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第1話「機械だけで、1億」

この作品には、DXMAコンサルティング株式会社のサービスが登場します

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・店は架空です。
作中の「譲渡・事業承継」は、DXMAコンサルティング株式会社の実在のサービスです。

金曜の夕方︒
父の工場の事務所︒

深町 修造:開けるぞ

金属の部品を削る町工場の社長(67歳)深町 修造

町工場の事務所。左で、作業着の年配の社長が白い封筒を破りながら、目を細めて笑っている。右で、紺のスーツの娘が身をかがめて手元をのぞく。奥の窓の向こうに旋盤の並ぶ現場。

〈会社の値段の試算〉想定の譲渡額:約3,200万円出した人:取引先の銀行の担当測り方:純資産に、営業利益の2年分を足した

深町 遥:3,200万
︙︙?

深町 修造:がはは
機械だけで
1億
かかったんだぞ

深町 遥:笑ってる
場合?

会計事務所で働く、社長の娘深町 遥

娘の寄り。紙の数字を2度見して、眉を寄せる。肩までの黒髪、細い眼鏡、紺のスーツ。

父の工場は︑
継がない︒
10年前に︑
私が決めた︒

深町 修造:なら
いい

社長の横顔の寄り。外した紐つきの老眼鏡を手に、机に伏せた試算の紙を見下ろす。表情は静か。

深町 修造:閉める

深町 遥(画面の外の声):ちょっと待って
みんなは?

深町 修造:22人には
来月
言う

〈工場の土地の、賃貸の更新〉あと8か月。父は、更新しないと決めた

第1話「機械だけで、1億」

その夜︒
遥の部屋︒

夜の部屋の机。電気スタンドの白い明かりの下で、遥が試算の紙と電卓を並べ、頬杖をついている。奥に閉じたノートパソコン。

深町 遥:なんで
この値段
なの

会社の値段には︑
よく使われる
測り方がある︒

〈会社の値段の、よくある測り方(中小企業庁の資料から)〉1. 純資産:持っている物から借金を引いた額。機械は、帳簿の額か、今売れる値段で数える2. 純資産に、数年分の利益を足す(何年分かは交渉で決まる。1〜3年が多い)3. EBITDA×倍率:似た上場会社の倍率を使って測る

時価純資産法(じかじゅんしさんほう)の解説

現実の事実会社の資産と負債を、帳簿(ちょうぼ)の額ではなく今の値段に数え直して差し引き、残った純資産を株式の値段とする測り方です。中小企業の M&A では、この純資産に数年分の利益を足した額を譲渡額とする例もあります。

機械を高く買ったのに、値段が低いのはなぜ?
純資産で測る時は、機械を帳簿に残っている額か、今の値段に数え直した額で数え、買った時の値段では数えないためです。
純資産に足す利益は、何年分(なんねんぶん)?
利益の種類(税引後利益・経常利益など)と年数(通常1〜3年)は事例ごとに違い、交渉で決まることが多いとされています。

出典

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EV/EBITDA 倍率法(ばいりつほう)の解説

現実の事実会社の EBITDA(簡単には「営業利益+減価(げんか)償却費」で出す)に、似た上場会社から出した倍率をかけ、借入れから現預金を引いた額を差し引いて、株式の値段を出す測り方です。中小 M&A で多く使われるとされています。

中小企業も、上場会社と同じ倍率?
中小企業の株式は上場会社より売り買いしにくいため、30%ほど低く見る例もあるとされています。
EBITDA は何と読む?
「イービットダー」や「イービットディーエー」と読みます。

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1億で買った機械も︑
今の値段で数えれば︑
ずっと小さい︒

深町 遥(つぶやき):︙︙でも
利益の方は
変えられる

翌週の月曜︒
工場の現場︒

早瀬 湊:失礼
します

DXMAコンサルティング株式会社早瀬 湊

旋盤の並ぶ明るい現場。右で、紺のスーツに革靴の若い男が、床の油だまりに片足を突っ込んで固まっている。左で、遥が額に手をあてている。奥で、作業着の職人たちが手を止めて見ている。

