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第1話「明日は、行きます」

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・店は架空です。

朝の中学校の職員室。窓から白い朝の光。机の島の間で、20代の男性の教師が受話器を耳に当て、もう片方の手で出席簿を開いている(字は無い)。

7時52分。中学校の職員室。

2年3組の担任・社会科(24)須藤 創

小坂 りん(電話の声):2年3組の
小坂です

小坂 りん(電話の声):今日も
休みます

須藤 創:うん
分かった

須藤 創:体調は
どう?

小坂 りん(電話の声):︙︙明日は
行きます

〈出席簿 2年3組 小坂 りん〉欠席 18日目電話は本人から、毎朝 7時52分

須藤 創(つぶやき):また
明日はか

石黒 正人:須藤先生

職員室の机。左で、若い男性の教師が受話器を置いたところ。右から、白髪まじりの50代の男性の教師が、湯のみを持って出席簿をのぞき込む。

2年の学年主任(52)石黒 正人

石黒 正人:小坂さん
あと12日で
30日だね

須藤 創:えっ
30日︙︙?

石黒 正人:30日
休むと
不登校の数に
入るからさ

不登校(ふとうこう)の解説

現実の事実文部科学省の定義では、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいは、したくともできない状況にあるために、年間30日以上欠席した児童生徒のことです。病気や経済的な理由で休んだ場合は、この数に入りません。令和6年度の小・中学校の不登校児童生徒数は約35万4千人で、12年続けて増えています。

「30日」は、何の数?
文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」で、不登校の児童生徒を数える時の決まりです。1年の間に、続けてでも、とびとびでも、30日以上欠席した人を数えます。

出典

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石黒 正人:頼むよ

須藤 創:あと12日︙︙
戻さないと

夕方6時︒
小坂さんの家︒

夕方の団地の3階の廊下。左で、若い男性の教師がプリントを手に玄関の前に立つ。右の少し開いたドアから、坊主頭の小学生の男の子が顔を出して教師を見ている。

りんの弟・小学4年(10)小坂 大和

小坂 大和:また
来たの?

須藤 創:あ
プリント
届けに

小坂 大和:先生
それって

小坂 大和:学校の
仕事
ですか?

須藤 創:うっ

須藤 創:し仕事︙︙
かな

小坂 大和:ふーん

小坂 大和:ねーちゃん
先生だよ

玄関の奥の短い廊下。閉じた部屋のドア。ドアの下の隙間から、細く部屋の明かりが漏れている。手前の床に、置かれたままの中学の制服の上着と通学かばん。

小坂 りん(画面の外の声):︙︙明日は
行きます

須藤 創:うん!
待ってる

須藤 創:明日
絶対な

小坂 りん(画面の外の声):うん

翌朝
7時52分︒

翌朝の職員室。若い教師が受話器を耳に当てたまま、うつむいて目を閉じている。机の上に開いた出席簿(字は無い)。

小坂 りん(電話の声):今日も
休みます

小坂 りん(電話の声):明日は
行きます

〈出席簿〉欠席 19日目

須藤 創:明日
明日
明日︙︙

夜9時︒
誰もいない職員室︒

夜の職員室。蛍光灯が半分消え、1つの机だけ明るい。若い教師が、資料の紙(字は読めない)を何枚も机に並べ、頭を抱えている。

須藤 創(つぶやき):30日って
何の
30日︙︙

〈文部科学省の資料〉「不登校」とは:年間30日以上欠席した児童生徒(何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいは、したくともできない状況にあるために)令和6年度の小・中学校の不登校児童生徒数:約35万4千人(中学校では約15人に1人)

須藤 創:うわ
15人に
1人︙︙

須藤 創:30日って
数え方
なんだ

須藤 創:締め切り
じゃ
ない

真上から見た夜の職員室。椅子の背にもたれた若い教師が、天井を見上げて小さく笑う。手前の机に資料の紙が並び、その中に、学びの場を分けた図の紙(字は読めない)。

〈同じ資料の「多様な学びの場」〉学校に行けるけれど、自分のクラスに入れない時:校内教育支援センター(学校の空き教室などを使った部屋)家から出られるけれど、学校に行けない時:教育支援センター(地域の教育委員会が開く)家から出られない時:オンライン・訪問の支援

