第2話「何年分、調べますか」

志乃:この見習いが︑
知らせの中身を
下宿に漏らしました︒

勘定改め所の頭大河内 主膳
伊織:知らせの帳を︑
俺は見ていません︒
伊織:出さないとどうなるかを︑
話しただけです︒

六助:あ︑あの︙︙
知らせの帳の箱は︑
鍵を持ってるのが
志乃さんだけで︙︙
大河内:ふむ︒
漏れた漏れないは︑
どうでもよい︒
大河内:出た申告の中身を改めよ︒
志乃と︑見習い︒
2人でだ︒

志乃:足を引っぱるなよ︑
見習い︒


志乃:勘定改め所︑
改め役の榊だ︒
改めの知らせを
伝える︒
勘定改め所|改めの知らせ日時 5日後、朝五つ場所 紺屋 宗吉の家と作業場目的 出された申告の中身を確かめるため税目 所得の税期間 5年分(申告の無い年を含む)帳簿・書類 控えの札、仕入れの受け取り、そのほか商いの書付
宗吉:︙︙5年?
3年分は︑
もう出しただろうが︒
志乃:出したのは3年︒
お前は20年︑
同じ問屋から
藍を買っている︒
志乃:その前の2年は︑
どこへ行った?

お糸:伊織さん︑
改めって︑
何年前まで
さかのぼれるの︙︙?
伊織:改め所が額を
決めたり直したり
できるのは︑
申告の期限から
5年︒
伊織:ごまかして
隠していたら︑
7年︒
志乃:改めは5日後︒
帳と書付を
そろえておけ︒


宗吉:︙︙5年だ︒
出してねえのは︑
3年じゃねえ︒
宗吉:かかあが︑
帳面も申告も
全部やってた︒

宗吉:病に伏せって2年︒
死んで3年︒
おれは帳面を
一度も開けなかった︒
お糸:︙︙だから私︑
札だけは︑
捨てなかったの︒

お糸:おっかさんの︑
大福帳︙︙
病の床の︑
最後の2年︒
震えた字で︑
売上が書いてあった︒
伊織:これで︑
前の2年が
出せます︒
宗吉:知らせは︑
もう来ちまった︒
今さら出して
何になる︒
伊織:知らせの後でも︑
改めの前なら︑
上乗せは10%︒
改めの後なら15%︒
珠の算盤|前の2年分(大福帳から)本税 20万円(1年 約10万円)改めの前に出す 上乗せ10% 2万円改めの後に出す 上乗せ15% 3万円
珠:1万円の差︒
藍玉なら︑
何貫だっけ?
宗吉:︙︙5貫は買える︒

伊織:それと︑
今日から
帳をつけましょう︒
お糸:毎日?
一つ一つ
全部︙︙?
伊織:日ごとの合計だけでも
いいんです︒
売上と︑仕入れと︑
経費︒
申告の御定め(前の世界の決まりと同じ。令和8年4月1日現在)商いをする者は、帳をつける。日ごとの合計をまとめて書くだけでもよい。売上と経費を書いた帳は 7年残す。ほかの帳・受け取り・請求の書付は 5年残す。


六助:知らせの後に︑
自分から︙︙
初めて見ました︒

珠:知らせが来ても︑
出すのは早い方が安い︒
覚えときな︒
未納の帳|弓削 伊織(前世)未納(本税と加算税) 215万7千円紺屋 宗吉の期限後申告(前の2年、自分から) −0円
珠:また減らない︒
お人好し︒
伊織:あとは︑
改めの日に
中身を示すだけだ︒


両替商・呉服問屋〈升屋〉の番頭嘉平
嘉平:宗吉さん︒
5日後に︑改めが
入るそうですな︒

嘉平:うちの暖簾の仕事のこと︑
改めで︑
一言でも喋ったら︒

嘉平:升屋はもう︑
二度と仕事は
出しません︒

無申告、改めます。
第2話「何年分、調べますか」終





