第5話ログイン
一覧

第5話「夕焼けは、晴れ」

雨の朝。納屋の板戸に、小刀で一枚の書き付けが刺し留められている。雨粒が紙ににじむ寄り。

雨の、納屋の戸口。

〈板戸に刺さった書き付け〉晴れた日に、竜をもらい受けに参る榊 兵庫

少年の顔の寄り。雨の中、板戸の書き付けを横目で見て、顔がこわばる。

弥七:榊︙︙
きのうの
薬売りだ

茂助が書き付けを握りつぶし、板戸から抜いた小刀を下げる。後ろで少年とりんが茂助を見上げる。

織田方の足軽頭・茂助に仕える小者弥七

茂助の娘りん

織田方の足軽頭茂助

茂助:ええか
晴れの日なんぞ
誰にも
分からん

りん:ねえ
晴れたら
竜は
飛べんの?

弥七:晴れが続くと
弱る

雨の庭の大きな水たまりで、竜が子犬のように転げ回り、泥水が高くはね上がる。頭から泥水をかぶって立ち尽くす茂助。横でりんが腹を抱えて笑う。

バシャ

茂助:ちっ
またか

りん:おっ父
竜に好かれ
とる

弥七:いつ晴れるか
分かれば
隠せる

その日の夕方︒
雨のやんだ︑川の土手︒

雨がやんだ夕方の川の土手。西の空の雲が切れ、赤く焼けている。かごを背負った少年が、土手に立って空を見る後ろ姿。

弥七:前の人生の
授業の
余談だ

前世の記憶。塾の白い板に太陽と雲の絵を描いて笑う講師。前の席の生徒が笑い、後ろの席の生徒は眠っている。

〈前世の板書〉余談:観天望気夕焼けは、晴れ朝焼けは、雨ツバメが低く飛ぶと、雨

観天望気(かんてんぼうき)の解説

現実の事実空のようすや雲・風の動き、生き物のふるまいを見て、測る道具を使わずに天気を予想することです。昔から各地に言い伝えがあり、狭い地域の天気を読むのに使われてきました。天気予報を見られない山や海で、今も役立ちます。

よく知られた言い伝えは?
「夕焼けは晴れ」「朝焼けは雨」「太陽や月に暈(かさ)がかかると雨」「ツバメが低く飛ぶと雨」などです。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたら貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

空を見て︑
明日の天気を
読む︒

弥七:はい
ここは
試験に
出ません

赤く焼けた夕空の下の清洲の城下と田。高い空を、ツバメが何羽も滑るように飛ぶ。

弥七:お頭!

土手で、少年が西の空を指さす。後ろから茂助が歩いてくる。

弥七:明日は
晴れます

茂助:はあ?
夕焼けなんぞ
毎日
見とる

夕焼けの川べりを背に、足軽頭が疑う目で少年を見る。

弥七:夕焼けの
次の日は
晴れ

夕焼けは晴れの解説

現実の事実夕焼けの次の日は晴れる、という観天望気(かんてんぼうき)の言い伝えです。辞典にも、観天望気の例として「夕焼けの翌日は晴れる」が挙げられています。反対に、朝焼けは雨になるといわれます。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたら貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

弥七:ツバメが
低く飛ぶと
雨

ツバメが低く飛ぶと雨の解説

現実の事実空模様や生き物のふるまいで天気を読む言い伝えの一つです。辞典には「ハチが低く飛ぶと雷雨、ツバメが低く飛ぶと雨」と並んで載っています。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたら貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