須藤 創:教室じゃ
なくて
いいのか

須藤 創:うちにも
ある︙︙
3階の
支援センター

校内教育支援センター(こうないきょういくしえんせんたー)の解説

作中の世界の決まり作中の学校の3階の部屋「ひだまり」は、作中の学校の校内教育支援センターです。

現実の事実学校には行けるけれど自分のクラスには入れない時や、少し気持ちを落ち着かせたい時に使える、学校の中の空き教室などを使った部屋です。自分のペースで学習のサポートを受けたり、相談に乗ってもらったりできます。

学校に行けない時は、どこで学べる?
家から出られるけれど学校に行けない時は、各地域の教育委員会が開く「教育支援センター」で、一人ひとりに合わせた学習や相談を受けられます。家から出られない時は、オンラインでの授業や相談、訪問の支援もあります。

出典

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翌日の夕方6時︒
小坂さんの家︒

同じ団地の廊下。手前の左で、若い教師が今日はプリントを持たず、手ぶらで頭をかいて苦笑いする。奥の開いたドアの陰から、弟が「また?」という顔でのぞく。

小坂 大和:今日も
仕事?

須藤 創:んー
半分
仕事

小坂 大和:半分って
何

閉じた部屋のドアの前の廊下に、若い教師があぐらをかいて座り、ドアに向かって話している。

須藤 創:小坂
聞こえる?

須藤 創:おととい
絶対って
言った
だろ

須藤 創:ごめん

小坂 りん(画面の外の声):先生

小坂 りん(画面の外の声):それって
学校の
仕事
ですか

若い教師の寄り。閉じたドアを見つめたまま、言葉に詰まって口を結ぶ。

須藤 創:最初は
そうだった

須藤 創:30日に
なる前にって
焦ってた

廊下の角の壁から、弟が顔を半分だけ出して、あきれ顔でのぞいている(絵の左)。

小坂 大和:先生
話長い

須藤 創:ごごめん

須藤 創:でもさ
教室じゃ
なくて
いいんだ

須藤 創:3階に
空き教室の
部屋が
あってさ

小坂 りん(画面の外の声):︙︙誰も
いない?

部屋のドアが細く開き、右の隙間から、前髪の長い中学生の女の子の片目がのぞいている。

2年3組の生徒(14)小坂 りん

須藤 創:放課後なら
たぶん
誰も

小坂 りん:4時
なら

小坂 りん:明日は
行きます

須藤 創:おおう

翌日︑
午後4時︒

放課後の中学校の裏門。白っぽい曇りの光。パーカーを着た女の子が、左の門の柱にもたれ、前髪で目を隠したまま立ち止まる。奥に3階建ての校舎。風で枯れ葉が舞い上がり、絵の枠の上を越える。

小坂 りん(つぶやき):10分
だけ

3階の空き教室を使った部屋。机が4つと、古いソファと本棚。部屋の入口で、女の子が一歩だけ中に入り、右の奥の机から若い教師が立ち上がる。

須藤 創:よ
よく来た︙︙

小坂 りん:来た
だけ

〈出席簿〉欠席 21日目午後4時から10分:校内教育支援センター「ひだまり」

須藤 創:欠席は
欠席
なんだけど

須藤 創:でも
10分

若い教師の寄り。こらえきれずに口元がゆるみ、片手で顔の下半分を隠している。

夕方5時︒
2年3組の教室︒

誰もいない夕方の教室。窓際の1つの机の前で、若い教師がしゃがみ、机の中からプリントを取り出している。

須藤 創(つぶやき):プリント
まとめて
持ってくか

机の中の板の寄り。鉛筆で書いて消しゴムで強くこすった跡が、いくつも重なって灰色に残っている(読める字は無い)。消しかすがこぼれ落ちる。

須藤 創:これ︙︙

須藤 創:消した
跡︙︙?

