第2話「モニターの枠が、あと1つ」
この

文房具の
カウンセラー(電話の声):二重の
モニターなら
14万円に
なりますよ
カウンセラー(電話の声):条件は
お写真と
ご感想だけ
槙野 茉莉:写真︙︙?
カウンセラー(電話の声):明日の午後
お話だけでも
いかがですか

槙野 茉莉:︙︙ですよね
断れない時の︑
いつもの返事︒
日曜の午後︒
また︑相談室︒

美容クリニックの
カウンセラー:二重の
モニターは
あと1枠で

槙野 茉莉:半額︙︙
でも
顔が
ネットに?
カウンセラー:目元だけの
お写真でも
大丈夫ですよ

ペンを持った手が︑
また︑止まった︒
槙野 茉莉:あの
槙野 茉莉:トイレ
お借りします

自分:モニター、
槙野 茉莉:半額って
何と
引き換え
ですか


カウンセラー:ええ
お写真と
ご感想だけ
ですよ
槙野 茉莉:写真は
いつまで
どこに?
カウンセラー:それは
当院の
規定で
槙野 茉莉:規定?

カウンセラー:のちほど
確かめて
お伝え
しますね
槙野 茉莉:あの
今日は
決めずに
帰ります
トイレから戻って︑
自分で「帰ります」と
言えたのは︑
初めてだった︒
駅の裏の公園︒

高校の
汐見 沙耶:で
紙は?

汐見 沙耶:うーん
汐見 沙耶:前の職場でも
こういう紙
配ってた
汐見 沙耶:半額の
代わりに
顔を広告に
貸す契約
だね
槙野 茉莉:広告︙︙
〈クリニックの

槙野 茉莉:え︑待って
槙野 茉莉:書かないと
半額じゃ
ないのに?
汐見 沙耶:書いても
広告には
使えない
はずなんだよ
槙野 茉莉:じゃあ
写真は?

汐見 沙耶:で
いつまで
載るって
書いてある?

槙野 茉莉:︙︙
槙野 茉莉:書いて
ない

汐見 沙耶:なら
ずっと
かもね
半額の14万円は︑
顔と言葉の
値段だった︒

自分:モニターの

ポン
汐見 沙耶:えらい
槙野 茉莉:今日は
トイレ
1回だけ
汐見 沙耶:え
1回は
行ったの?

案内の︑いちばん下︒
小さな字︒

槙野 茉莉:沙耶さん?
槙野 茉莉:沙耶さんが
辞めたのって
槙野 茉莉:ここ?

汐見 沙耶:︙︙
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