深町 遥:そこ
油です

早瀬 湊:︙︙はい

会社の値段の相談を
受ける会社の人︒
遥が︑
自分で呼んだ︒

〈遥が申し込んだ相談〉DXMAコンサルティング株式会社 譲渡・事業承継相談した事:父の工場の値段の試算が、思っていたより低い

事務所の応接の机。左で、早瀬が名刺を手に座る。右で、修造が腕を組んで向かいに座る。机の上に白い名刺が1枚(字は無い)と湯のみ。

早瀬 湊:あの
見積もりは
どなたが?

深町 修造:俺だ

早瀬 湊:えっ
全部
ですか

深町 修造:全部だ

修造の寄り。自分のこめかみを人差し指で指す。手前の机の上には湯のみだけで、書類は1枚も無い。

深町 修造:ここに
ある

見積もりの台帳は︑
無い︒
父の頭の中に︑
22年分ある︒

早瀬 湊(画面の外の声):すみません
でも
買う側から
見ると

早瀬 湊:それが
いちばん
怖いんです

〈買う側の目〉社長が辞めた次の日に、見積もりが出せない会社=社長がいないと回らない(属人化した)会社

属人化(ぞくじんか)の解説

現実の事実仕事のやり方や取引が、特定の人(多くは社長)の頭の中や人柄に頼っていて、その人がいないと回らない状態です。中小企業庁の中小 M&A ガイドラインは、中小 M&A の対象の事業は、経営者個人の信用・人柄などの属人的な要素に大きく影響される傾向があると書いています。

どうすれば変えられる?
ガイドラインは、M&A に先立って、経営の状況や課題をはっきりさせる「見える化」と、価値を高める「磨き上げ」を挙げています。

出典

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深町 修造:俺の
会社だ!

立ち上がって机に両手をつく修造(右)。向かいの早瀬(左)は座ったまま、まっすぐ見返す。机の上に湯のみ。

深町 修造:俺がいて
何が悪い

早瀬 湊:いいえ
悪くないです

早瀬 湊:値段が
付きにくい
だけです

机の上の手元の寄り。早瀬の手が、白い紙に3つの四角を描き、下の2つにペンで丸を付ける(字は無い)。

早瀬 湊:ただ
動かせる所と
動かせない所が
あるんです

〈会社の値段のうち、動かせる所〉倍率:EBITDA にかける倍率は、業種と市場で決まる。会社の中からは動かしにくい利益:仕事のやり方で変わる社長がいなくても回るか:紙に出せば変わる

早瀬 湊:売る前に
磨き上げ
ましょう

磨き上げ(みがきあげ)(事業承継(じぎょうしょうけい)の)の解説

現実の事実事業承継や M&A の前に、経営の状況や課題をはっきりさせ(見える化)、会社の価値を高めるために経営を良くしておくことです。中小企業庁の中小 M&A ガイドラインは、M&A に先立つ「見える化」「磨き上げ」を挙げています。

最低限、何をしておく?
ガイドラインは最低限として、株式の整理・集約(株主名簿・名義株の確かめなど)と、事業用の資産の整理・集約(名義・担保(たんぽ)・会社と経営者個人の財産の区別)を挙げています。