〈小坂 りん 欠席 21日目〉学校に来た:10分机の中:何度も消した跡

第1話「明日は、行きます」

つづく

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あなた机の中の消された落書きを見つけた次の朝、7時52分の電話の場面を考えたい

AI須藤が落書きのことを電話で聞くのか、聞かずにいつもの「分かった」を言うのかで、彼がこの1話で何を学んだかが見えます。りんの声がいつもと違うかどうかも、最初の台詞で決められます。

あなた聞かずに、別の言い方をする形で

AI須藤「分かった。……4時の部屋、今日も開けとく」。りん「……うん」。絵:受話器を置いた須藤の手元の、閉じたままの出席簿。

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この話で分かること

不登校(ふとうこう)とは? 定義は?

文部科学省の定義では、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいは、したくともできない状況にあるために、年間30日以上欠席した児童生徒のことです。病気や経済的な理由で休んだ場合は入りません。

条件・例外

「30日」は、文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」で、不登校の児童生徒を数える時の決まりです。続けてでも、とびとびでも数えます。

不登校(ふとうこう)の中学生は、どのくらいいる?

文部科学省によると、令和6年度の小・中学校の不登校児童生徒数は約35万4千人で、12年続けて増え、過去最多です。中学校では約15人に1人の計算で、クラスに2〜3人ほどになります。

教室に入れない時、学校の中や外で行ける場所は?

学校には行けるけれど自分のクラスに入れない時は、学校の空き教室などを使った「校内教育支援センター」があります。家から出られるけれど学校に行けない時は、教育委員会が開く「教育支援センター」、家から出られない時は、オンラインでの授業・相談や訪問の支援があります。

条件・例外

どの場があるかは、学校や地域によって違います。学校や教育委員会に聞いてみてください。

物語との違い

作中の部屋「ひだまり」と、4時に10分だけ来た扱いは作中の物です。

「学校に行きたくない」と言われたら、どこに相談できる?

まず学校(担任・スクールカウンセラーなど)や、地域の教育委員会の相談窓口に相談できます。いじめや学校のことでひとりで抱え込んでいる時に、いつでも電話できる窓口として、文部科学省は「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)を案内しています。

この話の用語

不登校(ふとうこう)漫画の中で見る
現実の事実文部科学省の定義では、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいは、したくともできない状況にあるために、年間30日以上欠席した児童生徒のことです。病気や経済的な理由で休んだ場合は、この数に入りません。令和6年度の小・中学校の不登校児童生徒数は約35万4千人で、12年続けて増えています。
校内教育支援センター(こうないきょういくしえんせんたー)漫画の中で見る
作中の世界の決まり作中の学校の3階の部屋「ひだまり」は、作中の学校の校内教育支援センターです。
現実の事実学校には行けるけれど自分のクラスには入れない時や、少し気持ちを落ち着かせたい時に使える、学校の中の空き教室などを使った部屋です。自分のペースで学習のサポートを受けたり、相談に乗ってもらったりできます。

出典

更新日:

この話のこと、いつもの AI に聞いてみてください。

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この話のあらすじ

中学2年3組の担任・須藤 創(24)のもとに、毎朝7時52分、小坂 りん(14)から「今日も、休みます。明日は、行きます」と電話が来る。欠席は18日目。学年主任の石黒に「あと12日で30日。30日休むと不登校(ふとうこう)の数に入る」と言われ、須藤は夕方、プリントを持ってりんの家へ行く。玄関で弟の大和に「先生、それって学校の仕事ですか?」と聞かれ、ドア越しのりんに「明日、絶対な」と言ってしまうが、翌朝も同じ電話が来る。その夜、文部科学省の資料で、30日は調査で不登校を数える時の決まりであり、教室に入れない時の「校内教育支援センター」など、学びの場がいくつもあることを知る。次の夕方、須藤はりんに謝り、「最初は、数のためだった」と打ち明けて、3階の部屋のことを話す。りんは「4時なら。明日は、行きます」と答え、翌日の午後4時、10分だけ部屋に来る。その後、教室のりんの机の中に、何度も消した鉛筆の跡が見つかる。

作者

トゥーンエル編集部

トゥーンエルを運営する H株式会社の編集部です。ミステリーや家族の物語など、仕事の題材に限らない作品を作っています。

この作品について

欠席が30日になると何が変わるのか、学校の外にどんな学びの場があるのか、いじめの時に学校がどう動くのかを、担任と家族の両方の迷いと一緒に追えます。

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