第2話「傷も、値段のうち」
この

久遠質店
久遠質店の
久遠 すず:じいちゃん
起きてたの
久遠 すず:あの時計
前にも
来たって︙︙
久遠 徳次:︙︙昔の
話だ
久遠 すず:昔って
いつ?
久遠 徳次:店を
開けろ

江森 まゆ:あの
ここって
買取も︙︙
江森 まゆ:やって
ますよね?
久遠 すず:は︑はい!

客・
江森 まゆ:これ
今日
売れますか
江森 まゆ:金曜までに
5万円
要るんです
久遠 すず:えっと︙︙
この型
百貨店で
見てた
久遠 すず:20年くらい
前の型
ですよね
江森 まゆ:母の
です
使わないから
あげるって

久遠 すず:あと
年齢の分かる
物を︙︙
久遠 徳次(画面の外の声):わしの頃は
20だった
久遠 すず:じいちゃん
寝てて
いいから
久遠 徳次(画面の外の声):いてて

久遠 すず:角が
すれてる︙︙
久遠 すず:持ち手
こんなに
黒くなるまで︙︙
江森 まゆ:︙︙汚い
ですよね
江森 まゆ:母
毎日
それで
仕事に

江森 まゆ:あの
これ︙︙
本物
ですよね?
久遠 すず:はい
売り場で
何百も︙︙
久遠 徳次(画面の外の声):すず

久遠 すず:え︙︙
でも
久遠 徳次:うちが
言えるのは
引き受け
られるか
久遠 徳次:どうか
だけだ
売り場の頃は︑
店の名前が︑
本物の証しだった︒
久遠 すず:︙︙お値段は
付けられます


江森 まゆ:1万︙︙
6千円
江森 まゆ:母
30万で
買ったって︙︙
久遠 すず:それは
新品の
値段で︙︙
久遠 すず:箱とか
カードとか
ありませんか
江森 まゆ:カード︙︙?
久遠 すず:買った時に
お店で付く
保証書です

江森 まゆ:あ
中のポケットに
何か︙︙

久遠 すず:封筒と︙︙
中の
汚れ

久遠 すず:これ︙︙
落書き?
江森 まゆ(画面の外の声):︙︙あ
江森 まゆ:それ
あたしです

江森 まゆ:3歳の時
それで
すごく
怒られて
江森 まゆ:︙︙消して
なかったんだ

久遠 すず:保証書と
レシート︙︙
久遠 すず:これがあると
少し
上がります
江森 まゆ:︙︙上がった
江森 まゆ:でも
5万には︙︙
売り場の頃︑
すずは客に︑
わけを聞かなかった︒
久遠 すず:あの︙︙
聞いても
いいですか
久遠 すず:どうして
売るん
ですか

江森 まゆ:後期の
授業料
5万円
足りなくて
江森 まゆ:母
パートを
2つ
掛け持ちしてて
江森 まゆ:もう
頼めない
から
久遠 すず:それ
大学に
相談しました?
江森 まゆ:え?
江森 まゆ:︙︙知らな
かった
久遠 徳次(画面の外の声):ちょっと
貸せ


久遠 徳次:この落書きは
買取なら
値を下げる
久遠 徳次:︙︙だがな
久遠 徳次:傷も
値段の
うちだ
江森 まゆ:値段の︙︙
うち?
久遠 徳次:あんたの
母さんは
この傷ごと
20年
持ってたんだ

江森 まゆ:︙︙やっぱり
売りません
江森 まゆ:母に
足りないって
ちゃんと
言います
江森 まゆ:大学にも
聞いてみる
久遠 すず:また
いつでも

久遠 徳次:値は
付けたが
1円も
儲かっとらん
久遠 すず:じいちゃんが
止めたん
でしょ
久遠 徳次:︙︙ふん
久遠 徳次:財布より
先に
客のわけを
聞いたな
久遠 すず:えっと︙︙
褒めてる?
久遠 徳次:いてて
その夜︒

久遠 すず:時計の刻印は
1985年4月
久遠 すず:昭和60年の
4月︙︙

久遠 すず:うそ︙︙
久遠 すず:誰が
切ったの
久遠 徳次(画面の外の声):その帳面は
触るな

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