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深町 遥:でも
8か月しか
ないんです

事務所。左で、早瀬が描いた紙を机に置いたまま、遥の方を向く。右で、遥が窓の外の現場(旋盤と職人たち)を背に、両手を握って立つ。

早瀬 湊:なら
8か月で
できる所から

早瀬 湊:まず
見積もりを
紙に

深町 修造(画面の外の声):︙︙ふん
勝手に
しろ

夕方︒
3号機の前︒

深町 遥:お父さん
1件だけ
お願い

旋盤の前。左で、修造が削りかけの金属の部品を手に、横を向いている。右で、遥が開いたノートとペンを持って立っている。白い蛍光灯の平らな光。

深町 修造:これは
材料が
丸棒で

深町 修造:段取りが
昼飯2回分

深町 遥:もう
時間で
言って

深町 修造:1時間半

深町 修造:合わせて
24,800円

左で、修造が天井を見上げて、もう答えを言い終えている。右で、遥が電卓を手に打ちながら、口がぽかんと開く。

深町 遥:うそ
まだ
打ってるのに

夜の現場。旋盤の上に開いたノート。びっしり書かれた字(読めない線だけ)と小さな図。横に、使い込んだ電卓と、油の染みた軍手。

父の見積もりが︑
初めて1件︑
紙になった︒

〈見積もりの紙 1件目〉材料:丸棒段取り:1時間半削る時間・検査・運ぶ手間を足して合わせて:24,800円

深町 修造(画面の外の声):明日は
8番を
書いとけ

岩城 勝:売るんだな

いちばん古い旋盤の職人(62歳)岩城 勝

暗くなった現場の入口。右で、白髪の短い年配の職人が、戸口に立って低い声で言う。左の奥で、遥がノートを手に、こちらを振り向く。

深町 遥:待って
岩城さん
違うの

岩城 勝:売られる
なら

黒いシャツの岩城が、脱いだ作業着の上着を振り払うように投げる。伸ばした腕の先で、上着が右へ飛ぶ。顔はこわばっている。

岩城 勝:辞める

見積もりの品を︑
いちばん速く
削れるのは︑
岩城さんだ︒

その人が辞めれば︑
会社の値段は︑
また下がる︒

第1話「機械だけで、1億」

つづく

譲渡・事業承継

サービスDXMAコンサルティング株式会社の、会社を譲る側の相談。「まだ売らない」段階から相談でき、決算書から想定される譲渡価格の幅を試算します。価値を上げてから譲る道の提案もあります。

DXMAコンサルティング株式会社

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あなた遥が、会計事務所で同僚に試算の紙を見せる場面を考えたい

AI昼休みの会計事務所で、遥が先輩に試算の紙を見せ、「うちの父の会社なんです」と初めて口にする場面にすると、継がないと決めた遥の後ろめたさを、工場の外から見せられます。

あなたその場面の台詞を

AI先輩「3,200万って、安いの?」。遥「……分からないんです。自分の家なのに」。絵:事務所の窓際の机で、弁当を広げたまま紙を見つめる遥。

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この話で分かること

会社を売ると、いくらになる?

中小企業の M&A では、簿価純資産法・時価純資産法(じかじゅんしさんほう)・類似会社比較法(EBITDA×倍率)などで出した株式や事業の値段をもとに、譲渡額を交渉することが多いとされています。純資産に数年分の利益を足す例もあります。出した額がそのまま譲渡額になるとは限らず、最後は当事者が合意した額になります。

物語との違い

作中の工場・人物・金額・期限は創作です。

EV/EBITDA 倍率法(ばいりつほう)の計算は?

株式の値段=EBITDA×EV/EBITDA 倍率-純有利子負債(有利子負債-現預金)で出します。EBITDA は簡単には「営業利益+減価(げんか)償却費」で、倍率は似た上場会社から出します。

条件・例外

中小企業の株式は売り買いしにくいため、30%ほど低く見る例もあるとされています。似た上場会社の選び方が合っているかにも注意が要ります。

機械を高く買ったのに、会社の値段が低いのはなぜ?

純資産で測る時、機械は帳簿(ちょうぼ)に残っている額(簿価純資産法)か、今の値段に数え直した額(時価純資産法(じかじゅんしさんほう))で数え、買った時の値段では数えないためです。

条件・例外

帳簿の額と今の値段が大きく違う時や、帳簿に無い資産・負債がある時は、帳簿の額では本来の値段を表さないことがあります。

社長の頭の中にしか仕事のやり方がない(属人化(ぞくじんか))会社は、どうすればいい?

