第4話ログイン
一覧

第4話「自分のせいでも」

工場の裏の自動販売機の前。缶コーヒーを2本持って話しかける新井(左)と、自販機の横の壁にもたれ、添え木の右手ごと腕を組む修(右)。白い曇り空。

古市製作所の若手(20)新井 航平

新井 航平:さっきの
カバーの
事っすけど

多賀 修:︙︙ああ

多賀 修:外したのは
俺だ

新井 航平:なんで
っすか

多賀 修:1分に
何個
流せるか
だで

新井 航平:俺
誰にも
言いません
から

修の顔の寄り。左手で受け取った缶を握ったまま、目を細めて新井を見る。口の端だけ少し上がる。

多賀 修:言わんで
ええ

多賀 修:俺が言う

砥川労働基準監督署︒

曇り空の下の役所の建物を見上げる。入口の前で立ち止まる修(右)と、その腕を軽く押す由紀(左)。建物の看板の字は読めない。

パート(43)多賀 由紀

金属加工の職人(45)多賀 修

多賀 由紀:パート
午後だけ
休んで
きた

多賀 由紀:ほら
行くよ

役所の窓口を少し上から。仕切りのあるカウンターの奥に、灰色のカーディガンにネクタイ、黒い腕カバーの痩せた男性職員(左)。書類を手にこちらを見る。手前に並んで座る由紀と修(右)。白い蛍光灯。紙の字は読めない。

労働基準監督署・労災の窓口(54)沼尻 敏行

沼尻 敏行:順番に
いきましょう

沼尻 敏行:けがを
したのは
いつ
どこで

多賀 修:先週の
木曜
工場の
プレスで

修の横顔の寄り。うつむいて、添え木の右手の端を左手で押さえる。隣の由紀の肩がぼけて手前に入る。

多賀 修:けど
自分の
せい
なんです

多賀 修:安全の
カバーを
外したのは
俺で

多賀 修:そんなんで
労災
なんて

沼尻 敏行:わざと
けがを
しました?

多賀 修:まさか!

沼尻の顔の寄りを少し横から。細い眼鏡の奥の目が、ほんの少しやわらぐ。手元で書類の角をそろえる。

沼尻 敏行:でしたら

沼尻 敏行:働く人に
不注意が
あっても
わざとで
なければ

沼尻 敏行:労災の
対象に
なりますよ

多賀 修:え︙︙

故意と重大な過失(かしつ)(労災の制限)の解説

現実の事実労災保険(ろうさいほけん)は、働く人に不注意があっても、仕事が原因のけがなら給付します。わざと(故意に)けがをした時は給付されず、故意の犯罪や重大な過失、正当な理由なく治療の指示に従わない時は、給付の全部か一部をしない事があります(労働者災害補償保険(ろうどうしゃさいがいほしょうほけん)法 第12条の2の2。2026年10月時点)。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたら貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

沼尻 敏行:それに
プレスに
囲いを
付けるのは

沼尻 敏行:会社の
決まり
なんです

プレスの安全囲いと安全装置(あんぜんそうち)の解説

現実の事実プレス機械を使う作業では、手など体の一部が危ない範囲に入らないよう、会社が安全囲いを付けるなどの手を打つ決まりです。囲いが難しい作業では、両手で操作しないと動かない物や、手を感じると止まる物などの安全装置を付けます(労働安全衛生規則 第131条。2026年10月時点)。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたら貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

多賀 修:それじゃ
社長が︙︙

由紀が身を乗り出してカウンターに両手を置く。修(右)が驚いて横を見る。沼尻(左)は手を止める。

バンッ

多賀 由紀:あの
社長さんが
保険料が
上がるって

沼尻 敏行:順番に︙︙
保険料?

