第1話「あと30秒」

今年の
先頭が
ハッ ハッ

赤い襷が届いたのは︑
30秒後だった︒
11月︒

朝霧大学 陸上競技部 主将
篠田 透吾:あと30秒
あの日
俺が
届かなかった
30秒
宗像 誠一:おい透吾!
最初から
飛ばし
すぎだぞ

篠田 透吾:︙︙はい
部室︒
陸上競技部 マネージャー

浅井 ちさと:よし︙︙
この30秒
1年かけて
調べて
きました
篠田 透吾:1年も
かけたのか
浅井 ちさと:はい
1キロずつ
全部

浅井 ちさと:いやです
本番まで
しまいません


御影 迅:ちわっす
今日から
入部します
御影 迅:1月の映像
見ましたよ

御影 迅:この30秒
俺が
縮めます
篠田 透吾:︙︙お前に
何が
分かる!
同じ朝。
1,000メートルの
試しの走り。
夕方︒土手︒
御影 迅:ねえ先輩
なんで
走るん
ですか

篠田 透吾:︙︙あの30秒を
取り返す
ためだ
御影 迅:取り返すって
先輩
一人で
っすか
篠田 透吾:俺が
落とした
30秒だ
その夜︒


前回の大会の︑
名簿︒
帝都学院大学の
欄に︑
その名前があった︒
御影 迅︒
前回︑優勝した大学の
1年︒
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