、沖と一緒に付箋をはがしている夜の場面を、課長の目から考えたい

AI帰りぎわの課長が、暗いフロアで2人だけ明かりのついた島を見つけ、声をかけずに自分の席の付箋を1枚はがして帰る場面にすると、怒る側の顔を言葉なしで見せられます。

あなたその場面の台詞を

AI課長(心の声)「……俺のも、多いな」。絵:自分のモニターの縁の付箋を、1枚だけはがしてポケットに入れる課長の手。

送る質問あらすじを踏まえて、次の話の展開を一緒に考えて

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この作品を読んだあなたへ

この話で分かること

仕事のミスが多い時、まず何を変える?

作中では、頼まれた事を書く場所を1冊にまとめ、頼まれたその場で書き、期限の近い順に並べ、終わったら線で消す、の4つにしました。書く場所が多いと、書いた事を覚えていても、どこに書いたかを忘れてしまいます。

条件・例外

ミスの理由は人や仕事によって違います。作中の工夫は一つの例です。

物語との違い

作中の会社・人物・締め切りは創作です。

やることリストは、どう並べる?

作中では、期限の近い物を上から並べ直しました。並べ直すと、今日のうちに返す物が1つ残っていた事に気づけました。

物語との違い

作中の並べ方は一つの例です。

発達障害者支援(はったつしょうがいしゃしえん)センターとは?

発達障害者支援法にもとづき、都道府県と指定都市が自ら行うか、指定した法人に行わせる相談の窓口です。発達障害のある人と家族などの相談に応じ、就労の支援や関係機関の紹介をします。

条件・例外

相談の対象や受け付けの仕方は、センターごとに違います。お住まいの地域のセンターに確かめます。

仕事で怒られてばかりの時、自分だけが悪い?

作中では、課長に呼ばれた3回はどれも、書いた場所を忘れた事が元でした。やり方を変えると、翌日は呼ばれる回数が減りました。怒られた回数ではなく、何を忘れたかを1つずつ見ると、変えられる所が見つかる事があります。

物語との違い

作中の出来事は創作です。つらさが続く時は、職場の相談の窓口や医療機関に相談してください。

この話の用語

発達障害者支援(はったつしょうがいしゃしえん)センター漫画の中で見る
現実の事実発達障害者支援法にもとづいて、都道府県と指定都市が自ら行うか、指定した法人に行わせる相談の窓口です。発達障害のある人と家族などの相談に応じ、就労の支援や、医療・福祉・労働などの関係機関の紹介をします。

出典

更新日:

この話のこと、いつもの AI に聞いてみてください。

この話の内容をそのまま持って、AI に聞けますGemini だけは、開いたら貼り付けてください(内容はコピーしておきます)

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

この話のあらすじ

15時02分、印刷会社の営業部。1年目の営業事務・戸田 七瀬は、見積書の締め切りを忘れ、今日3回目の「戸田!」を課長から浴びる。モニターの縁の付箋は23枚。書いた事は覚えているのに、どこに書いたかを忘れる。試用期間の面談まであと9日。夕方、同じ課の沖 晴彦は、叱るかわりに付箋を数え「書く場所が多すぎますね」と言う。沖も忘れる人で、昼のカレーまで1冊のメモ帳に書いていた。沖の決めは4つ。書く所は1冊だけ、頼まれたらその場で書く、期限の近い順に並べる、終わったら線で消す。2人で付箋を写して並べ直すと、今日の18時までの返事が1つ残っていた。17時52分、七瀬は電話をかけて間に合わせ、翌朝の「戸田!」は1回だった。その夜、七瀬は「仕事 ミスばかり」と調べ、相談の先の名前を何度も開いて閉じる。メモ帳のいちばん下の行に書いたのは「病院、予約」。翌朝、それを見た沖は「書けてますね」とだけ言った。

作者

トゥーンエル編集部

トゥーンエルを運営する H株式会社の編集部です。ミステリーや家族の物語など、仕事の題材に限らない作品を作っています。

この作品について

ミスが続いて今日も課長に呼ばれる1年目の営業と、叱るかわりに付箋を数え始めた「怒らない先輩」。手順を紙にする工夫と、困った時の相談の先を、怒られる側の目で描く職場の物語です。

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