第4話「顔を、上げて」
この

顔を
影山 透:本人です
影山 透:席の明かりは
30分に
なったのに
有坂 真帆:影山くん
また止まってる

有坂 真帆:登録の写真
これなんだけど
有坂 真帆:入社の時の
証明写真でね
有坂 真帆:下
向いてるよね
影山 透:写真
苦手で
有坂 真帆:来月までに
通るように
しといてね
うちの居間︒

影山 ひかり:測ったよ
全部で42枚
影山 ひかり:お兄ちゃんの顔
平均で20度
下を向いてる
影山 透:なんで
アルバムまで

影山 ひかり:正面の写真
1枚も
なかった
影山 透:︙︙そっか

影山 ひかり:顔認証はね
顔の形を
数にするの
影山 ひかり:登録の数と
今の数が
どれだけ近いか
影山 ひかり:それを
見てるだけ

影山 透:じゃあ
その線を
下げてもらえば
影山 ひかり:それ
他人が通るよ
影山 ひかり:下げるんじゃ
なくて
顔を上げるの
影山 ひかり:病院の受付の
顔認証でも
国が言ってるよ

影山 ひかり:パスポートの
写真も
正面で無帽だよ
影山 透:海外なんて
行かないよ
影山 ひかり:だって
前を向いた
お兄ちゃんの顔
影山 ひかり:私も
見たことないもん


影山 透:前髪︙︙
総務の小部屋︒

有坂 真帆:撮り直す前に
これ読んでサインね
有坂 真帆:カードは予備で
残すけどね
大事な部屋は

影山 透:前髪
上げました
有坂 真帆:おっ
いいじゃない
有坂 真帆:じゃ
影山くん
こっち見て

影山 透:人の目を
見るのって
こんなに
影山 透:怖かったっけ
有坂 真帆:下じゃないよ
ここ
ここ



週明けの朝︒


影山 透:呼ばれた︙︙
影山 透:機械に
名前を
有坂 真帆:おはよ
影山くん
後ろ詰まってる!
その週末︒電話が鳴った︒
影山 トキ(電話の声):もしもし?
どちらさん?

影山 透:ばあちゃん
透だよ
かけてきたの
そっち
影山 トキ(電話の声):ああ透かい
天井の箱がね
影山 トキ(電話の声):ずっと前から
何も言わないから
壊れてないよ
影山 トキ(電話の声):ひかりちゃん連れて
見においでよ
ばあちゃんの寝室の︑
あの白い箱︒

影山 透(画面の外の声):ばあちゃん
それ
影山 透(画面の外の声):いつから
付いてるの?
影山 トキ(電話の声):さあねえ
14年は
たつかねえ
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