沼尻 敏行:会社は
何人
ですか

多賀 由紀:8人です

沼尻 敏行:でしたら

沼尻 敏行:メリット制は
当たりませんね

〈メリット制:労災が多いと保険料が上がり、少ないと下がる仕組み〉対象は、続けて3年度、次のどれかの会社・働く人が100人以上・20人以上100人未満で、一定の数以上・建設・林業で、一定の規模以上

メリット制(めりっとせい)(労災保険料(ろうさいほけんりょう)の増減)の解説

現実の事実労災の給付が多い会社は保険料(ほけんりょう)の率が上がり、少ない会社は下がる仕組みです。対象は、続けて3つの年度、労働者100人以上か、20人以上100人未満で一定の数以上(0.4以上)の会社と、建設・林業で確定保険料が40万円以上の事業などです。上げ下げの幅は最大40%です(労働保険徴収法 第12条第3項・同施行規則 第17条。2026年10月時点)。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたら貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

カウンターの上の寄りを斜め上から。沼尻の指が、印刷した説明の紙の表の行を1つずつ押さえる。由紀と修の手が紙の端に乗る。紙の字は読めない。
由紀の顔の寄り。口を開けたまま目を見開く。

多賀 由紀:えっ
当たら
ない︙︙

同じ時、修の顔の寄り。眉が上がり、肩の力が抜ける。

多賀 修:はあ︙︙
社長
それを
心配しとった
のに

沼尻 敏行:もう1つ

沼尻 敏行:労災保険から
出たぶん
会社は
補償の責任を
免れるんです

労働基準法(ろうどうきじゅんほう)の災害補償(さいがいほしょう)の解説

現実の事実仕事のけがの治療費(ちりょうひ)や休んだ間の補償(ほしょう)は、もともと労働基準法で会社が払う物と決まっています。労災保険(ろうさいほけん)から同じ給付が出た時は、会社はその分の補償の責任を免れます(労働基準法 第75条・第76条・第84条)。労災保険は、働く人を守ると同時に、会社が自分で払いきれない補償を肩代わりする保険でもあります。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたら貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

沼尻 敏行:会社を
守る
保険でも
あるんですよ

多賀 由紀:あの︙︙
ついでに

多賀 由紀:社長さん
本人が
けがしたら?

沼尻 敏行:社長さんは
原則
入れません

沼尻 敏行:「特別加入」
という
道はあります

特別加入(とくべつかにゅう)(社長・一人親方(ひとりおやかた)の労災)の解説

現実の事実労災保険(ろうさいほけん)は雇われて働く人のための保険で、社長などの事業主(じぎょうぬし)・会社の役員・一人親方は原則として入れません。小さな会社の社長や一人親方などが、決まった手続きで労災保険に入れるようにした仕組みが特別加入です。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたら貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

多賀 修:そこ
聞く?

多賀 由紀:聞くでしょ

窓口を横から。カウンターの沼尻(左)が紙を差し出し、修(右)が左手で受け取って目を落とす。由紀が修の肩に手を添えて笑う。

沼尻 敏行:さっきの表と
請求書の
書き方です

沼尻 敏行:会社と
一緒に
出すのが
いちばん
早いです

沼尻 敏行:書いて
もらえなければ
それでも
受け付けます

多賀 修:今夜
社長の家に
行きます

役所の出口の自動扉の前。夕方前の白っぽい曇り空の下、2枚の紙を胸に当てて歩き出す修(右)と、横に並ぶ由紀(左)。風に由紀の髪が揺れる。

その夜︒
社長の家へ向かう道︒

夜の住宅地。街灯の白い光の下を歩く由紀(左)と修(右)。由紀が目を細めて笑いながら指を2本立て、修があきれた顔で振り向く。

多賀 由紀:沼尻さん
「順番に」って
2回
言ってた

多賀 修:数えとった
んか

多賀 由紀:私
外で待ってるね

多賀 修:︙︙おう

社長の顔の寄り。家の居間で湯のみを両手で持ち、うつむいたまま動かない。白い蛍光灯の輪。
修の目の寄り。戸口の暗がりから、まっすぐ前を見る。
社長の家の居間の引き。低いちゃぶ台の前に一人で座り、湯のみを持ってうつむく社長(左)。居間の戸口に立つ修(右)。奥の戸口に、手を組んで立つ文江。天井の丸い灯り、窓の外は暗い。

古市製作所の社長(66)古市 昭三

古市 昭三:︙︙入れ

第4話「自分のせいでも」

つづく

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・店は架空です。

お気に入りから外しますか?

仕事のケガ。その後の暮らしは誰が守る?

