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第2話「単価の表は、3つあった」

この作品には、H株式会社のサービスが登場します

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・店は架空です。
作中の「AXタスクフォース」は、H株式会社の実在のサービスです。

締めの日の朝の事務所を少し高い所から。真ん中で、経理の芳賀が請求書の控えを1枚つまんで立ち、皆が手を止めている。左の机でゆいが口を手で押さえ、右の戸口で蒔田が立ち止まる。奥の席で社長が目を丸くする。

締めの日の、水曜。

経理・この会社に38年芳賀 トキ子

芳賀 トキ子:これ
もう
出したの?

営業の社員(画面の外の声):ゆうべ
メールで
送りました!

仁科 ゆい:柏葉さんの
分だ︙︙

〈柏葉工務店さまへの請求書(ゆうべ送った物)〉M8 のボルト 200本 単価 18円(先月までの値段)今月1日からの単価は 20円先月の値段のまま出た品:3つ

適格請求書(てきかくせいきゅうしょ)(インボイス)の解説

現実の事実売った側が買った側へ、正しい税率と消費税の額を伝える請求書(せいきゅうしょ)・納品書などです。税務署(ぜいむしょ)長の登録を受けた事業者(適格請求書発行事業者(てきかくせいきゅうしょはっこうじぎょうしゃ))だけが出せ、登録番号(とうろくばんごう)・取引の日・内容・税率ごとの合計額と税率・消費税額・相手の名前を書きます。令和5年10月1日から、この請求書の保存が、買った側の消費税の計算(仕入税額控除(しいれぜいがくこうじょ))の条件になりました。

普通の請求書と何が違う?
書く事が決まっていて(登録番号・税率ごとの消費税額など)、登録を受けた事業者しか出せない点です。

出典

この言葉の疑問、いつもの AI に

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社長が机の電話の受話器をつかんで立ち上がる。下からの角度。もう片方の手を胸に当て、歯を食いしばって頬が赤い。

樋口 康夫:分かった!
俺が
電話して
謝る!

蒔田 一葉:社長
待って
ください

芳賀が、机に並べた電卓2台の前で、腕を組み、口を結んでいる。眼鏡の奥の目が細い。手前に請求書の控え。

芳賀 トキ子:電話だけじゃ
済まないの

芳賀 トキ子:直した請求書を
出し直すの

修正した適格請求書(てきかくせいきゅうしょ)の解説

現実の事実適格請求書を出した事業者は、書いた事に誤りがあった時、出した相手に、修正した適格請求書を交付しなければなりません(消費税法第57条の4第4項)。単価を間違えた時は、謝るだけでなく、直した請求書(せいきゅうしょ)を出し直します。

誰が出し直す?
最初に適格請求書を出した側(売った側)が、受け取った相手に出し直します(同じ条)。

出典

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仁科 ゆい:じゃあ
すぐ直して
送り直します!

蒔田 一葉:その前に
1つだけ

蒔田 一葉:下書きが
どの単価を
見たか
調べさせて
ください

下書きを作るAIは︑
単価の表を
読んで︑
値を入れていた︒

蒔田 一葉:単価の表は
どこに
ありますか?

ゆいが、自分のパソコンの画面を人差し指でさす。芳賀が、机の引き出しから厚い紙のファイルを出して掲げる。社長が、壁に貼った1枚の紙を親指でさして、胸を張る。

仁科 ゆい:パソコンの
中です

芳賀 トキ子:私の
引き出し

樋口 康夫:壁に
貼ってある!

単価の表は︑
3つあった︒

〈3つの単価の表〉パソコン(皆が見る):先月までの値芳賀さんの引き出し(紙):今月の値上げまで、手で直してある壁(社長が貼った):3か月前の値AI の下書きが読んだのは:パソコン

芳賀の肩の後ろから見下ろした机。芳賀が紙の単価の表に赤いペンで書き込んでいる。古い数を線で消し、横に手で書き直した跡がびっしり並ぶ(字は読めない線)。右の端に、仕入れ先から届いたファクスの束が枠からはみ出す。

芳賀 トキ子:仕入れ先から
値上げの
知らせが来たら
私が直してる

仁科 ゆい:それ
パソコンには︙︙

芳賀 トキ子:入れてない
パソコンは
社長の係
でしょ

樋口 康夫(画面の外の声):え
俺?

