第3話「手帳が無い時は」

伯母の
時計の
穂波の
栗栖 照代:無い
栗栖 照代:引っ越し
4回したもの
葛城 穂波:お母さん
箱︑全部
見たよね
栗栖 照代:嫁に行く時は
たしかに
持って出たのよ
葛城 穂波:じゃあ
引っ越しの
どこかで︙︙
栗栖 照代:︙︙ごめんね
母の手帳は︑
どこにも無かった︒
手帳が無ければ︑
次は台帳︒
その足で︑
霧野市役所へ︒

葛城 穂波:昭和34年生まれの
母の
予防接種台帳
なんですけど
葛城 穂波:無い︙︙?
〈市役所の
葛城 穂波:せめて
写しとか︙︙
市役所の職員:本当に
すみません
台帳も︑無かった︒

葛城 穂波:残るは︙︙
手帳も
夕方︑母の台所で︑
3つの紙の話をした︒

栗栖 照代:痕なら
あるよ
栗栖 照代:ここ
栗栖 照代:ずっと
さわってた
葛城 穂波:あ︙︙
母が腕をさするのは︑
寒いからだと
思っていた︒

栗栖 照代:講堂の
列でね

昭和41年︒
小学1年生の照代︒
栗栖 照代(回想の声):前の子も
後ろの子も
同じ机の
前に立った

栗栖 照代(回想の声):姉さんが
背中を
押してくれて
葛城 穂波:伯母さんは
おばあちゃんが
押してたって
栗栖 照代:そうかい

栗栖 照代:︙︙2人で
押してくれて
たのかねえ

市立病院の
蔵本 遼介:うん
蔵本 遼介:これは
種痘の痕
ですね
栗栖 照代:60年も前の
痕でも?
蔵本 遼介:ええ
この痕は
消えないんですよ
葛城 穂波:よかった︙︙

ふう……


栗栖 照代:字
下手だねえ
葛城 穂波:読めるよ

葛城 穂波:伯母さんの
話も
書いとこう
母の「満7歳まで」は︑
3枚の紙で示せる
見込みになった︒
1週間後︒
意見書を受け取りに︑
もう一度診察室へ︒

蔵本 遼介:それと
照代さん
栗栖 照代:40年︙︙
受けてない

蔵本 遼介:今日
血液を
調べましょう
蔵本 遼介:お母さんの
体のために

給付金の証拠を
探しに来て︑
母の体の事を
何も知らないと
気づいた︒
栗栖 照代:︙︙怖いねえ
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