第2話「流しか、付け待ちか」

晴れた朝。
王都の大通りを、
空の馬車が流れていく。
チカ:あの馬車の
ほとんどが、
空で走ってる。

チカ:車輪が一回まわるごとに、
一つ進む数え木です。
チカ:客が乗っている間だけ、
こっちの目盛りに
切り替えます。

ガロ:そんな物で、
何が分かる。
実車率客を乗せて走った距離 ÷ 走った距離の全部 × 100空で走った分だけ、下がる。
チカ:灰馬組は18%。
十里走って、
客を乗せてたのは
二里もないんです。
ガロ:流さなきゃ、
客は見つからねえ。
二十五年、
そうしてきた。

灰馬組・見習い御者ピム
ピム:じゃあ、おれは
城門広場で
待ってみる!
一日だけ、比べる。
流すガロと、
付け待ちのピム。
流し:走りながら、手を挙げる客を探す付け待ち:乗り場に並んで、客が来るのを待つ


ガロ:乗るか!
東門まで行くぞ!

ピム:……まだ、
三台前……。

駅の乗り場で、
一時間待って一人。
そんな夜もあった。


一日の比べ(数え木と帳面から)ガロ(流し) 実車率 21% 乗せた客 9組ピム(付け待ち) 実車率 46% 乗せた客 4組ピムが乗り場で待った時間 五刻
ピム:おれの勝ち!
ガロ:客は、
俺の方が倍だ。

チカ:二人とも、
正しい。
チカ:実車率は、距離の割合。
待っている間は
走らないから下がらない。
でも、その間は稼げない。
チカ:だから、距離と時間の
両方を見るんです。
流しと付け待ちの使い分け人が道にあふれる時間・場所 → 流す人が一か所から出てくる時間・場所 → 待つ

灰馬組の一日(チカの表)朝 大通りと市場を流す昼 施療院と宿の前で待つ夕〜閉門 劇場・大神殿で待ち、東門へ


灰馬組 実車率 18% → 24%月末まで 23日
ガロ:……ふん。
朝の大通りは、
悪くねえ。


金獅子商会・配車頭(辻馬車二百台と飛竜便)ヴィクトル
ヴィクトル:本日より、
城門広場の馬車溜まりは、
金獅子商会の専用だ。
ギルドの許しもある。
ヴィクトル:小さな組は、
流していればいい。

チカ:いちばんの
待つ場所を、
取られた。
空車の王都 〜転生配車係は、馬車を空で走らせない〜
第2話「流しか、付け待ちか」終


