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読み切り「クリスマスに告白するなら、終電の前に」

夜の駅前広場を引きで。光を巻いた大きなツリーの下のベンチに、コートのまひるが小さな箱を膝にのせて座る。人通りは少ない。

書店の事務(27)杉本 まひる

〈駅前のツリー〉点灯 17時〜22時22時に、いっせいに消える

駅前のツリーの消灯の解説

作中の世界の決まりこの町の駅前の大きなツリーは、毎年12月、17時に灯りがつき、22時にいっせいに消えます。「消える前に思いを伝えた人は、うまくいく」と、町の人が言い伝えています(作中の話です)。

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まひるの顔の寄り。唇をかみ、目だけ上に動かして、広場の時計を見る。

杉本 まひる:あと5分︙︙

杉本 まひる:渡せる
かな

寄り。広場の時計の文字盤(数字は無い)。短い針は10の手前、長い針は11。

〈駅前の時計〉21:55

ホットの缶を2本持って、小走りで来る蒼。マフラーが後ろへなびく。息が白い。左下に「タッ」の描き文字。

隣の課の同僚(28)久我 蒼

久我 蒼:おまたせ
ホットで
よかった?

自販機(じはんき)のホットの缶の解説

現実の事実自販機のホットの缶飲料は、55℃前後に温めて売られています(冷たい方は5℃前後)。日本自動販売システム機械工業会は、日本で自販機が広まった理由の一つに、缶コーヒーと、温かい物と冷たい物を1台で売れる自販機の開発を挙げています。

出典

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ベンチの前で蒼が缶を1本差し出す。まひるは見上げて両手で受け取る。

杉本 まひる:うん
ありがとう

まひるの肩ごしに、蒼の胸から上。缶に口をつけながら、まひるの方を見る。

久我 蒼:飲み会
よく抜けられたね

杉本 まひる:久我くんこそ

寄り。まひるの膝の上の小さな箱。リボンの端を、指が何度もなぞる。

杉本 まひる:久我くん︙︙

まひるの顔の寄り。目を伏せて、言葉を選ぶように小さく口を開ける。

杉本 まひる:来月から
大阪だよね

転勤と住民票(じゅうみんひょう)(転入届(てんにゅうとどけ))の解説

現実の事実転勤で別の市区町村(しくちょうそん)に住所を移したら、移った日から14日以内に、新しい市区町村へ転入届を出します(住民基本台帳法第22条)。前の市区町村には、引っ越す前に、転出先と転出の予定の日を届け出ておきます(第24条 転出届(てんしゅつとどけ))。

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蒼が缶を持ったまま、広場の向こうの駅舎の灯りを見る。少し遠い目。

〈久我の異動〉1月6日付 大阪支店

久我 蒼:うん
年明けすぐ

年末年始(ねんまつねんし)の役所の休みの解説

現実の事実国の役所(行政機関)は、12月29日から翌年の1月3日までが休みで、この間は原則として仕事をしません(行政機関の休日に関する法律第1条)。年明けすぐに引っ越すなら、役所の手続きはこの休みを数えに入れて日を決めると慌てません。

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杉本 まひる:そっか︙︙

ベンチの2人を後ろから。2人の頭の向こうに、光を巻いたツリー全体が高くそびえる。

杉本 まひる:︙︙あのね
その前に

久我 蒼:このツリー
毎年
ここで見てたな

久我 蒼:あ
もう消えるよ

縦に高く。ツリーの灯りが上から下へ一斉に消えていく途中。上半分は暗く、下の半分にまだ光が残る。ベンチの2人は小さく、街灯の下だけが丸く明るい。右上に「フッ」の描き文字。
蒼が立ち上がって腕時計を見てから、灯りの消えたツリーを見上げる。
寄り。真っ暗になったツリーの枝の先に、最後の光が一つだけ消えずに残る。

