第6話ログイン
一覧

第6話「なぜ、私だけ」

朝の営業部の島。廊下から、背の高い細い眼鏡の男性が方眼のメモ帳を手に戻ってくる。席の女性2人が顔を上げる。窓の白い朝の光。

営業部・営業事務(1年目)戸田 七瀬

営業部の営業(29)江波 梓

江波 梓:きのう戸田さんの
紙で
間に合ったのに
部長室って何?

第6話「なぜ、私だけ」

男性の顔の寄り。眼鏡を指で上げ、いつもの平らな顔で少しだけ笑う。

沖 晴彦:12月1日から
制作部です

沖 晴彦:校正の島に

戸田 七瀬:えっ

七瀬の顔の寄り。切りそろえた前髪の下で目が丸くなり、手のペンが止まる。

沖 晴彦:島の依頼の紙を
制作部でも
やってくれと

江波の顔の寄り。頬杖をついたまま、にやっと笑って沖を指さす。

江波 梓:出世じゃん

沖 晴彦:2階に下りる
だけですね

寄り。七瀬の両手が、開いた方眼のメモ帳を握りしめる。ページの端が少しよれる。

戸田 七瀬:沖さんが
いなくなったら

戸田 七瀬:私だけ
また

沖が身をかがめ、島の真ん中の依頼の紙の箱に手を置いて、七瀬の目を見る。

同じ課の営業事務沖 晴彦

沖 晴彦:戸田さんの紙は
戸田さんのですよ

沖 晴彦:僕が書いたんじゃ
ないですね

江波が足元の書類の箱から自分の書類を出して、ひらひら振る。少し得意げ。

江波 梓:異動が心配なら
通知書見たら?

〈七瀬の労働条件通知書(2026年4月)〉就業の場所 雇い入れ直後:本社 営業部変更の範囲:会社の定める事業所業務 変更の範囲:会社の定める業務

労働条件(ろうどうじょうけん)の明示(就業場所(しゅうぎょうばしょ)・業務の変更の範囲)の解説

現実の事実2024年4月から、会社は働く人と契約を結ぶ時、最初の職場と仕事に加えて、異動(いどう)などで変わり得る職場と仕事の「変更の範囲」も書面などで示す決まりになりました。自分の労働条件通知書(ろうどうじょうけんつうちしょ)で確かめられます。

前から働いている人は?
2024年4月より前に結んだ契約について、新しい形で出し直す義務まではありません。契約を結ぶ時と、期間のある契約を更新する時に示す決まりです。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたあとに貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

戸田 七瀬:︙︙私も
いつかは

午後の営業部の島。課長が七瀬の席の横に立つ。島の全員が手を止めて、そっと課長を見る。

大槻 光男:戸田

江波 梓:「!」が
無い︙︙

課長の顔の寄り。額に老眼鏡をのせたまま、目をそらし、ネクタイをいじる。

大槻 光男:ちょっといいか

小さな会議室。机をはさんで、左に七瀬、右に課長。課長が机の上に、黄ばんだ紙1枚と、ホチキスで留めた新しい書類を置く。窓の午後の光。

営業部の課長大槻 光男

大槻 光男:沖の時の
ジョブコーチが
置いてった紙だ

〈大槻課長へ(4年前)〉1 呼ぶ時は、名前のあとに用件を1つ2 期限を1つ言う3 大きな声で、人の前で叱らない

寄り。課長の太い指が、黄ばんだ紙の3行目を押さえる。指の横に青いペンの古い丸。

大槻 光男:1と2は
やった

大槻 光男:3は︙︙

課長が老眼鏡をかけ、ホチキスで留めた書類をめくりながら、目だけで七瀬の方を見る。

大槻 光男:部長が管理職に
配ったパワハラの
指針だ

パワハラ(職場のパワーハラスメント)の解説

現実の事実職場で、①立場の強さを背景にした言動で、②仕事に必要で相当な範囲を超え、③働く環境が害されるもの。3つ全部に当たる物をいいます。仕事に必要で相当な範囲の指示や指導は、パワハラに当たらないと国の指針に書かれています。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたあとに貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

