第1話「北から、組め」
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・店は架空です。

大河内 剛三:半分
だと!?

交通誘導の
鷹野 颯:また
半分か︙︙
〈現場〉颯が
17時50分︒
現場の詰所の前︒

工務店の
鳶
大河内 剛三:ちっ
4人で
16時までに
棟は上がらん
大河内 剛三:上棟は
延ばすしか
ねえ
柴崎 葵:だったら
夜まで
やりますよ
4人で
大河内 剛三:ばか野郎
やらせねえ

大河内 剛三:無理した
現場で
落ちるのは
職人だ
大河内 剛三:足場の無い所に
人を上げるな
夜にもだ

トラックが
どこで止まり︑
職人が
どこで待つか︒

親父は︑鳶だった︒
段取りの悪い現場で
急かされて︑
腰を壊した︒
親父の手帳は︑
最後の1行が
空いたままだ︒
鷹野 颯:︙︙誘導員が
口出し
したら
終わりだ


鷹野 颯:あの
所長
4人でも
できます
大河内 剛三(画面の外の声):ああ?
誘導員が
何だ

鷹野 颯:8人を
2組に
分ける段取り
ですよね
鷹野 颯:北と南を
同時に
鷹野 颯:4人なら
1組で
北から順に
大河内 剛三:それじゃ
倍かかるだろ
鷹野 颯:2組でも
クレーンは
1台です
鷹野 颯:片方は
ずっと
待ってます
大河内 剛三:︙︙待ってる
だと?

止めちゃいけないのは︑
人じゃない︒
16時で帰る
クレーンだ︒
鷹野 颯:南の材料は
昼まで
要りません
鷹野 颯:北の分から
先に運べば
クレーンは
1分も
待たない
鷹野 颯:それに
8時の便は
角で20分
止まります
大河内 剛三:︙︙なんで
分かる
鷹野 颯:毎朝
止めてるの
僕なので
柴崎 葵:誘導員の
言う事で

柴崎 葵:動けるかよ
大河内 剛三(画面の外の声):︙︙1時間だ
大河内 剛三:朝の1時間で
遅れたら
そこでやめる
その夜︑所長は
材料の工場に︑
積む順の直しを
頼んだ︒

大河内 剛三(つぶやき):段取り八分
仕事二分だ
翌朝 7時50分︒

クレーンが
使えるのは︑
16時まで︒

〈現場〉守る
8時10分︒
角の警備員(機械の声):南の材料の
2台目が
先に来た

角の警備員(機械の声):北の1台目は
渋滞で
20分遅れ
大河内 剛三:おい
クレーン
止まるぞ

大河内 剛三:1時間で
遅れたら
やめると
言ったな
鷹野 颯:待って
ください!

鷹野 颯:2台目は
角の駐車場で
待機
鷹野 颯:1台目は
裏の
一方通行から
北の口へ
裏の道は︑
毎朝︑ごみの車が
抜けていく道︒


柴崎 葵:次
北の梁!
15時40分︒
大河内 剛三(画面の外の声):棟木だ
葵
フック!
柴崎 葵:掛けてる!
親綱に

棟が︑
上がった︒
〈現場〉守る

柴崎 葵:誘導員
柴崎 葵:北から
合ってたな

大河内 剛三:明日から
ヘルメットの
色を変えろ
鷹野 颯:え︙︙

大河内 剛三:職人を
守りたきゃ
上に行け
警備会社の隊長(電話の声):勝手に
持ち場を
離れたな

警備会社の隊長(電話の声):今日で
終わりだ
警備の仕事を︑
失った日︒
〈現場〉守る
大河内 剛三(画面の外の声):1週間で
使えなきゃ
大河内 剛三:戻る場所は
もう無えぞ
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あなた上棟が終わった次の朝、見習いの初日の颯の最初の1時間を考えたい
AI紺から白に替えたヘルメットに、職人たちが気づくかどうかで空気が決まります。葵さんが「誘導員」と呼ぶのか、名前で呼ぶのかを、最初の一言にすると関係の段が見えます。
あなた葵が「誘導員」と呼ぶ形で、最初の台詞を
AI葵「誘導員。……今日は、どこに立つんだ」。颯「門の、内側です」。絵:朝の詰所の前、白いヘルメットを両手で持ったまま立つ颯と、足場の上から見下ろす葵。
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