第5話「鳴らない箱」
この

祖母
高校2年・
会社員影山 透
影山 トキ:ひかりちゃん
よく来たねえ
影山 トキ:おや透
いたのかい
影山 透:電話で
呼んだの
ばあちゃんだよ
影山 ひかり:お兄ちゃん
顔認証は
通ったんでしょ
影山 ひかり:なのに
また上ばっかり
影山 透:あの箱

影山 ひかり:ほんとだ
私︑何回も
来てるのに
影山 ひかり:なんで
気づいたの?
影山 透:人の顔
見ないから
影山 透:端とか天井とか
ずっと
見てるんだよ
影山 ひかり:それ
すごいよ
影山 トキ(画面の外の声):それはね
鳴らないのが
一番いいのさ

影山 透:押して
みるよ


影山 ひかり:お兄ちゃん
これ
影山 ひかり:静かだったのは
無事だから
じゃない
影山 ひかり:ずっと
壊れてたの
影山 透:裏に
製造年がある
14年前だ
茶の間で︑
お茶を飲みながら︒

影山 ひかり:ばあちゃん
買いに行こ

影山 トキ:いらないよ
影山 トキ:前にも
消防の方から
来た人がいてね
影山 トキ:3万円だって
言うんだよ
影山 ひかり:えっ
影山 透:それ
買ったの?
影山 トキ:高いから
断ったよ
へっへっ

影山 透:断って正解
だったんだよ

影山 ひかり:ホームセンターや
電器店で
買えるからね
影山 トキ:どこに
付けるんだい
影山 ひかり:台所は
町の条例しだい
調べるね
買ってきて︑付けた夜︒

影山 透:まず
点検だよね
影山 ひかり:待って
影山 ひかり:今度は
音が届くか
測るの
影山 ひかり:ばあちゃん
寝室で
耳は遠いでしょ

影山 トキ(画面の外の声):なにか
言ったかい?


影山 ひかり:階段のが
鳴っても
聞こえてない
影山 透:付けただけじゃ
気づかれないん
だね

影山 透:ばあちゃんの
枕元のが
一緒に鳴れば
影山 ひかり:それ!
連動型!
次の日の夜︒
連動型に付け替えて︒

ピーピー
ピーピー
影山 トキ:聞こえた!
聞こえたよ!
影山 トキ:透ー!

影山 トキ:14年
誰も見てなかった
箱だよ
影山 トキ:お前だけだね
見てたのは
気づかれない側には︑
気づかれない物が︑
見えるらしい︒

影山 ひかり:ノートに
書いとくね
影山 透:それは
書いてもいいよ
帰りの駅ビル︒

影山 透:え
影山 ひかり:お兄ちゃん
次は
扉?
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