杉本 まひる:暗いから
言えるの

街灯の淡い光の中のまひるの横顔。唇が震えながら開く。頬が赤い。

杉本 まひる:好きです

蒼の顔の寄り。缶を持つ手が止まり、目が丸くなる。

久我 蒼:えっ

寄り。まひるの両手が、小さな箱を前へ差し出す。指先が少し震えている。

杉本 まひる:これ
クリスマスの

立ったまま、箱を持つまひると缶を持つ蒼が、固まって向き合う。蒼の缶から湯気がのぼる。

杉本 まひる:返事は
いいの
言えただけで

蒼がベンチにもたれて天を仰ぎ、長く息を吐く。白い息が暗い空へ上る。

久我 蒼:︙︙ずるいな

23時40分︒駅の改札︒
箱は︑まだ
まひるの手の中︒

深夜の駅の改札前。冷たい蛍光灯の下、人はまばら。2人が少し離れて立つ。まひるの手には、まだ小さな箱。
寄り。電光の案内板(字は読めない)が終電の行を光らせている。

杉本 まひる:終電
あと2分だよ

終電の後のタクシー(深夜早朝(しんやそうちょう)割増(わりまし))の解説

現実の事実終電の後にタクシーで帰ると、運賃(うんちん)に割り増しが付きます。国土交通省の運賃制度の資料では、深夜早朝割増は原則として夜10時から朝5時までの運送に付き、割増率は2割です。終電の時刻を先に調べておくと、話す時間の残りも分かります。

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久我 蒼:送らなくて
いいよ

まひるが手を前でぎゅっと握り、無理に笑って顔を上げる。

杉本 まひる:乗って
大丈夫だから

蒼がポケットから出した、同じくらいの小さな箱を、まひるの前に見せる。

久我 蒼:俺も
言うつもり
だった

まひるが口を手で覆い、目を見開く。

杉本 まひる:えっ

杉本 まひる:わたしのと
同じ︙︙

寄り。まひるが自分の箱を、蒼の手のひらの箱の横にのせる。同じ大きさの2つ。

久我 蒼:22時の前に

久我 蒼:缶コーヒーで
5分使った

2人が笑う。蒼は頭をかき、まひるは目の端を指でぬぐう。

杉本 まひる:ばかだなあ

久我 蒼:先に
言われた

遠景。ホームに最後の電車が入ってくる。ライトがホームの端を白く照らす。

ゴォォ

まひるの肩ごしに、ホームの電車を背にした蒼。まひるの方を向いたまま、一歩も動かない。

杉本 まひる:明日
荷造りでしょ

引越しのキャンセル料(解約手数料(かいやくてすうりょう))の解説

現実の事実国土交通省の標準引越運送約款(ひょうじゅんひっこしうんそうやっかん)では、引越しの会社が取れる解約手数料は、見積書の受取日(うけとりび)の前々日の解約なら見積運賃(うんちん)等の20%以内、前日なら30%以内、当日なら50%以内です(第21条)。それより前の解約なら、解約手数料はかかりません。日をずらす(延期)時も同じ決まりです。

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久我 蒼:乗らない

久我 蒼:始発で
帰るから

まひるの顔の寄り。泣き笑い。

杉本 まひる:もう︙︙

終電の出た後、駅の外で並んで立つ2人の後ろ姿。

久我 蒼:返事
もう1回
言っていい?

杉本 まひる:︙︙うん

灯りの消えたツリーの前の広場を、並んで歩いて横切る2人の後ろ姿。街灯が二人の影を長く伸ばす。

終電は︑
行った︒

読み切り「クリスマスに告白するなら、終電の前に」

おわり

原作・脚本
釣書堂
作画
釣書堂

制作に生成 AI を使用(生成 AI の使い方)

利用ガイド

この物語はフィクションです。町・人物・ツリーの言い伝えは架空です。

お気に入りから外しますか?

クリスマスに告白するなら、終電の前に

この話の番外編、いつもの AI で作れます

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この話で分かること

クリスマスに告白するなら、何時ごろがいい?

この話では、駅前のツリーが消える22時を境に、暗がりのほうが言いやすいと感じて告白する。ただし時刻の正解は無く、相手の終電や予定を先に知っておくと、言い出す時間に余裕ができる。

物語との違い

作中の町のツリーの消灯時刻(22時)と終電(23時42分)は架空です。

遠くへ行く人に、気持ちを伝えるタイミングは?

異動(いどう)や引っ越しの日が決まっている相手には、その日の前の「会える最後の機会」を先に数えておくと選びやすい。この話の久我は1月6日付の異動で、会える最後の特別な夜がクリスマスだった。

物語との違い

人物・日付は架空です。

告白の後、相手に時間を取りたい時はどうする?