社長の顔の大写し。自分の鼻を指さし、目を見開いて汗をかく。顔に驚きの縦線。

パソコンの表は︑
先月︑社長が
1度直したきり
だった︒

蒔田 一葉:この3つで
正しいのは
どれですか?

芳賀 トキ子:︙︙

蒔田 一葉:芳賀さんの
紙ですね

蒔田 一葉:でも
それは
芳賀さんしか
見られない

蒔田の上半身。ノートを開いて胸の前に掲げ、まっすぐこちらを見る。後ろのホワイトボードに、四角が3つと、そこから1つの四角へ向かう矢印(字は無い)。

蒔田 一葉:単価の表は
一つに
します

〈蒔田さんのノート:単価の表の決まり(案)〉置き場:1か所だけ(ほかの2つは片付ける)書く列:品番・単価・いつからの値か・直した人古い単価は消さずに、下に残す直す人:1人に決める

仁科 ゆい:いつからの
値か︙︙?

蒔田 一葉:今日の請求書が
先月の値で
出たのは

蒔田 一葉:いつから
変わったかが
表に
無かったから
です

樋口 康夫:よし
仁科が
やれ!

蒔田 一葉:いえ

蒔田 一葉:値上げの知らせが
最初に届く人が
いいです

社員たちが身を乗り出して、芳賀の机をのぞき込む。手前にファクスの束が積まれている。芳賀は電卓2台の前で、口をへの字に結び、横へ目をそらす。

芳賀 トキ子:私は
38年
紙でやってきたの

仁科 ゆい:38年
間違えて
ないんですよね

芳賀 トキ子(画面の外の声):︙︙ふん

昼すぎ︒

昼の事務所。左で、ゆいが受話器を両手で持って深く頭を下げる。右で、芳賀が古い箱形のパソコンの前に座り、請求書を打ち直している。

仁科 ゆい:申し訳
ありません!
単価を
間違えました

柏葉工務店の経理(画面の外の声):直したのを
送ってもらえれば
大丈夫です

柏葉工務店の経理(画面の外の声):うちも
仕入税額控除で
使うので

仕入税額控除(しいれぜいがくこうじょ)の解説

現実の事実消費税を納める時、売上の消費税の額から、仕入れで払った消費税の額を差し引くことです(消費税法第30条)。差し引くには、決まった事を書いた帳簿(ちょうぼ)と、適格請求書(てきかくせいきゅうしょ)などの保存が要ります。買った側にとって、正しい請求書(せいきゅうしょ)は税金の計算の書類です。

請求書は、いつまで取っておく?
帳簿と請求書等を、7年間保存します。6年目と7年目は、帳簿か請求書等のどちらか一方でよいとされています。

出典

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請求書は︑
20年使っている
古い仕組みで
刷っている︒

古い箱形のパソコンの横の印刷機から、直した請求書が出てくる。芳賀の手がそれを取り、もう片方の手の指で、紙の上の欄を1つずつたどる(字は読めない線)。

芳賀 トキ子:登録番号
日付
税率ごとの
消費税︙︙

登録番号(とうろくばんごう)(適格請求書発行事業者(てきかくせいきゅうしょはっこうじぎょうしゃ))の解説

現実の事実税務署(ぜいむしょ)長の登録を受けて適格請求書発行事業者になると通知される番号で、適格請求書(てきかくせいきゅうしょ)に必ず書きます。登録された事業者の登録番号と名前は、国税庁の公表サイトで確かめられます。

登録は、どの事業者でも受けられる?
登録を受けられるのは、消費税を納める事業者(課税事業者)です。

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仁科 ゆい:間違えた方は
もう
捨てます?