弥七:今日のは
高い

足軽頭の横顔。腕を組み、目を細めて夕焼けの空を見上げる。

茂助:︙︙百姓の
言い伝えか

夕日に照らされた茂助の横顔の寄り。手をかざし、目を細めて空を見上げる。
夕焼けの空の下、少年の顔の寄り。口を結び、横目で茂助の方を見る。

茂助:ええか
外れたら

茂助:竜ごと
お前を
放り出すぞ

弥七:はい

その夜︒

星の出た夜。川の土手の道を、竜の首の縄を引く少年と、灯りを持つ茂助とりんが進む。行く先に水車小屋の黒い影。高い所から。

弥七:竜は今夜
川の水車小屋へ
移します

茂助:納屋が空じゃ
すぐばれるぞ

少女の胸から上。灯りの下、あごに手を当てて、いたずらを思いついた顔でにっと笑う。

りん:竜の
身代わり

納屋の灯りの下。りんが筆をくわえ、藁と蓑で作った竜の頭を得意げに掲げる。墨で描いたとぼけた顔。

弥七:うーん︙︙
似てない

晴れた朝。日差しに光る清洲の屋根の連なりと、舟の行き交う堀。

5月25日︒
晴れ︒

納屋に踏み込んだ榊と三人の男。榊の足もとに、とぼけた顔の藁の竜が一つ。

バンッ

榊:これは
これは

榊を下から。笑みのまま、雲一つない空を見上げる。

薬売りの男榊 兵庫

榊:晴れを
読まれたか

水車小屋の中。手前で水車が回り、その陰で竜が丸くなる。そばの少年が、板戸の隙間から外をのぞく。

〈史実との一致〉62%→ 63%

弥七:晴れた

弥七:空だけは
竜にも
変えられない

茂助:榊め
藁の竜を見て
笑うて
帰りよった

水車小屋の戸口で、息を切らした茂助が、顔をくしゃくしゃにして笑う。逆光。少し下から。

茂助:︙︙弥七

弥七:えっ

茂助:名前で
呼んだら
悪いか

少年の胸から上。名前で呼ばれて、目を丸くしたまま固まる。

茂助:足軽頭の
小者なら
名くらい
覚えとかんと

足軽頭(あしがるがしら)(足軽大将(あしがるたいしょう))の解説

現実の事実足軽の組を率いる者です。戦国時代の大名は、弓・槍・鉄砲など武器ごとに足軽の組をつくり、足軽大将に率いさせました。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたら貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

茂助:そのうち
中間にでも
上げて
やらあ

中間(ちゅうげん)の解説

現実の事実武家に仕えた奉公人で、小者より上、足軽より下に置かれました。主人の供や雑用をし、小者と同じく、ふだんは百姓や町人の身分でした。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたら貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

弥七:へへ

水たまりの道を、馬のひづめが泥をはねて近づく。
背に母衣を負った若い侍(信長の使番)が、馬で水車小屋の前に乗りつける。馬の口から白い息。

信長の命を伝える若い侍使番

使番:茂助殿!

使番を馬上の低い所から。胸を張って、殿の命を告げる。

使番:殿の命に
ござる

使番:竜の小者も
連れて参れ
と

足軽頭の胸から上。使番の話を聞きながら、横目で少年の方を見る。

茂助:明日の朝
鳴海の城へ
使いが出る

茂助:弥七
お前も
来い

晴れた空の下、東の方を見つめる少年の顔の寄り。風に前髪が揺れ、目を細めて唇を引き結ぶ。

弥七:鳴海の城

弥七:本来なら
あの城は
――

明日の朝︑
鳴海へ︒

第5話「夕焼けは、晴れ」

つづく

この物語はフィクションです。織田信長・今川義元などは史実の人物ですが、竜と、竜が起こした出来事、弥七たちは作り事です。

お気に入りから外しますか?

桶狭間に、竜が落ちた

この続き、いつもの AI で作れます

この作品を読んだあなたへ

この作品を評価する

ログイン

ログインして、★で評価してみてください。

ログインすると、トゥーンエルから新しい話のお知らせがメールで届きます。止めたい時はマイページから。

評価を外しますか?

評価を下げますか?

この話の感想・こうなったらいい

感想や「こういう展開が読みたい」をお送りください。編集部の励みになります。いただいた声は、お名前を出さずに、作品の紹介(レビュー)として使わせていただくことがあります。

この話で分かること

観天望気(かんてんぼうき)とは?

空のようすや雲・風の動き、生き物のふるまいを見て、測る道具を使わずに天気を予想することです。昔から各地に言い伝えがあり、狭い地域の天気を読むのに使われてきました。

夕焼けの次の日は晴れる?

観天望気(かんてんぼうき)の言い伝えで「夕焼けは晴れ」「朝焼けは雨」と言われ、辞典にも例として載っています。言い伝えなので、いつも当たるわけではありません。

条件・例外

外での予定を決める時は、気象庁の天気予報と合わせて見ます。

足軽(あしがる)・中間(ちゅうげん)・小者(こもの)はどう違う?

