第3話「見積書の「一式」」

父が亡くなって︑
二日目の昼︒
喪主の︑
最初の仕事︒
御見積書 つばめ葬祭(6年前・作中の値)一般葬(参列 三百名想定)葬儀一式(祭壇・棺・寝台車・霊柩車・人員) 一式 98万円式場使用料 2日 一式 20万円通夜振る舞い 三百名分 一式 72万円返礼品・会葬礼状 三百名分 一式 54万円安置・ドライアイス 2日分 一式 8万円合計 252万円

小春:柏木さん︒
この「一式」︑
全部︑
中身を出してください︒

柏木:は︑はい︒
守さんにも︑
同じことを
言われてました︒
「一式は︑聞かれたら全部出せ」

小春:イベントの見積もりと︑
同じだ︒
高くなるのは︑
いつも同じところ︒

一式は︑
中身を知らない人に
考えさせないための
言葉だ︒
――と︑
私は仕事で習った︒
小春:色を分けます︒
小春の洗い出し黄:人数で変わる 通夜振る舞い・返礼品・会葬礼状青:日数で変わる 安置・ドライアイス・式場赤:見積もりに入っていない 火葬料・お布施・追加の花「一式」:明細をもらう
柏木:︙︙赤のところ︑
言われる前に
言うべきでした︒
すみません︒

柏木:人数で変わるものは︑
六年前の三百名の
ままです︒
飲食は︑うちでは
実際の数で
精算しますけど︒
小春:日数のほうは?

柏木:それと︙︙
言いにくいんですが︒
うちの一番大きい式場︑
百二十席です︒
小春:三百人︑
入らないじゃない︒

澄江:小春︒
お父さんの貯金ね︑
そんなに無いのよ︒
澄江:人の葬式のことは
あんなに考えるのに︑
自分のことは
何にも︒

勝:三百人呼ぶのが︑
兄貴の遺言だろうが!
町の世話に
なったんだ︑兄貴は!
小春:︙︙お金を出すのは︑
叔父さんじゃ
ないでしょう︒
勝:ぐっ︙︙

夜︒
「葬儀 費用 トラブル」と
打ってみた︒

国民生活センターの発表(2026年6月)葬儀サービスの相談 917件(2025年度)「高価格・料金」の相談の割合 52.6%相談の平均契約購入金額 約109万円(2025年度)例:「家族葬50万円」の表示を見て頼んだら、総額200万円を超えた
小春:みんな︑
分からないまま
決めてるんだ︒
一番︑何も
考えられない日に︒

柏木:守さん︑
よく言ってました︒
「葬儀屋は︑
ご家族が泣いてる間に
電卓を叩く仕事だ」って︒
柏木:「だから︑
叩いた数字は︑
全部見せろ」
って︒

小春:︙︙父は︑
どんな人でした︒
仕事の時︒

柏木:細かかったです︒
ものすごく︒
︙︙でも︑
ご家族が帰る時は︑
必ず︑外まで見送ってました︒

小春:父の見積もりは︑
六年前の三百人のもの︒
今の町と︑
母のお金で︑
組み直します︒
小春:それと︑お父さんは
つばめ葬祭の社員で︑
会社の健康保険に
入ってた︒
だから――
澄江:そんなのが
あるの︙︙
勝:︙︙三百人は︑
どうする︒
三頁目の終わりに︑
こうあった︒
見積もりを読み終えたら、四頁目を開け。

小春:︙︙日付が︑
先月だ︒
四頁目三百人は、見栄だった。六年前の俺は、町で一番の葬式を出したかった。家族葬にしろ。ただし――

小春:「ただし」の先が︑
次の頁に
続いてる︒
(続きは、葬儀の形を決める時に開け)
勝:兄貴︙︙!
最後まで
段取りかよ!
澄江:ふふ︒
お父さんらしい︒

小春:お父さん︒
先月︑
何があったの︒
父の葬儀は、父が仕切る
第3話「見積書の「一式」」終