芳賀 トキ子:捨てない
控えは
取っておくの

交付した適格請求書(てきかくせいきゅうしょ)の写しの保存の解説

現実の事実適格請求書を出した事業者は、出した請求書(せいきゅうしょ)の写し(控え)を保存しなければなりません(消費税法第57条の4第6項)。間違えて出し直した時も、相手に渡った請求書の控えは捨てずに残します。

メールで送った請求書は?
紙の写しの代わりに、送ったデータ(電磁的記録)を保存します(同じ条。保存の仕方は財務省令で決まっています)。

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夕方4時︒

夕方の事務所。皆が使うパソコンの前に芳賀が座り、人差し指1本でキーを押す。横にゆいがしゃがんで画面を指さし、後ろで蒔田が立って見ている。芳賀の机から持ってきた電卓2台が、パソコンの横に並ぶ。

芳賀 トキ子:私の紙が
皆に見えてたら
あの子は
謝らずに済んだ

芳賀 トキ子:︙︙単価の表は
私が直す

仁科 ゆい:芳賀さん︙︙!

芳賀 トキ子:打ち方は
あんたが
教えなさい

蒔田 一葉:芳賀さん
お願い
します

〈単価の表(1つにした物)〉M8 のボルト 20円 いつから:今月1日 直した人:芳賀(古い値)18円 先月まで壁の表と紙の表:片付けた(紙は芳賀さんの控えに)

その日︑
単価の表は
1つになった︒

夕方5時︒

社長が事務所の真ん中で、こぶしを高く突き上げる。下からの角度。目を閉じて満面の笑み。横の窓から白い光。

樋口 康夫:よし!
AIがあれば
もういらん!

樋口 康夫:古い仕組みは
来月
止める!

芳賀の手の寄り。持っていた電卓を、机の上に静かに置く。指はまだ電卓から離れていない。

コト

事務所の全景を引いて。席から立ち上がった芳賀が、まっすぐ社長を見ている。こぶしを上げたまま固まる社長、振り向くゆいと蒔田が小さい。

芳賀 トキ子:︙︙

第2話「単価の表は、3つあった」

つづく

原作・脚本
H株式会社

制作に生成 AI を使用(生成 AI の使い方)

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AI芳賀さんが人差し指1本で打つのを、ゆいが急かしてしまう話と、黙って待つ話で、2人の距離の縮まり方が変わります。芳賀さんが電卓で打った数を確かめ直す手つきも、そのまま残せます。

あなた黙って待つ方で

AI芳賀「……遅いって、言わないの?」 ゆい「38年分の速さで、いいです」

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この話で分かること

単価の表は、どう管理する?

この話では、紙・パソコン・壁に分かれていた単価の表を1か所にまとめ、品番・単価に「いつからの値か」と「直した人」の列を足し、古い値は消さずに残し、直す人を1人(値上げの知らせが最初に届く人)に決めました。

物語との違い

作中の会社のやり方の一つの例で、どの職場でも同じ形がよいとは限りません。作中の会社・人物・単価は架空です。

請求書(せいきゅうしょ)の単価を間違えたら?

適格請求書(てきかくせいきゅうしょ)を出した事業者は、書いた事に誤りがあった時、出した相手に、修正した適格請求書を交付しなければなりません(消費税法第57条の4第4項)。間違えて出した請求書の写し(控え)も、出した側は保存します(同じ条の第6項)。

適格請求書(てきかくせいきゅうしょ)(インボイス)に書くことは?

①出す事業者の名前と登録番号(とうろくばんごう) ②取引の日 ③取引の内容(軽減税率の品はその旨) ④税率ごとに分けて合計した額と税率 ⑤税率ごとに分けた消費税の額 ⑥受け取る事業者の名前、の6つです。

条件・例外

小売・飲食店・タクシーなどが出す簡易な書類(適格簡易請求書(せいきゅうしょ))は、書く事の一部が違います。

仕入税額控除(しいれぜいがくこうじょ)とは? 請求書(せいきゅうしょ)と何の関係がある?