足軽は戦で槍や鉄砲を持って戦う兵で、武士のいちばん下の身分です。中間・小者は主人の供や雑用をする奉公人で、足軽より下、小者は中間よりさらに下に置かれました。

この話の用語

観天望気(かんてんぼうき)漫画の中で見る
現実の事実空のようすや雲・風の動き、生き物のふるまいを見て、測る道具を使わずに天気を予想することです。昔から各地に言い伝えがあり、狭い地域の天気を読むのに使われてきました。天気予報を見られない山や海で、今も役立ちます。
夕焼けは晴れ漫画の中で見る
現実の事実夕焼けの次の日は晴れる、という観天望気(かんてんぼうき)の言い伝えです。辞典にも、観天望気の例として「夕焼けの翌日は晴れる」が挙げられています。反対に、朝焼けは雨になるといわれます。
ツバメが低く飛ぶと雨漫画の中で見る
現実の事実空模様や生き物のふるまいで天気を読む言い伝えの一つです。辞典には「ハチが低く飛ぶと雷雨、ツバメが低く飛ぶと雨」と並んで載っています。
足軽頭(あしがるがしら)(足軽大将(あしがるたいしょう))漫画の中で見る
現実の事実足軽の組を率いる者です。戦国時代の大名は、弓・槍・鉄砲など武器ごとに足軽の組をつくり、足軽大将に率いさせました。
中間(ちゅうげん)漫画の中で見る
現実の事実武家に仕えた奉公人で、小者より上、足軽より下に置かれました。主人の供や雑用をし、小者と同じく、ふだんは百姓や町人の身分でした。

出典

更新日:

続編が待てないあなたへ。違う話を考えたいあなたへ。

第5話の続き、いつもの AI で作ってみてください。

  1. 1ボタンを押すいつもの AI を選んで
  2. 2AI が開く作品の設定とあらすじつきで
  3. 3一緒に考える展開・台詞・絵の指示まで
例:AI との相談

あなた鳴海の城へ向かう前の夜の弥七を考えたい

AI本来の歴史では鳴海城は明け渡されると知る弥七が、今回もそうなると信じたい気持ちと、もう外れるかもしれない不安の間で眠れない筋が自然です。

あなた茂助が夜に弥七へ声をかける台詞を

AI茂助「ええか、明日は口を出すな。……出すなら、当たる事だけにせえ」。絵:水車の音の中、背中合わせに座る二人。

送る質問あらすじを踏まえて、次の話の展開を一緒に考えて

無料の Google ログインで使ってみてください

ログインすると、トゥーンエルから新しい話のお知らせがメールで届きます。止めたい時はマイページから。

Gemini は、開いたら貼り付けてください。

AI の答えは、作品の公式の続きではありません。作った物を出す時は、利用ガイドを見てください。

この先のこと、自分のこと、いつもの AI に聞いてみてください。

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたら貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

トゥーンエルを、あなたの AI にMCP 対応無料読むだけ詳しい人向け

AI に追加して、ほかの話や用語も聞いてみてください。読むだけで、書き込みはしません。

https://tooneru.com/mcp

  1. 名前が「トゥーンエル」、URL が上の URL になっているのを見て、「続ける」を押します。
  2. 認証は「サインインなし」のまま、「追加」を押します。
  3. 「連携」か「連携させる」を押します。
  4. 読者の操作:読み取り専用のツールは「常に許可」を選べます。

トゥーンエルを運営するH株式会社の道具です。

この話のあらすじ

5月24日の朝、納屋の板戸に榊の書き付けが刺さっていた。晴れた日に、竜をもらい受けに参る。茂助は、晴れの日など誰にも分からないと言う。その日の夕方、雨がやんで西の空が赤く焼けた。弥七は前世の授業の余談、空を見て天気を読む観天望気(かんてんぼうき)を思い出す。夕焼けの次の日は晴れ。ツバメは高く飛んでいる。弥七の読みを信じた茂助は、その夜、竜を川の水車小屋へ移し、りんは藁で竜の身代わりを作る。翌朝は晴れ。納屋に踏み込んだ榊が見つけたのは、藁の竜だった。茂助は初めて弥七を名で呼ぶ。そこへ信長の使い番が来る。明日の朝、鳴海の城へ使いが出る。

作者

トゥーンエル編集部

トゥーンエルを運営する H株式会社の編集部です。ミステリーや家族の物語など、仕事の題材に限らない作品を作っています。

この作品について

雨の桶狭間に竜が落ち、知っているはずの歴史が一つずつ外れていく。その外れ方から、本当の戦国の年と場所と人の動きが見えてきます。

トゥーンエル編集部のほかの作品

この話を紹介する

話のバナー・サムネイル・紹介文・貼れる HTML素材を見る

通知

お気に入り(♡)の作品に新しい話が出た日に、1回だけお知らせが届きます。届く時刻を選んでください。

ログインは要りません。

届く時刻

お知らせ

お知らせの一覧

ホームに追加

    ログインは要りません。