〈国の指針(パワハラ)から〉精神的な攻撃の例:ほかの人の前で、大声で威圧的に叱ることを繰り返す仕事に必要で相当な範囲の指導は、当たらない

精神的(せいしんてき)な攻撃(パワハラの型の一つ)の解説

現実の事実国の指針がパワハラの代表の型として挙げる一つです。人格を否定する言動や、ほかの人の前で大声で威圧的に叱る事を繰り返す、などが例です。一方で、注意しても直らない時に一定程度強く注意する事は、当たらない例とされています。

例に無い事は大丈夫?
指針の例は全部を並べた物ではなく、事案ごとに判断が変わる事がある、と書かれています。迷う時は相談の窓口に話します。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたあとに貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

課長の顔の大写し。老眼鏡を外して目頭を押さえる。怒っていない、疲れた顔。

大槻 光男:俺は叱ってた
つもりだった

大槻 光男:戸田

大槻 光男:俺は
どっちだ

七瀬の顔の寄り。膝の上で両手を握り、言葉を探して口を結ぶ。

戸田 七瀬:︙︙怖かったです

課長の顔の寄り。目を伏せ、太い眉が下がる。

戸田 七瀬:でも
怒られた時

戸田 七瀬:私だけがだめって
事しか
分からなかった

七瀬を少し下から。顔を上げ、課長をまっすぐ見る。窓の光が頬に当たる。

戸田 七瀬:叱られた時は

戸田 七瀬:次にやる事が
1つ分かりました

課長の顔の寄り。口が少し開いたまま、七瀬を見る。

大槻 光男:違いは
︙︙それか

寄り。七瀬の手が方眼のメモ帳から1ページを丁寧に切り取り、机の上をすべらせる。

戸田 七瀬:これ
私の
決めです

〈戸田の決め〉1 書く所は、メモ帳1冊2 頼まれたら、その場で期限を聞く3 済んだら、線4 課長へ:呼ぶ時は、名前のあとに用件を1つ

真上から机。黄ばんだ4年前の紙と、七瀬の方眼のページが並ぶ。課長の指が2枚の同じ所を行き来する(字は読めない)。

大槻 光男:4年前の紙と
同じ事が
書いてある

戸田 七瀬:えっ

課長の顔の寄り。鼻で笑い、口の端が上がる。

大槻 光男:ふん

寄り。課長が胸ポケットのペンで、七瀬のページのいちばん下に大きな字で1行書き足す。

〈戸田の決め(課長の字で)〉5 大槻:大きな声は、1日1回まで

戸田 七瀬:1回は
出すんですね

大槻 光男:締め切りの日はな

課長が椅子に手をついて立ち上がりながら、七瀬を見ずに戸口の方を向いて言う。口の端が少しゆるむ。背中が少し丸い。

大槻 光男:また怒鳴ったら
会社の相談窓口に
言え

会社の相談窓口(かいしゃのそうだんまどぐち)(パワハラ防止の義務)の解説

現実の事実パワハラを防ぐため、会社には相談の窓口を作るなどの対策が法律で義務になっています。大きな会社は2020年6月から、中小の会社も2022年4月から。相談した事を理由に不利に扱ってはいけない決まりもあります。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたあとに貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

大槻 光男:外なら
労働局の
相談コーナー︙︙
だったか

総合労働相談コーナーの解説

現実の事実都道府県(とどうふけん)の労働局や労働基準監督署(ろうどうきじゅんかんとくしょ)の中など、全国 378か所にある国の相談の窓口です。いじめ・嫌がらせ・パワハラ・解雇・配置転換(はいちてんかん)など、働く事の困りごと全般を、予約なし・無料で相談できます。

いつ開いている?
土日・祝日・年末年始(ねんまつねんし)は閉まっています。相談の時間はコーナーごとに違うので、先に確かめます。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたあとに貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

大槻 光男:家でも
怒鳴ってばかりだ

七瀬の顔の寄り。課長の背中を見送りながら、口を結ぶ。何かを知っている目。

病院で会った
課長の奥さんとの
約束は︑言わなかった︒

〈七瀬のメモ帳 課長の「戸田!」〉今日 0回今日の「戸田、ちょっといいか」 1回

その夜︒
課長の家︒

夜のマンションの台所の食卓。課長が玄関から帰ってきて、かばんを提げたまま、食卓に散らばった提出物の紙と付箋を見る。食卓の中学生の息子が腕に顔をうずめて背中を丸める。奥の台所で妻が皿を拭く。左上の隅に「バン」の描き文字。