消費税を納める時、売上の消費税の額から、仕入れで払った消費税の額を差し引くことです(消費税法第30条第1項)。帳簿(ちょうぼ)と請求書等を保存していない仕入れの分は差し引けない(同じ条の第7項)ので、買った側にとって正しい請求書は大事な書類です。

この話の用語

適格請求書(てきかくせいきゅうしょ)(インボイス)漫画の中で見る
現実の事実売った側が買った側へ、正しい税率と消費税の額を伝える請求書(せいきゅうしょ)・納品書などです。税務署(ぜいむしょ)長の登録を受けた事業者(適格請求書発行事業者(てきかくせいきゅうしょはっこうじぎょうしゃ))だけが出せ、登録番号(とうろくばんごう)・取引の日・内容・税率ごとの合計額と税率・消費税額・相手の名前を書きます。令和5年10月1日から、この請求書の保存が、買った側の消費税の計算(仕入税額控除(しいれぜいがくこうじょ))の条件になりました。
修正した適格請求書(てきかくせいきゅうしょ)
現実の事実適格請求書を出した事業者は、書いた事に誤りがあった時、出した相手に、修正した適格請求書を交付しなければなりません(消費税法第57条の4第4項)。単価を間違えた時は、謝るだけでなく、直した請求書(せいきゅうしょ)を出し直します。
仕入税額控除(しいれぜいがくこうじょ)漫画の中で見る
現実の事実消費税を納める時、売上の消費税の額から、仕入れで払った消費税の額を差し引くことです(消費税法第30条)。差し引くには、決まった事を書いた帳簿(ちょうぼ)と、適格請求書(てきかくせいきゅうしょ)などの保存が要ります。買った側にとって、正しい請求書(せいきゅうしょ)は税金の計算の書類です。
登録番号(とうろくばんごう)(適格請求書発行事業者(てきかくせいきゅうしょはっこうじぎょうしゃ))漫画の中で見る
現実の事実税務署(ぜいむしょ)長の登録を受けて適格請求書発行事業者になると通知される番号で、適格請求書(てきかくせいきゅうしょ)に必ず書きます。登録された事業者の登録番号と名前は、国税庁の公表サイトで確かめられます。
交付した適格請求書(てきかくせいきゅうしょ)の写しの保存漫画の中で見る
現実の事実適格請求書を出した事業者は、出した請求書(せいきゅうしょ)の写し(控え)を保存しなければなりません(消費税法第57条の4第6項)。間違えて出し直した時も、相手に渡った請求書の控えは捨てずに残します。

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この話のあらすじ

締めの日の朝、先月までの単価のまま、柏葉工務店への請求書(せいきゅうしょ)がメールで出ていた。社長は電話で謝ろうとするが、経理の芳賀は「直した請求書を出し直すの」と言う。蒔田が、下書きを作る AI がどの単価を見たかを調べると、単価の表は、皆が見るパソコン・芳賀の引き出しの紙・社長が壁に貼った紙の3つあり、今月の値上げが入っていたのは芳賀の紙だけだった。蒔田は、表を1か所にまとめ、いつからの値かと直した人を書き、古い値は消さずに残し、直す人を1人に決める案を出す。値上げの知らせが最初に届く芳賀は「38年、紙でやってきた」と渋るが、ゆいが柏葉工務店に謝る横で、古い仕組みで直した請求書を刷り、間違えた方の控えも捨てずに残す。夕方、芳賀は「単価の表は、私が直す」と引き受けた。ところが社長は「AI があれば、古い仕組みは来月止める!」と言い出し、芳賀は電卓を置いて立ち上がる。

作者

H株式会社

トゥーンエルを運営する会社です。H株式会社の「AXタスクフォース」は、AI で仕事の進め方を変える、現場の実行チームです。

この作品について

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