この続き、いつもの AI で作れます

この作品を読んだあなたへ

この作品を評価する

ログイン

ログインして、★で評価してみてください。

ログインすると、トゥーンエルから新しい話のお知らせがメールで届きます。止めたい時はマイページから。

評価を外しますか?

評価を下げますか?

この話の感想・こうなったらいい

感想や「こういう展開が読みたい」をお送りください。編集部の励みになります。いただいた声は、お名前を出さずに、作品の紹介(レビュー)として使わせていただくことがあります。

この話で分かること

自分の不注意でけがをしても、労災になる?

なります。労災保険(ろうさいほけん)は、働く人に不注意があっても仕事が原因のけがなら給付します。わざとけがをした時は給付されず、重大な過失(かしつ)などの時は給付の全部か一部をしない事があります(労働者災害補償保険(ろうどうしゃさいがいほしょうほけん)法 第12条の2の2。2026年10月時点)。

条件・例外

労災になるかどうかは、請求を受けた労働基準監督署(ろうどうきじゅんかんとくしょ)が調べて決めます。

物語との違い

作中の監督署・会社・人物は創作です。

労災を使うと、会社の保険料(ほけんりょう)は上がる?(メリット制(めりっとせい))

上がるのはメリット制の対象の会社だけです。対象は、続けて3つの年度、労働者100人以上か、20人以上100人未満で一定の数以上の会社と、建設・林業で一定の規模以上の事業などです。上げ下げの幅は最大40%です(2026年10月時点)。

条件・例外

会社の規模・業種・過去の労災の額で決まります。会社ごとの率は、会社の労働保険の書類や労働局で確かめます。

労働基準監督署(ろうどうきじゅんかんとくしょ)では、労災の何を相談できる?

労災になるか・どの給付を受けられるか・請求書(せいきゅうしょ)の書き方・会社が証明してくれない時の出し方などを相談でき、請求書もここに出します。

プレスの安全囲いは、誰が付ける決まり?

会社(事業者)です。プレス機械を使う作業で手などが危ない範囲に入らないよう、安全囲いを付けるか、それが難しい時は安全装置(あんぜんそうち)を付ける決まりです(労働安全衛生規則 第131条。2026年10月時点)。

この話の用語

故意と重大な過失(かしつ)(労災の制限)漫画の中で見る
現実の事実労災保険(ろうさいほけん)は、働く人に不注意があっても、仕事が原因のけがなら給付します。わざと(故意に)けがをした時は給付されず、故意の犯罪や重大な過失、正当な理由なく治療の指示に従わない時は、給付の全部か一部をしない事があります(労働者災害補償保険(ろうどうしゃさいがいほしょうほけん)法 第12条の2の2。2026年10月時点)。
プレスの安全囲いと安全装置(あんぜんそうち)漫画の中で見る
現実の事実プレス機械を使う作業では、手など体の一部が危ない範囲に入らないよう、会社が安全囲いを付けるなどの手を打つ決まりです。囲いが難しい作業では、両手で操作しないと動かない物や、手を感じると止まる物などの安全装置を付けます(労働安全衛生規則 第131条。2026年10月時点)。
メリット制(めりっとせい)(労災保険料(ろうさいほけんりょう)の増減)漫画の中で見る
現実の事実労災の給付が多い会社は保険料(ほけんりょう)の率が上がり、少ない会社は下がる仕組みです。対象は、続けて3つの年度、労働者100人以上か、20人以上100人未満で一定の数以上(0.4以上)の会社と、建設・林業で確定保険料が40万円以上の事業などです。上げ下げの幅は最大40%です(労働保険徴収法 第12条第3項・同施行規則 第17条。2026年10月時点)。
労働基準法(ろうどうきじゅんほう)の災害補償(さいがいほしょう)漫画の中で見る
現実の事実仕事のけがの治療費(ちりょうひ)や休んだ間の補償(ほしょう)は、もともと労働基準法で会社が払う物と決まっています。労災保険(ろうさいほけん)から同じ給付が出た時は、会社はその分の補償の責任を免れます(労働基準法 第75条・第76条・第84条)。労災保険は、働く人を守ると同時に、会社が自分で払いきれない補償を肩代わりする保険でもあります。
特別加入(とくべつかにゅう)(社長・一人親方(ひとりおやかた)の労災)漫画の中で見る
現実の事実労災保険(ろうさいほけん)は雇われて働く人のための保険で、社長などの事業主(じぎょうぬし)・会社の役員・一人親方は原則として入れません。小さな会社の社長や一人親方などが、決まった手続きで労災保険に入れるようにした仕組みが特別加入です。