中小企業庁のガイドラインは、中小 M&A の対象の事業は経営者個人の信用・人柄などの属人的な要素に大きく影響される傾向があると書き、M&A に先立つ「見える化」「磨き上げ」を挙げています。

物語との違い

作中の担当の「値段が付きにくい」という言い方は、この考えを物語にした物です。

会社を売るか迷った時、どこに相談できる?

中小企業庁のガイドラインは、まず顧問税理士などの身近な支援機関に相談することを勧めています。国の相談の窓口として、各都道府県に事業承継(じぎょうしょうけい)・引継ぎ(ひきつぎ)支援センターがあります。

この話の用語

時価純資産法(じかじゅんしさんほう)漫画の中で見る
現実の事実会社の資産と負債を、帳簿(ちょうぼ)の額ではなく今の値段に数え直して差し引き、残った純資産を株式の値段とする測り方です。中小企業の M&A では、この純資産に数年分の利益を足した額を譲渡額とする例もあります。
EV/EBITDA 倍率法(ばいりつほう)漫画の中で見る
現実の事実会社の EBITDA(簡単には「営業利益+減価(げんか)償却費」で出す)に、似た上場会社から出した倍率をかけ、借入れから現預金を引いた額を差し引いて、株式の値段を出す測り方です。中小 M&A で多く使われるとされています。
属人化(ぞくじんか)漫画の中で見る
現実の事実仕事のやり方や取引が、特定の人(多くは社長)の頭の中や人柄に頼っていて、その人がいないと回らない状態です。中小企業庁の中小 M&A ガイドラインは、中小 M&A の対象の事業は、経営者個人の信用・人柄などの属人的な要素に大きく影響される傾向があると書いています。
磨き上げ(みがきあげ)(事業承継(じぎょうしょうけい)の)漫画の中で見る
現実の事実事業承継や M&A の前に、経営の状況や課題をはっきりさせ(見える化)、会社の価値を高めるために経営を良くしておくことです。中小企業庁の中小 M&A ガイドラインは、M&A に先立つ「見える化」「磨き上げ」を挙げています。

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この話のこと、いつもの AI に聞いてみてください。

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この話のあらすじ

金属の部品を削る町工場の社長・深町 修造(67)は、取引先の銀行が出した「会社の値段」の試算を笑い飛ばした。想定の譲渡額は約3,200万円。機械だけで1億かかった工場だった。工場は継がないと10年前に決めた娘の遥は、従業員22人を残したまま父に引退してほしい。だが父は「なら、いい。閉める」と言う。工場の土地の賃貸の更新まで8か月。遥は会社の値段の測り方(純資産・純資産に数年分の利益・EBITDA×倍率)を調べ、変えられるのは利益の方だと気づき、会社の値段の相談を受ける DXMAコンサルティング株式会社の早瀬を工場に呼ぶ。早瀬は、見積もりが全部、社長の頭の中にしかないことを「買う側から見ると、いちばん怖い」と言い、売る前に「磨き上げ」、まず見積もりを紙に出そうと持ちかける。父は1件だけ、見積もりの出し方を声に出し、遥が書き取った。その夜、いちばん古い職人の岩城が、ノートを見て「売られるなら、辞める」と上着を脱いだ。

作者

DXMAコンサルティング株式会社

M&Aアドバイザリー・事業承継コンサルティング・企業価値評価・AI・DX導入支援・PMI(買収後統合)支援をしている会社です。

この作品について

機械だけで1億円かかった父の町工場に付いた値段は、約3,200万円。継がないと決めた娘が、会社の値段の測り方、社長に頼った仕事の見える化、職人が残るかに向き合っていく、事業承継と M&A の物語です。

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