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第3話「今日決めてくれたら」

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・店は架空です。

週明けの朝︒
駅の裏の買取の店︒

朝の買取の店の事務所。タブレットの折れ線の表を指でたたく50代の店長。後ろの壁の暦に、赤い丸の付いた日。

権藤 誠一:あのセダン
今日決まれば
木曜の市に
出せるんだ

三浦 拓海:でも
お父さんは
まだ︙︙

同じ事務所。机の前に立ち、困った顔で店長の話を聞く20代の男性の査定員。

権藤 誠一:夕方もう一回
行ってこい
「今日なら
この値段で」
ってな

権藤 誠一:来週になると
同じ型の車が

権藤 誠一:オークション
だらけに
なるんだよ

業者のオークション(作中の店の事情)の解説

作中の世界の決まり作中の権藤の店は、買い取った車を、事業者どうしが売り買いするオークション(市場)に出して売ります。同じ型の車が多く出る週は値が下がりやすいので、権藤は早く決めてほしいと考えています。

作中の世界の決まり「今日決めてくれたら、この値段で」と言う店にも、その店なりの事情があることがあります。ただ、その事情は店の側の物です。売る側は、急ぐ理由を聞いたうえで、家族と相談する時間をとってかまいません。

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三浦 拓海:あの前の直し
奥さんを
病院へ送った
夜のだそうです

権藤 誠一:そうか

権藤 誠一:でもな
それで値段は
変わらねえんだ

同じ日の昼︒
奈緒の会社の休憩室︒

昼の会社の休憩室。窓ぎわの席でスマホを耳に当て、困った顔をする40代の女性。机の上に4枚の査定の紙。

笠井 奈緒:お兄ちゃん
査定の紙
4社分
そろったよ

奈緒の兄(電話の声):売るなら
早いほうが
いいだろ

年度の途中で車を売った時の自動車税(じどうしゃぜい)の解説

現実の事実自動車税は、4月1日の時点で車検証(しゃけんしょう)に所有者(しょゆうしゃ)として登録されている人に、4月から翌年3月までの1年分がかかります(東京都主税局)。年度の途中で売って名義が変わっても、その年度の分は前の所有者が納めます。4月1日より前に名義が変われば、次の年度の分は新しい所有者にかかります。

出典

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奈緒の兄(電話の声):父さんも
もう
乗らないんだし

笠井 奈緒:でも︙︙
お父さん
あの車のこと
何も
言わないの

同じ休憩室。向かいの席で、お弁当を食べながら話しかける40代の女性の同僚。奈緒は電話を切ったところ。

会社員。父の車を売ることにした笠井 奈緒

同僚:あ︑うちはね
新しい車の
お店で
引き取って
もらったよ

同僚:下取り
ってやつ

下取りと買取の解説

現実の事実下取りは、車を買う販売店に、今の車を引き取ってもらう売り方です。自動車公正取引協議会(こうせいとりひききょうぎかい)の用語集では、買った車の登録に印鑑証明書(いんかんしょうめいしょ)が1通要り、下取りに出す車がある時はもう1通要るとしています。自賠責保険(じばいせきほけん)の残りの期間の分を買い取りの額に含める業者が多いので、下取りに出す時も買取の店に売る時も、先に確かめます。

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笠井 奈緒:え
買取とは
違うの?

同僚:そうそう
新しい車から
引いてもらう
感じ

同僚:手間が
かからないから
それにしたの

笠井 奈緒:そっか
売り方って
買取だけじゃ
ないんだ

抹消登録(まっしょうとうろく)(廃車(はいしゃ))と自動車税(じどうしゃぜい)の解説

現実の事実車を手放す時は、売るほかに、運輸支局などで抹消登録(廃車)をする道もあります。年度の途中で抹消登録をすると、自動車税は登録した月の翌月の分から月割で減り、例えば6月に抹消登録をすれば4月から6月までの3か月分になります(東京都主税局)。廃車した日は、業者に車を渡した日ではなく実際に抹消登録された日なので、頼んだ業者に登録されたかを確かめます。