課長の息子大槻 航大

大槻 光男:航大!
また
提出物︙︙

中学生の息子の顔の寄り。うつむいたまま、目だけで父を見る。くしゃくしゃの前髪。

大槻 航大:なんで
俺だけ
怒られんの

課長の顔の大写し。開いた口が止まる。額の老眼鏡。台所の白い灯り。
食卓を高い所から。課長が息子の斜め横の椅子に座って身を乗り出し、新しい方眼のメモ帳を食卓に置いて、照れたように笑う。息子は横目で父を見る。奥の台所の入口で、妻が口元を手で押さえて立つ。縦に長く、天井の灯りと床の影まで。

大槻 光男:︙︙書くか

大槻 光男:何を
いつまでか

息子の横顔の寄り。長い前髪の下から、父の手元のメモ帳を横目で見る。口の端が少しだけ上がる。

大槻 航大:は?

寄り。食卓の上の方眼のメモ帳。いちばん上の行に、課長の大きな字(読めない)。その横に、息子の手が細い字で1行書く。

課長の字は︑
やっぱり︑
いちばん大きかった︒

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・店は架空です。

お気に入りから外しますか?

なぜ、私だけ怒られるの?

この続き、いつもの AI で作れます

この作品を読んだあなたへ

この作品を評価する

ログイン

ログインして、★で評価してみてください。

ログインすると、トゥーンエルから新しい話のお知らせがメールで届きます。止めたい時はマイページから。

評価を外しますか?

評価を下げますか?

この話の感想・こうなったらいい

感想や「こういう展開が読みたい」をお送りください。編集部の励みになります。いただいた声は、お名前を出さずに、作品の紹介(レビュー)として使わせていただくことがあります。

この話で分かること

叱るのとパワハラは、何が違うの?

国の指針は、職場のパワハラを「立場の強さを背景に・仕事に必要で相当な範囲を超えた言動で・働く環境が害される物」とし、仕事に必要で相当な範囲の指示や指導は当たらないとしています。

条件・例外

例は全部を並べた物ではなく、事案ごとに判断が変わる事があります。

人の前で大声で叱られるのは?

指針は、パワハラの「精神的(せいしんてき)な攻撃」の例として、ほかの人の前で大声で威圧的に叱る事を繰り返す事を挙げています。

条件・例外

注意しても直らない時に一定程度強く注意する事は、当たらない例とされています。作中の「叱る」「怒る」の言い分けは七瀬の言葉で、法律の言葉ではありません。

パワハラかもと思ったら、どこに相談する?

会社には相談の窓口を作る義務があります(中小の会社も2022年4月から)。社外なら、労働局などにある総合労働相談(そうごうろうどうそうだん)コーナーで、予約なし・無料で相談できます。

条件・例外

総合労働相談コーナーは土日・祝日・年末年始(ねんまつねんし)は閉まっています。

異動(いどう)があるかどうかは、どこで分かる?

2024年4月から、会社は契約の時に、職場と仕事の「変更の範囲」も示す決まりになりました。自分の労働条件通知書(ろうどうじょうけんつうちしょ)で確かめられます。

条件・例外

2024年4月より前に結んだ契約を、新しい形で出し直す義務まではありません。

この話の用語

労働条件(ろうどうじょうけん)の明示(就業場所(しゅうぎょうばしょ)・業務の変更の範囲)漫画の中で見る
現実の事実2024年4月から、会社は働く人と契約を結ぶ時、最初の職場と仕事に加えて、異動(いどう)などで変わり得る職場と仕事の「変更の範囲」も書面などで示す決まりになりました。自分の労働条件通知書(ろうどうじょうけんつうちしょ)で確かめられます。
パワハラ(職場のパワーハラスメント)漫画の中で見る
現実の事実職場で、①立場の強さを背景にした言動で、②仕事に必要で相当な範囲を超え、③働く環境が害されるもの。3つ全部に当たる物をいいます。仕事に必要で相当な範囲の指示や指導は、パワハラに当たらないと国の指針に書かれています。
精神的(せいしんてき)な攻撃(パワハラの型の一つ)漫画の中で見る
現実の事実国の指針がパワハラの代表の型として挙げる一つです。人格を否定する言動や、ほかの人の前で大声で威圧的に叱る事を繰り返す、などが例です。一方で、注意しても直らない時に一定程度強く注意する事は、当たらない例とされています。
会社の相談窓口(かいしゃのそうだんまどぐち)(パワハラ防止の義務)漫画の中で見る
現実の事実パワハラを防ぐため、会社には相談の窓口を作るなどの対策が法律で義務になっています。大きな会社は2020年6月から、中小の会社も2022年4月から。相談した事を理由に不利に扱ってはいけない決まりもあります。
総合労働相談コーナー漫画の中で見る
現実の事実都道府県(とどうふけん)の労働局や労働基準監督署(ろうどうきじゅんかんとくしょ)の中など、全国 378か所にある国の相談の窓口です。いじめ・嫌がらせ・パワハラ・解雇・配置転換(はいちてんかん)など、働く事の困りごと全般を、予約なし・無料で相談できます。