出典

更新日:

続編が待てないあなたへ。違う話を考えたいあなたへ。

第4話の続き、いつもの AI で作ってみてください。

  1. 1ボタンを押すいつもの AI を選んで
  2. 2AI が開く作品の設定とあらすじつきで
  3. 3一緒に考える展開・台詞・絵の指示まで
例:AI との相談

あなた自販機の前で「俺が言う」と言われた新井が、機械の前に戻ってから何を思っているかを描きたい

AI新井は、黙っていると約束したのに断られて、少しほっとしている自分に気づきます。飲みかけの缶を機械の横に置き、隣のプレスの囲いの無い所をしばらく見ている、という小さな場面にできます。

あなたその時の新井の心の声を

AI新井(心の声)「……多賀さん、俺が言えんかった事まで言いに行くんだ」。

送る質問あらすじを踏まえて、次の話の展開を一緒に考えて

無料の Google ログインで使ってみてください

ログインすると、トゥーンエルから新しい話のお知らせがメールで届きます。止めたい時はマイページから。

Gemini は、開いたら貼り付けてください。

AI の答えは、作品の公式の続きではありません。作った物を出す時は、利用ガイドを見てください。

この先のこと、自分のこと、いつもの AI に聞いてみてください。

この話の内容ごと、AI へGemini は、開いたら貼り付けてください。

AI に渡すまとめをコピー

AI に貼って、この話のことを相談してみてください。

トゥーンエルを、あなたの AI にMCP 対応無料読むだけ詳しい人向け

AI に追加して、ほかの話や用語も聞いてみてください。読むだけで、書き込みはしません。

https://tooneru.com/mcp

  1. 名前が「トゥーンエル」、URL が上の URL になっているのを見て、「続ける」を押します。
  2. 認証は「サインインなし」のまま、「追加」を押します。
  3. 「連携」か「連携させる」を押します。
  4. 読者の操作:読み取り専用のツールは「常に許可」を選べます。

トゥーンエルを運営するH株式会社の道具です。

この話のあらすじ

工場の裏で、修は新井に「カバーを外したのは俺だ」と言い、「言わんでええ。俺が言う」と返す。午後、修と由紀は労働基準監督署(ろうどうきじゅんかんとくしょ)の労災の窓口へ。職員の沼尻は「順番に、いきましょう」。「自分のせいなのに労災なんて」と言う修に、沼尻は「わざとでなければ、不注意があっても労災の対象です」「プレスに囲いを付けるのは会社の決まりです」と答える。由紀が「社長さんが保険料(ほけんりょう)が上がるって」と聞くと、沼尻は会社の人数をたずね、「8人ならメリット制は当たりません」。さらに、労災保険(ろうさいほけん)から出た分は会社が労働基準法(ろうどうきじゅんほう)の補償(ほしょう)の責任を免れる、会社を守る保険でもあると話す。社長本人のけがは特別加入(とくべつかにゅう)。「会社と一緒に出すのがいちばん早い。書いてもらえなければ、それでも受け付けます」。その夜、修は社長の家を訪ねる。居間に一人で座っていた社長が言う。「……入れ」。

作者

人事のすみ

採用の面接から転職・退職まで、働く人と会社の両方の側から描いています。

この作品について

仕事でけがをした日から、治療費・休みの間のお金・後遺症・職場に戻るまでに、だれに何を言えば暮らしが守られるのか。会社との関係を保ったまま労災を使う段取りが、家族の目線でつかめます。

人事のすみのほかの作品

この話を紹介する

話のバナー・サムネイル・紹介文・貼れる HTML素材を見る

通知

お気に入り(♡)の作品に新しい話が出た日に、1回だけお知らせが届きます。届く時刻を選んでください。

ログインは要りません。

届く時刻

お知らせ

お知らせの一覧

ホームに追加

    ログインは要りません。