出典

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夕方︒
笠井家の門︒

夕方の家の玄関。戸を開けて立つ40代の女性。

三浦 拓海:土曜の査定
お持ち
しました
42万円です

夕日の門の前。ファイルを両手で持ち、少し硬い顔で立つ20代の男性の査定員。

笠井 奈緒:えっ
いちばん
高い︙︙

三浦 拓海:それで︙︙
店長が
今日決めたら
この値段でと

玄関の前で、ファイルを握ったまま目をふせる20代の男性の査定員の寄り。

笠井 奈緒:えっ
今日決めないと
下がるんですか

査定(さてい)の場での契約の解説

現実の事実消費者(しょうひしゃ)庁は、中古車(ちゅうこしゃ)の売却について「査定の場では契約しないようにしましょう」「事前に契約書を確認するようにしましょう」と呼びかけています。国民生活センターは、査定に来た事業者が帰らず、やむなく契約してしまったなどの相談例を公表し、「今は売らない」「他店の査定額(さていがく)と比べる」と伝えて、きっぱり断るよう助言しています。

出典

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三浦 拓海:来週は
同じ型の車が
たくさん
出るそうで︙︙

家の中の窓ぎわ。カーテンのすき間から、玄関の2人を黙って見ている年配の男性。

笠井 奈緒:お父さん
今日も
何も
言わない︙︙

細い横の帯の寄り。男性の手の中で震えるスマホ。画面の橙の光。門のわきに数歩はなれて、スマホを耳に当てる20代の男性の査定員。背中ごしに、玄関に立つ40代の女性。

権藤 誠一(電話の声):三浦!
決まったか

三浦 拓海:︙︙まだです

権藤 誠一(電話の声):「今日なら」
ってちゃんと
言ったろうな

スマホを耳に当てたまま、家の窓のほうを振り返る20代の男性の査定員。窓に、年配の男性の影。
玄関の前。電話をつないだままのスマホを下ろし、40代の女性に深く頭を下げる20代の男性の査定員。その頭の上で、絵の枠の線がひびのように割れて折れ、小さな破片が外へ飛んでいる。

三浦 拓海:笠井さん
今日は
決めないで
ください

玄関で、目を見開いて立ちつくす40代の女性。

笠井 奈緒:︙︙え?

男性の下ろした手の中のスマホ。画面の橙の光と、そこから出る声の線が、絵の枠の右の線を越えて外へあふれている。

権藤 誠一(電話の声):おい三浦!
聞こえてんのか

第3話「今日決めてくれたら」

つづく

お気に入りから外しますか?

今日決めてくれたら、この値段で。

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あなた三浦が「今日は、決めないでください」と言った後の、電話の向こうの権藤を考えたい

AI権藤が怒鳴りかけて、受話器の向こうで寛治の咳払いが聞こえ、言葉を飲み込む形にすると、権藤も「売る人の家」を前にした事がある人だと、次の話の入口になります。

あなたその線で、台詞を

AI権藤「おい三浦、お前……」(電話の向こうで、咳払い)権藤「……お父さん、そこにいるのか」三浦「はい」。

送る質問あらすじを踏まえて、次の話の展開を一緒に考えて

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この話で分かること

車を売るタイミングは?

決まった正解はありません。税の面では、普通車の自動車税(じどうしゃぜい)(種別割)は4月1日の時点の持ち主にかかる税だと、国税庁は説明しています。売った時に「未経過(みけいか)の自動車税の分」として受け取るお金は、税が戻ってくるのではなく、車の代金の一部です。

条件・例外

軽自動車(けいじどうしゃ)の税は、普通車と決まりが違います。いつ売るかは、税のほか、家族の事情や、店ごとの額を比べて決めます。

「今日決めてくれたら、この値段で」と言われたら?

その場で決めなくてかまいません。消費者(しょうひしゃ)庁は、査定(さてい)の場では契約しないよう呼びかけています。国民生活センターは、強引に売却を迫る会社には「今は売らない」「他店の査定額(さていがく)と比べる」と伝えて、きっぱり断るよう助言しています。

条件・例外

「今日なら」の理由(店の売り先の事情など)を聞くのはかまいません。ただ、それは店の側の事情です。

車を売った後の名義の変更は、いつまでに?

