第3話「迎えに行く距離」

城門広場を
失って、三日。
灰馬組 実車率 24% → 20%月末まで 19日

ベルタ:待つ場所がないなら、
呼んでもらうしか
ないね。

宿と施療院に、
呼び出しの札を置いた。
札を鳴らせば、
ピムが走って知らせに来る。

ベルタ:呼ばれたら、
札の順番の馬車を出す。
それが組の決まりさ。


旅の男:もういい!
歩いた方が早い!
今日の呼び出し 12件迎えに着いた 7件着く前に客が帰った 5件迎えの距離(平均) 一里半

チカ:順番の馬車は、
いつも遠い。

前世の画面は、
いつも、
いちばん近い空車を
光らせていた。
迎えに行く間は、客を乗せていない。迎えの距離は、空で走る距離になる。迎えの時間は、客の待ち時間になる。
チカ:呼ばれたら、
いちばん近い空車を
出しましょう。

御者たち:それじゃ、
近くにいる奴ばかり
得をする!

チカ:だから、待つ場所を
刻ごとにずらします。
チカ:六台が、
王都のどこかの
いちばん近くに
いるように。

待つ場所(刻ごとにずらす)宿屋通り・施療院・南の市場大神殿・西の職人町・東門

旅の男:……もう、
来たのか。
今日の呼び出し 15件迎えに着いた 14件迎えの距離(平均) 半里
チカ:呼ばれて、
迎えに行けた割合。
これを、
九割より下げない。
前の世界では、
これをマッチング率と呼び、
国が、この割合から
車の足りない時間を数えていた。


施療院・見習いの癒し手ネリ
ネリ:東門の外の、
薬師の家まで!
閉門の前に!
呼び出し:施療院いちばん近い空車:ガロ(大神殿の前) 四半里

ガロ:乗れ!
裏の坂を抜ける!

閉門の鐘の、
半刻前。
馬車は、東門を抜けた。

ベルタ:侯爵家からだよ。
明日の閉門前、
御者を一人、
指名したいって。
ベルタ:――ガロ、だってさ。

ガロ:俺は、組でいちばん
客に嫌われてる
御者だぞ……?
空車の王都 〜転生配車係は、馬車を空で走らせない〜
第3話「迎えに行く距離」終


