第2話

第2話「十九時から二十一時」

朝の宅配の営業所を上から。並んだ緑と白のトラック、荷物を積んだかご車、走り回る作業着の人たち。

二日目︒
朝七時の︑
営業所︒

〈お届け状況〉状況:持ち戻り(1回目)→ 配達中保管期限:あと6日

トラックの荷台の棚に、決まった順で箱を積むドライバー。あの箱は一番奥の棚へ。肩ごしにこちらを見て話す。

日比野 めぐる:積む順番は︑
配る順番の
逆︒

日比野 めぐる:午前中の指定が
手前︒
夜の指定は︑
一番奥︒

戸倉 航:俺︑
一番奥︙︙

ドライバーの手の中の端末。画面はぼやけた地図の光だけ。指で次の家を押す。

配達の順番(シロツメ便の端末)午前中 → 14-16時 → 16-18時 → 18-20時 → 19-21時同じ時間帯の中では、道の順に回る

時間帯指定の解説

作中の世界の決まり作中のシロツメ便の時間帯は「午前中・14-16時・16-18時・18-20時・19-21時」の5つで、当日の再配達の受付は18時まで。現実の時間帯の区切りや受付の締め切りは、宅配会社ごとに違います。

現実の事実届けてほしい日と、時間の幅(「19時〜21時」など)を選ぶ仕組みです。選ぶのは時刻ではなく幅なので、ドライバーはその幅の中で、道の順に回って届けます。

時間帯の区切りや、当日の再配達の締め切りは?
会社ごとに違います。不在票や、使う宅配会社の公式の案内で確かめてください。

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昼の住宅街。玄関のドアが開き、エプロンの女性が笑顔で荷物を受け取る。足元で小さな犬が尻尾を振る。

チャイム一回で︑
ドアが開く︒
それだけで︑
めぐるの顔が
明るくなる︒

一軒家の玄関の横の、灰色の宅配ボックスに荷物を入れてふたを閉めるドライバー。「カチャ」の描き文字。

日比野 めぐる:宅配ボックスの家は︑
一回で終わる︒

戸倉 航:うちのマンション︑
ボックス
無いんだよ︙︙

ひと跳びで運転席に乗りこむドライバー。助手席に置かれた箱の点の目が、それを見上げている。

戸倉 航:なあ︑
昼めしは?
休憩は?

日比野 めぐる:さっき三十分︑
取った︒
決まりだからね︒

トラックの横の縁石に腰かけ、おにぎりを一口で半分かじるドライバー。隣に箱。

戸倉 航:それが
昼めし︙︙?

日比野 めぐる:五分で食べて︑
残りの二十五分は
目をつぶる︒

めぐるの一日は︑
分で区切られている︒

夕暮れの町。マンションの窓に、ひとつ、またひとつと明かりがともる。小さく、緑と白のトラック。

十八時を過ぎると︑
町じゅうの荷物が︑
いっせいに
夜の時間帯へ集まる︒

夜の町を高い所から。あちこちの道に、配達のトラックの小さな光が散らばって動いている。

本日の残り 61個18-20時 29|19-21時 24|再配達 8

戸倉 航:夜だけで︑
そんなに!?

日比野 めぐる:みんな︑
仕事から帰る時間を
選ぶからね︒

夜。マンションの外階段を二段とばしで駆け上がるドライバー。腕に三つの箱。「タタタッ」の描き文字。
息を白く弾ませ、汗をにじませたドライバーの顔のアップ。目は手元の端末へ。
エレベーターの無い古い団地の階段を、上から見下ろす。箱を抱えて駆け上がるドライバーが小さく見える。

エレベーターの無い五階︒
箱を抱えて︑
今日︑何十回目かの
階段︒

20:4119-21時 残り 9個

戸倉 航:間に合うのか︑
これ︙︙

日比野 めぐる:間に合わせる︒
でも︑
道の順にしか
回れない︒

十九時に頼んだ荷物が︑
二十時五十分に届く︒
時間帯は︑時刻じゃない︒
幅だ︒

回想。夜の家電量販店の売り場で、テレビの前で客に説明する青年。ポケットの中でスマホが震えているが、気づかない。

俺が
十九時に家にいたことは︑
一度もない︒

戸倉 航:俺の
「十九時から二十一時」は︑
毎回︑めぐるに
遠回りをさせてた︒

荷台の明かりの下で、箱の送り状を指でなぞって確かめるドライバー。横顔。

日比野 めぐる:君の伝票︑
置き配は
「利用しない」︒

戸倉 航:盗まれるのが︑
怖くて︙︙

日比野 めぐる:選べるんだよ︒
受け取り方は︒

受け取り方は、選べる対面で受け取る(日と時間帯を指定)置き配(玄関前など、自分で指定した場所)宅配ボックス・宅配ロッカーコンビニ・営業所で受け取る

多様な受取方法の解説

現実の事実対面での受け取りのほかに、宅配ボックス・宅配ロッカー・コンビニ・営業所、玄関前などの指定場所への置き配で受け取る方法のことです。国土交通省の令和8年(2026年)4月期の調査では、大手3社で約31.0%がこうした受け取り方でした。国は2030年度に50%程度にする目標を立てています。

どこで選べる?
国土交通省の検討会の取りまとめによると、大手宅配事業者の無料の会員サービスでは、対面以外の受け取り方をすぐ選べる仕組みがあります。通販サイトの注文の画面で選べることもあります。
実際に使っている人は?
同じ取りまとめは、会員のうち対面以外の受け取り方を実際に使っている人は全体の4分の1程度にとどまると書いています。