道路運送車両法は、普通車などの持ち主が変わった時は、15日以内に移転登録(名義の変更)を申請するよう定めています(第13条)。買取の店が手続きをする時は、いつ終わるかを契約の時に聞きます。

条件・例外

車検証(しゃけんしょう)の住所が今の住所と違う時は、住所のつながりが分かる書類が要ることがあります。軽自動車(けいじどうしゃ)は、手続きの窓口と書類が違います。

この話の用語

業者のオークション(作中の店の事情)漫画の中で見る
作中の世界の決まり作中の権藤の店は、買い取った車を、事業者どうしが売り買いするオークション(市場)に出して売ります。同じ型の車が多く出る週は値が下がりやすいので、権藤は早く決めてほしいと考えています。
作中の世界の決まり「今日決めてくれたら、この値段で」と言う店にも、その店なりの事情があることがあります。ただ、その事情は店の側の物です。売る側は、急ぐ理由を聞いたうえで、家族と相談する時間をとってかまいません。
年度の途中で車を売った時の自動車税(じどうしゃぜい)漫画の中で見る
現実の事実自動車税は、4月1日の時点で車検証(しゃけんしょう)に所有者(しょゆうしゃ)として登録されている人に、4月から翌年3月までの1年分がかかります(東京都主税局)。年度の途中で売って名義が変わっても、その年度の分は前の所有者が納めます。4月1日より前に名義が変われば、次の年度の分は新しい所有者にかかります。
下取りと買取漫画の中で見る
現実の事実下取りは、車を買う販売店に、今の車を引き取ってもらう売り方です。自動車公正取引協議会(こうせいとりひききょうぎかい)の用語集では、買った車の登録に印鑑証明書(いんかんしょうめいしょ)が1通要り、下取りに出す車がある時はもう1通要るとしています。自賠責保険(じばいせきほけん)の残りの期間の分を買い取りの額に含める業者が多いので、下取りに出す時も買取の店に売る時も、先に確かめます。
抹消登録(まっしょうとうろく)(廃車(はいしゃ))と自動車税(じどうしゃぜい)漫画の中で見る
現実の事実車を手放す時は、売るほかに、運輸支局などで抹消登録(廃車)をする道もあります。年度の途中で抹消登録をすると、自動車税は登録した月の翌月の分から月割で減り、例えば6月に抹消登録をすれば4月から6月までの3か月分になります(東京都主税局)。廃車した日は、業者に車を渡した日ではなく実際に抹消登録された日なので、頼んだ業者に登録されたかを確かめます。
査定(さてい)の場での契約漫画の中で見る
現実の事実消費者(しょうひしゃ)庁は、中古車(ちゅうこしゃ)の売却について「査定の場では契約しないようにしましょう」「事前に契約書を確認するようにしましょう」と呼びかけています。国民生活センターは、査定に来た事業者が帰らず、やむなく契約してしまったなどの相談例を公表し、「今は売らない」「他店の査定額(さていがく)と比べる」と伝えて、きっぱり断るよう助言しています。

出典

更新日:

この先のこと、自分のこと、いつもの AI に聞いてみてください。

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この話のあらすじ

月曜の朝、店長の権藤は三浦に「今日決まれば木曜の市場に出せる。来週は同じ型の車が何台も出る」と言い、「今日決めてくれたら、この値段で」と伝えてこいと命じる。昼、奈緒は兄に「早く売ったほうがいい」と言われ、同僚から下取りと買取の違いを聞く。夕方、三浦は42万円の額を持って笠井家に来る。いちばん高い額だった。三浦は店長の言葉を伝えるが、窓の向こうの寛治を振り返り、電話がつながったまま、奈緒に頭を下げる。「今日は、決めないでください」。

作者

あいみつ舎

比べて選ぶ人と、比べられる人。申込みの向こう側の両方を描いています。

この作品について

査定の電話の断り方、車を売る時に要る書類、契約の後で取り消せるかどうかを、手放す家族の気持ちと買い取る店の事情を行き来しながら確かめられます。

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