第4話「向こう岸」
この

祖母は、
写真の
その花火、どこから撮った?
第4話

ミツギ
三ツ木 遥:おじいちゃん
昨日の
「知ってる」って
三ツ木 遥:あの船
誰の船なの?
三ツ木 鉄郎:︙︙
三ツ木 遥:聞いても
言わない人だ

カラン
依頼人
寺尾 新太:すみません
この写真の場所を
探してほしくて
寺尾 新太:じいちゃんが
撮った写真
なんです

寺尾 君江:探すまでも
ないわよ
うちの前の土手
寺尾 君江:決まってる
じゃない
寺尾 新太:ばあちゃん
じいちゃんが
死んでから
花火に
行かなくて
寺尾 新太:この写真の所なら
行くって
言うから
寺尾 新太:今年の夏
その土手で
撮ってみたんです
三ツ木 遥:お借りしますね


三ツ木 遥:花火の大きさは
ほとんど
同じですね
三ツ木 遥:違うのは
花火の下
寺尾 新太:ほんとだ
昔のは
川が光ってて
寺尾 新太:今年のは
草と人の頭
だけでした

三ツ木 遥:え︑おじいちゃん
江戸川も
撮ってたの?
三ツ木 鉄郎:︙︙ふん
三ツ木 遥:寺尾さん
これ
向こう岸から
撮ったのかも

寺尾 君江:違うわよ
千葉の側なんて
行ってないもの
寺尾 君江:うちの前は
川が曲がってるの
だから映るのよ
寺尾 新太:ばあちゃん︙︙
三ツ木 遥:曲がっていたら
映ることも
あるかも︙︙


三ツ木 遥:あ︙︙
空が
明るい
三ツ木 遥:この空
西です!
三ツ木 遥:川は曲がっても
空の西は
動かないんです

寺尾 君江:︙︙あ
寺尾 君江:あの年だけ
橋を
渡ったんだわ

結婚の前の夏︒
あの人の住む︑
向こう岸へ︒
寺尾 君江:あの人
市川の人だったの
寺尾 君江:「こっちから見る
花火もいいぞ」
って
寺尾 君江:次の年からずっと
うちの前で
見てたから︙︙

寺尾 新太:じいちゃんの
岸だったんだ
寺尾 君江:忘れてたなんて
あの人に
怒られるわね

三ツ木 遥:見える
とは
言えません
三ツ木 遥:でも
向こう岸の
西を向ける場所
なら
探せます
寺尾 新太:よかった
来年は
早めに
歩いて行こう
寺尾 君江:あんたが
連れてくなら
行ってあげる

その夜︒

三ツ木 遥:これ
うちの︙︙?
三ツ木 鉄郎:︙︙昔の
客だ

昔の︑
受付の帳面︒
客の名前の横に︑
船の名前︒

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