出典

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戸倉 航:︙︙知らなかった︒

日比野 めぐる:知ってる人でも︑
使ってるのは
四人に一人︒

荷台の暗がりで、うつむく箱。点の目が下を向き、黄色いかすかな光が箱の上に落ちている。

戸倉 航:俺は︑
選べるのに︑
選んでなかった︒

夜の外廊下を、箱を抱えて二〇三号室へ走るドライバー。廊下の蛍光灯が後ろへ流れる。

二十時五十二分︒
今日︑最後の一軒︒
――俺の部屋︒

20時57分、コーポ柊の二階の廊下。二〇三号室の前に、スマホを耳に当てた小柄な若い女性が立っている。
振り向いた若い女性が、心配そうにこちら(箱を抱えたドライバー)を見上げる。

航の妹・大学2年戸倉 みのり

戸倉 みのり:あの︙︙
兄が︑ゆうべから
電話に出ないんです︒

戸倉 みのり:部屋に︑
スマホも財布も
置いたままで︙︙

戸倉 航:みのり!
俺だ!
ここ!
箱!

箱の前を素通りする妹の視線。箱を抱えたドライバーが横目で箱を見て、こめかみに汗の粒。

妹には︑
聞こえない︒

戸倉 みのり:それ︑
兄の荷物ですよね︒
家族なので︑
私が受け取ります︒

箱へまっすぐ伸びてくる妹の両手。

〈お届け状況〉ご家族の受け取りでも、配達は完了します。ただし、あなたは戻りません。

ドライバーの腕の中で、箱がガタガタと暴れて傾く。点の目が渦を巻き、口が叫んでいる。「ガタガタッ」の描き文字。

戸倉 航:受け取るな
ああああ!!

ご不在につき、俺を持ち戻ります

第2話「十九時から二十一時」終

この作品を読んだあなたへ

この話で分かること

再配達が来ないのはなぜ?(夜の時間帯)

時間帯指定は、届ける時刻ではなく「19時〜21時」のような時間の幅を選ぶ仕組みです。ドライバーはその幅の中で道の順に回るので、幅の終わり近くに届くこともあります。当日の再配達の依頼には受付の締め切りがあり、過ぎると次の日以降になることがあります。

条件・例外

時間帯の区切りや締め切りは宅配会社ごとに違います。不在票や公式の案内で確かめてください。

物語との違い

作中のシロツメ便の時間帯の区切りと「当日の再配達の受付は18時まで」は架空の決まりです。

宅配便の受け取り方には何がある?

対面での受け取りのほか、宅配ボックス・宅配ロッカー・コンビニ・営業所での受け取り、玄関前などの指定場所への置き配があります。国土交通省は、対面以外のこうした受け取り方の利用率を2030年度に50%程度にする目標を立てています。令和8年(2026年)4月期は大手3社で約31.0%でした。

置き配を「利用しない」にしていると、どうなる?

不在の時に置き配はされず、持ち戻りと再配達になります。国土交通省の検討会の取りまとめによると、大手宅配事業者の無料の会員サービスでは、置き配などの対面以外の受け取り方をすぐ選べる仕組みがありますが、実際に使っている会員は4分の1程度です。

条件・例外

置き配を選ぶ時は、盗難や雨のリスクと、マンションなら建物の決まりも確かめます(第3話)。

この話の用語

時間帯指定漫画の中で見る
作中の世界の決まり作中のシロツメ便の時間帯は「午前中・14-16時・16-18時・18-20時・19-21時」の5つで、当日の再配達の受付は18時まで。現実の時間帯の区切りや受付の締め切りは、宅配会社ごとに違います。
現実の事実届けてほしい日と、時間の幅(「19時〜21時」など)を選ぶ仕組みです。選ぶのは時刻ではなく幅なので、ドライバーはその幅の中で、道の順に回って届けます。
多様な受取方法漫画の中で見る
現実の事実対面での受け取りのほかに、宅配ボックス・宅配ロッカー・コンビニ・営業所、玄関前などの指定場所への置き配で受け取る方法のことです。国土交通省の令和8年(2026年)4月期の調査では、大手3社で約31.0%がこうした受け取り方でした。国は2030年度に50%程度にする目標を立てています。

出典

更新日:

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調べる問いとは別の、創作の相談です。答えは作品の公式の続きではありません。

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この話のまとめ(作品の設定・登場人物・あらすじ・用語・出典)です。AI に貼ると、話を踏まえて相談できます。

この話のあらすじ

箱になって二日目。航は朝7時の営業所から、ドライバーのめぐるの一日に荷台から付き合う。積む順番は配る順番の逆で、夜の時間帯の荷物は一番奥。時間帯の中では道の順に回るので、19時〜21時の荷物が20時50分に届くこともある。18時を過ぎると町じゅうの荷物が夜の時間帯に集まり、めぐるは階段を駆け上がり続ける。航は、自分が一度も家にいなかった「19時〜21時」の指定と「置き配を利用しない」の設定が、毎回めぐるに遠回りをさせていたと気づく。受け取り方は選べる――置き配、宅配ボックス、コンビニ。20時57分、航の部屋の前には、兄と連絡が取れない妹のみのりが立っていた。「家族なので、私が受け取ります」。窓には「ご家族の受け取りでも配達は完了します。ただし、あなたは戻りません」。

作者

ka2uma

縦読み漫画の作者

仕事の現場を題材に、台本から縦読み漫画を作っています。

この作品について

宅配便の再配達がなぜ減らないか(国土交通省の再配達率)、時間帯指定と置き配の仕組み、置き配の盗難は誰の責任か、物流の2024年問題(ドライバーの時間外労働の上限)を、自分あての荷物になってしまった男の7日間で描いています。宅配会社「シロツメ便」と通販「ミツバ通販」は架空で、時間帯の区切りなどはシロツメ便の決まりです。

制作に生成 AI を使用。企画・編集:H株式会社・利用ガイド

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