出典

更新日:

続編が待てないあなたへ。違う話を考えたいあなたへ。

第6話の続き、いつもの AI で作ってみてください。

  1. 1ボタンを押すいつもの AI を選ぶ
  2. 2AI が開く設定とあらすじが入る
  3. 3一緒に考える展開・台詞・絵の指示を相談
例:AI との相談

あなた12月、制作部に移った沖が、新しい課長に頼み方を話す場面を描きたい

AI沖は1人で行かず、七瀬に「通訳、お願いできますか」と頼みます。七瀬が「戸田の決め」のページを見せて話し始め、沖が横で「書きましょうか」と言う。4年前のジョブコーチの役を、今度は七瀬がする形にできます。

送る質問あらすじを踏まえて、次の話の展開を一緒に考えて

無料の Google ログインで使ってみてください

ログインすると、トゥーンエルから新しい話のお知らせがメールで届きます。止めたい時はマイページから。

Gemini は、開いたあとに貼り付けてください。

AI の答えは、作品の公式の続きではありません。作った物を出す時は、利用ガイドを見てください。

この先のこと、自分のこと、いつもの AI に聞いてみてください。

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたあとに貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

トゥーンエルを、あなたの AI にMCP 対応無料読むだけ詳しい人向け

AI に追加して、ほかの話や用語も聞いてみてください。読むだけで、書き込みはしません。

https://tooneru.com/mcp

  1. 名前が「トゥーンエル」、URL が上の URL になっているのを見て、「続ける」を押します。
  2. 認証は「サインインなし」のまま、「追加」を押します。
  3. 「連携」か「連携させる」を押します。
  4. 読者の操作:読み取り専用のツールは「常に許可」を選べます。

トゥーンエルを運営するH株式会社の道具です。

この話のあらすじ

沖は12月1日から制作部へ移る。島の依頼の紙を制作部でもやってほしいという話だった。七瀬は「沖さんがいなくなったら、私だけ、また」と思うが、沖は「戸田さんの紙は戸田さんのです」と言う。午後、課長は「!」の無い「戸田」で七瀬を会議室に呼び、4年前に沖のジョブコーチが置いていった紙(大きな声で人の前で叱らない)と、部長が配ったパワハラの指針を見せて「俺は、どっちだ」と聞く。七瀬は「怖かったです。怒られた時は、私だけがだめって事しか分からなかった。叱られた時は、次にやる事が1つ分かりました」と答え、自分の働き方の決めのページを渡す。課長は「4年前の紙と同じ事が書いてある」と言い、「大きな声は1日1回まで」と書き足し、また怒鳴ったら会社の相談窓口(そうだんまどぐち)か労働局の相談コーナーに言え、と言う。その夜、課長は家で息子の航大を怒鳴りかけ、「なんで俺だけ怒られんの」と聞かれて、方眼のメモ帳を出してそばに座る。

作者

トゥーンエル編集部

トゥーンエルを運営する H株式会社の編集部です。ミステリーや家族の物語など、仕事の題材に限らない作品を作っています。

この作品について

同じミスが続く時に、手順を紙に書き出すような職場の工夫と、つらい時に頼れる先を、1年目の目線で拾っていけます。

トゥーンエル編集部のほかの作品

この話を紹介する

話のバナー・サムネイル・紹介文・貼れる HTML素材を見る

通知

お気に入り(♡)の作品に新しい話が出た日に、1回だけお知らせが届きます。届く時刻を選んでください。

ログインは要りません。

届く時刻

お知らせ

お知らせの一覧

ホームに追加

    ログインは要りません。