第2話「十九時から二十一時」

二日目︒
朝七時の︑
営業所︒
〈お届け状況〉状況:持ち戻り(1回目)→ 配達中保管期限:あと6日

日比野 めぐる:積む順番は︑
配る順番の
逆︒
日比野 めぐる:午前中の指定が
手前︒
夜の指定は︑
一番奥︒
戸倉 航:俺︑
一番奥︙︙


チャイム一回で︑
ドアが開く︒
それだけで︑
めぐるの顔が
明るくなる︒

日比野 めぐる:宅配ボックスの家は︑
一回で終わる︒
戸倉 航:うちのマンション︑
ボックス
無いんだよ︙︙

戸倉 航:なあ︑
昼めしは?
休憩は?
日比野 めぐる:さっき三十分︑
取った︒
決まりだからね︒

戸倉 航:それが
昼めし︙︙?
日比野 めぐる:五分で食べて︑
残りの二十五分は
目をつぶる︒
めぐるの一日は︑
分で区切られている︒

十八時を過ぎると︑
町じゅうの荷物が︑
いっせいに
夜の時間帯へ集まる︒

本日の残り 61個18-20時 29|19-21時 24|再配達 8
戸倉 航:夜だけで︑
そんなに!?
日比野 めぐる:みんな︑
仕事から帰る時間を
選ぶからね︒



エレベーターの無い五階︒
箱を抱えて︑
今日︑何十回目かの
階段︒
20:4119-21時 残り 9個
戸倉 航:間に合うのか︑
これ︙︙
日比野 めぐる:間に合わせる︒
でも︑
道の順にしか
回れない︒
十九時に頼んだ荷物が︑
二十時五十分に届く︒
時間帯は︑時刻じゃない︒
幅だ︒

俺が
十九時に家にいたことは︑
一度もない︒
戸倉 航:俺の
「十九時から二十一時」は︑
毎回︑めぐるに
遠回りをさせてた︒

日比野 めぐる:君の伝票︑
置き配は
「利用しない」︒
戸倉 航:盗まれるのが︑
怖くて︙︙
日比野 めぐる:選べるんだよ︒
受け取り方は︒
戸倉 航:︙︙知らなかった︒
日比野 めぐる:知ってる人でも︑
使ってるのは
四人に一人︒

戸倉 航:俺は︑
選べるのに︑
選んでなかった︒

二十時五十二分︒
今日︑最後の一軒︒
――俺の部屋︒


航の妹・大学2年戸倉 みのり
戸倉 みのり:あの︙︙
兄が︑ゆうべから
電話に出ないんです︒
戸倉 みのり:部屋に︑
スマホも財布も
置いたままで︙︙
戸倉 航:みのり!
俺だ!
ここ!
箱!

妹には︑
聞こえない︒
戸倉 みのり:それ︑
兄の荷物ですよね︒
家族なので︑
私が受け取ります︒

〈お届け状況〉ご家族の受け取りでも、配達は完了します。ただし、あなたは戻りません。

戸倉 航:受け取るな
ああああ!!
ご不在につき、俺を持ち戻ります
第2話「十九時から二十一時」終