返事を急がせず、移動の時刻(終電など)が近いなら、時刻を先に伝えて「いまここで返事」か「後で」かを相手に選んでもらうと、気持ちの行き違いが減る。

物語との違い

作中の描写の読み取りです。

この話の用語

駅前のツリーの消灯漫画の中で見る
作中の世界の決まりこの町の駅前の大きなツリーは、毎年12月、17時に灯りがつき、22時にいっせいに消えます。「消える前に思いを伝えた人は、うまくいく」と、町の人が言い伝えています(作中の話です)。
自販機(じはんき)のホットの缶漫画の中で見る
現実の事実自販機のホットの缶飲料は、55℃前後に温めて売られています(冷たい方は5℃前後)。日本自動販売システム機械工業会は、日本で自販機が広まった理由の一つに、缶コーヒーと、温かい物と冷たい物を1台で売れる自販機の開発を挙げています。
転勤と住民票(じゅうみんひょう)(転入届(てんにゅうとどけ))漫画の中で見る
現実の事実転勤で別の市区町村(しくちょうそん)に住所を移したら、移った日から14日以内に、新しい市区町村へ転入届を出します(住民基本台帳法第22条)。前の市区町村には、引っ越す前に、転出先と転出の予定の日を届け出ておきます(第24条 転出届(てんしゅつとどけ))。
年末年始(ねんまつねんし)の役所の休み漫画の中で見る
現実の事実国の役所(行政機関)は、12月29日から翌年の1月3日までが休みで、この間は原則として仕事をしません(行政機関の休日に関する法律第1条)。年明けすぐに引っ越すなら、役所の手続きはこの休みを数えに入れて日を決めると慌てません。
終電の後のタクシー(深夜早朝(しんやそうちょう)割増(わりまし))漫画の中で見る
現実の事実終電の後にタクシーで帰ると、運賃(うんちん)に割り増しが付きます。国土交通省の運賃制度の資料では、深夜早朝割増は原則として夜10時から朝5時までの運送に付き、割増率は2割です。終電の時刻を先に調べておくと、話す時間の残りも分かります。
引越しのキャンセル料(解約手数料(かいやくてすうりょう))漫画の中で見る
現実の事実国土交通省の標準引越運送約款(ひょうじゅんひっこしうんそうやっかん)では、引越しの会社が取れる解約手数料は、見積書の受取日(うけとりび)の前々日の解約なら見積運賃(うんちん)等の20%以内、前日なら30%以内、当日なら50%以内です(第21条)。それより前の解約なら、解約手数料はかかりません。日をずらす(延期)時も同じ決まりです。

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あなたまひるが来年のクリスマスに、大阪の蒼に会いに行く場面を考えたい

AI来年の12月24日、新幹線のホームで蒼が待つ場面。まひるは小さな箱を持たず、手ぶらで降りて、先に笑います。「今年は缶コーヒー、私が買うね」。

あなたその時、蒼が言いそうな一言を

AI蒼「ホット2本で、5分でいい?」。絵:自販機の前で缶を2本持って笑う蒼。

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この話のあらすじ

クリスマスイブの21時55分、駅前の大きなツリーの下のベンチで、杉本 まひるは小さな箱を膝にのせて、隣の課の同僚・久我 蒼を待つ。ツリーは22時にいっせいに消える。蒼は1月6日付で大阪支店へ異動(いどう)する。ツリーの灯りが消えた暗がりで、まひるは「好きです」と言って箱を差し出す。蒼は長く息をはいて「ずるいな」と言う。23時40分の駅の改札で、蒼がポケットから同じ大きさの箱を出す。22時の前に言うつもりだったが、缶コーヒーで5分使って間に合わなかった。終電が入ってくるが、蒼は乗らず、始発で帰ると言う。二人は終電の見送りを並んで見て、蒼が返事をもう一度言い直す。

作者

釣書堂

結婚相談所の面談の部屋とお見合いの席を、仲人の目から描いています。

この作品について

クリスマスに告白するなら、いつ、どこで言うか。ツリーの消える22時と、終電の23時42分の間の90分で、言えなかった気持ちが行き来する冬の恋の読み切りです。

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